海猿を観た。海上保安庁の潜水士のお話。
まず映画そのものよりも、僕にとって海難事故は人ごとではないのでやけに考えさせられてしまった。というかストーリー自体はたいしたことない。映画のテーマは次の課題。
「水深40mでバディと二人、あるのは残圧30のタンク1つ」
水深40mから呼吸せずに一気に浮上するとまず肺が破裂する。減圧症なんていうレベルじゃない。ほぼ即死である。さらに空気を吸いながら浮上するとしても、一定以上のペースで浮上すると減圧症になる。窒素を抜くために減圧停止も必要。
つまり水深40mで残されたのは一人がギリギリ水面まで浮上できるだけのエア、そして自分はバディと二人。選択肢は3つある。
・自分だけ助かる
・バディだけを助ける
・二人とも死ぬ
もちろん二人とも助かるというのが一番だが、現実的には不可能。ということで3つ。僕だったら・・・多分自分だけ助かるという選択をしてしまうだろう。相手によってはバディだけ助けるということも選ぶかもしれないけど。
なんとか二人でエアをシェアしながら浮上できるところまで浮上し、あとは減圧症覚悟で水面に出るというのも考えたものの、そんな状況で冷静な判断力があるかどうかが問題だ。僕は水中で右半身麻痺を経験してるからわかるけど、どれだけきちんとした心構えでいたとしても、いざ実際に自分が窮地に追い込まれたら冷静な判断なんてできるわけがない。
だから最低限、なんとか自分の命だけは守らなくてはいけない。それが前提だ。冷酷だと言われるかもしれないけど、海に潜るということは、そういうことなんだと思う。ある意味では自然に逆らう行為なのだから、それなりのリスクに対する覚悟、決意が求められるのである。
実はダイビングの事故死はかなり多い。ほとんど報じられていないけど、年間死者数は二桁、あるいは三桁いっているはず。ダイビングは誰でも手軽にできるスポーツじゃないし、この点については良い一面しか載せないダイビング雑誌やショップにも責任があると思う。
ということで、最初のCカード講習の時に、この課題を出してみてはどうだろうか。これに対して答えが出せたら、覚悟を決められたら、その人は海に潜る本当の意味での“資格”を得られる気がする。