年忘れ音楽談義 vol.5


1年を締めくくる音楽(前編)

 ついに今年も終わり。高校の先生が言ってたことなんだけど、時間に区切りがあるというのは素晴らしいことだと思う。人間が勝手に決めたこの時間という概念は、時に膨張することもあれば縮小することもあるのだろうけど、全体として見れば極めて均質に流れている。そして決して止まることはないし、僕たちはただ「時が経つのは早い」と決まり切った言葉でしか評価することができない。そんな時間に1つの区切り。
 そんな終わりを締めくくるのに相応しい音楽を最後に挙げたい。まあ自分のお気に入りの音楽を聴いて締めればいいとは思うのだけど。

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Beethoven:Symphony No.9/Tennstedt

 なぜか日本では年末になるとベートーヴェンの第九。わからないでもないんだけど、特に今年なんて「今年の漢字」は「災」なのに、それを最後『歓喜に寄す』で締めくくるのはどうかと思う。
 この際それには目をつぶるとして、第九はテンシュテット指揮のこのCDを紹介したい。彼はこの1ヶ月後に喉頭癌の告知を受け、ロンドン・フィルを去ってしまう。そんな運命を抱えていたと知れば、何気ない音に対する解釈も変わってくるから不思議である。
 演奏そのものとしては、正直に言えば先日買ったバーンスタインの方がずっと優れていると思う。だがしかし、良いことだけで終わろうというのは虫が良すぎる。人は何かしら負の面を持って前に進んでいかなければならない。だから年末を締めくくるのであればバーンスタインよりもテンシュテットの方が僕はいいと思う。

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SONGS/SUGAR BABE

 伝説的名盤の1枚。山下達郎と大貫妙子が同じバンドに在籍していたこと自体が凄すぎる。もう30年近く前のアルバムだけど、どれも全く色あせていないのに驚く。ここにポップスの全てが詰まっているといっていい。「え?そんなの、25年前にシュガー・ベイブがやってるよ!」という帯のコピー(買ったのが99年再販盤)は単なる飾りじゃない。はっぴいえんどは「日本語のロック」だった。その流れを継いだシュガーベイブが、それを極上のポップスに仕上げた。
 1年を締めくくるのにいいんじゃないかと思うのが、この中の"パレード(Demo)"。この曲自体は後に山下達郎名義で再録されているけど、このバージョンが一番いい。ちょっとかすれ気味で、ぶっきらぼうな声がいい味を出している。そしてこれにだけ唯一幻の“花吹雪はきれいな髪飾り 愛は空高く飛んでく”という歌詞が入っている。
 表面的にはハッピーな歌だが、僕はそうは聞こえない。パレードって、その華やかさと隣り合わせで終わった後の寂しさが同居していると思う。一瞬の輝き、幸せを追い求め、僕たちは終わりのことなんて考えるまでもなく生きていくのだろう。


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