2004年11月30日

大空の彼方で見つけたもの

 ふとしたきっかけで、僕は秋の澄み切った大空へと投げ出された。自分がどこに向かっているのかもわからないし、上昇しているのか、下降しているのかさえわからない。空には境界がない。どこまでいっても空が続くだけだ。全ての風景がちっぽけに見える。でもここからなら、風の通り道もよくわかる。
 最初は抱えているものが多すぎてうまく飛べなかった。胸の痛みに潰されそうになり、どうしようもない気持ちでバラバラになりそうになった。消えていく記憶、それとは無関係に生まれてくる感情。その均衡を保つのは何よりも困難な作業のように思えた。
 でも背負ってきた荷物なんて放り出せばいいことに気づいた。原点に戻る。それはとても単純なことで、心の中にあるシンプルな声に耳を傾ければいい。光の強弱を判断し、空気の震えを意識的にとらえた。そして空よりも青い海を眺めに行った。1つのことをできる限り大事に、丁寧に考えようと努力した。
 答えらしきものは僕のすぐそばに存在していた。それが正しいのか間違っているのかはわからないけど、僕はそれに向かって飛び続けた。かすかな希望を捨て、大いなる絶望だけを胸に。僕に残されていたものはあまりにも少なく、極めて限定的だった。
 そして今、僕は地上に戻ってきている。でも、まるで微熱があるみたいに、ふわふわと少しだけ宙に浮いている。また空に投げ出されるかもしれないけれど、その時は多分、もっとうまく飛ぶことができる。きっと。

Posted by take at 20:25 | TrackBack(0)
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