Aja


aja.jpgAja(彩)/Steely Dan

 AORを語るときに絶対はずせないのがこの1枚。女優の山口小夜子さんを起用したこのジャケットはなんだかうさんくさいけど、はっきり言って音楽史上最高傑作だと思う。
 先日ビーチボーイズの『ペット・サウンズ』は伝説的名盤と書いたが、これは他の人達、音楽界に多大な影響を与えたというのが理由の1つにある。でもスティーリー・ダンの場合、おそらく音楽界への影響なんて皆無に等しい。唯一無二としてあまりにも高いところに行ってしまったのである。誰も近寄れない、いわば神の領域へ。

 特にこのアルバムでは顕著なんだけど、後期のスティーリー・ダンの曲というのはどれも幾何学的であり、リニアな展開を見せる。すなわち、色々な要素があって、それらを合成すると結果はこうなると決まっていて、そこに寸分の狂いもなく行き着く。逆に考えればかなり緻密に計算しつくされた音楽。何だかとんでもない定理の証明を目の前で見せられているような感じである。

 収録されている曲はどれも素晴らしいが、やはりアルバム名と同じ"Aja"を取りあげないわけにはいかない。
 ドナルド・フェイゲンのボーカルは入ってるけど、もはやこれはインスト。歌は早々に消え、単純な固定パターンの繰り返しが2分ぐらい続いた後、ウェイン・ショーターの何かに狂ったようなテナーサックスに合わせて、スティーブ・ガッドのドラムソロが1分間延々と続く。そして最後、再び1分以上のドラムソロで曲がフェードアウト。これは彼のベストプレイとも言われていて、しかも聞いた話だと一発テイク。もはや笑うしかない。世界最高ドラマーの史上最高のプレイ。このドラムソロを聴かないまま人生を終えるのは寂しすぎると思う。
 あとはキャッチーな名曲"Deacon Blues"、ジェイ・グレードンのギターソロが光る"PEG"、チャック・レイニーとバーナード・パーディのリズム隊が秀逸の"Home At Last"、などなど。アルバム全ての曲が飛び抜けている。それでもバランスの崩れを感じさせないのは、あまりにもレベルが高いところで統一されているからなのだろう。

 スティーリー・ダンは、心で感じるのではなく、頭で理解する音楽だと思う。だからメロディやテクニックはともかくとして、なぜだかわからないけど涙が出てくる、なんてことは絶対にない。ただしあまりにも完璧なプレイは、深く僕らの印象に残り、全身を震わせる。
 個人的にスティーリー・ダンではこれよりも好きな作品があるけど、とにかく完璧すぎる1枚。


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