今日は空や生い茂る木々がやたら色鮮やかに感じた。もう五月だもんな。そういう季節だ。
その一方で、僕の周りでは色々なことが立て続けに起こっている。好むと好まざるとに関わらず。僕は川底に落ちている石のように、ただ流れによってコロコロと転がり続け、いつしか角が取れた丸い石になっていくのだろうか。
昨日の夜、僕が最後につきあった人から来月結婚するという電話があった。
彼女とは、別れてもう3年以上が経つ。全く連絡をとっていなかったから、電話に出たときは凄くびっくりした。携帯のディスプレイには見知らぬ番号が出ていたが、声を聴いて一瞬で彼女だとわかった。「わかる?」「うん、わかるよ」みたいな感じで。3年という時間が長いのか短いのかはわからないけど、僕は彼女の声を忘れていなかった。
今年26歳になる彼女。たしかに結婚してもおかしくない年齢だと思う。100%心から祝福できたと言えばきっと嘘になるんだけど、それでも「よかったね」というような気持ちはあったし、幸せな結婚生活を送って欲しいと思った。
少しだけ彼女のことについて書こうと思う。
ふとした瞬間に見せる、ちょっとはにかんだ顔が素敵だった。僕の目をのぞき込むような真剣な眼差しがたまらなく愛くるしかった。一度も褒めてあげることができなかったけど、僕が何となく口にした好みの髪型にしてくれた君。凄く似合ってた。とてもしっかりした人だったが、時々不安定なところを見せることもあって、僕はきっとそういうところも含めて全て、僕なりに彼女を愛していたのだと思う。
彼女には、自分の気持ちを言葉で伝えることの大切さを、僕の思うやさしさと君の望むやさしさが必ずしも一致しないということを教わった。不安や恐怖に立ち向かっていく勇気と、苦しいことから逃げない強さをもらった。そして何より、彼女に出会って人を愛することの素晴らしさを知った。
連絡もできず待ち合わせ時間に1時間以上も遅れてしまった僕をひたすら信じて待ち続けてくれたこと、雨の中傘もささずに抱き合っていたこと、深夜にいきなり会いたいだなんて言われて車を飛ばして会いに行ったこと。ほとんど涙を見せなかったけど、一度だけ夏の終わりに僕の胸で静かに泣いたこと。色々なことを覚えているが、君の顔はおぼろげにしか思い出せない。でもきっと、二人で過ごした時間は僕の中から一生消えない。
別れたのは、こんなところに書けないぐらいほんの些細なことが原因だった。でもそのほんのわずかなほつれが、決定的なものへと繋がった。きっとそういう運命だったのだろう。そしてそれは僕ら二人にとって良かったことなのかなとも思う。離れてから初めて気づくこともたくさんあったし、二度と元には戻れないという状態になったからこそ生まれた想いというのもあった。
最後、お互い涙をこらえきれず泣いてしまったが、きちんと「さよなら」を言って別れることができた。人との別れというのは多分突然やってくるものだけど、そうやって別れの言葉で別れられるというのは素敵なことなのだと今は思う。
水無月に花嫁になる君へ。
一緒にいたのは2年弱という時間に過ぎなかったけど、僕は君の恋人であったことを嬉しく思うし、誇りに思う。3年以上という月日が経って、ほとんど君のことなんて考えることもなくなった僕に結婚の報告をしてくれた君を。やたら重くて不器用だった僕の愛を、全て包み込むように受け止めてくれたその君のやさしさを。
どうか幸せになって欲しいし、そして相手を幸せにしてあげて欲しい。僕はもう少し、僕のしなくちゃいけないことを頑張るからね。
いつか、きっといつか、何か変わらないものを見つけることができたなら。僕がずっと求め続けているものを手に入れることができたなら。その時僕は、僕の愛すべき人を、君のことを愛した以上に愛そうと思うんだ。
2005.5.16 K.Takeda