大学・大学院に入ってもう6年目。小学校で言うと6年生なわけで、そんなにも時間が経っているという事実にびっくりする。小学校の6年間なんてめちゃくちゃ長かった気がするのに。中学・高校でも6年間。その時間と同じ?いやいや、嘘だろうと思う。
ともあれ、大学に入ってから今まで色々な人と出会ってきた。その中でも素敵だなと思った先輩二人のことを書きたい。なんでそんな気になったのかは自分でもわからないのだけど。
一人目はサークルの先輩。僕は1年生の時にバドミントンサークルに入っていて、その時の4年生だった人。きっと僕がそう思いこんでいるだけなのだろうけど、やたら僕にかまってくれた。皆に対してそうだったのかもしれないし、もしかしたら僕だけちょっと特別だったのかもしれない。後者である理由が特に思い浮かばないので、多分前者なのだろう。
最初の出会いは新歓コンパの時。あの学生の馬鹿騒ぎに冷めきっていた僕に、そっと声をかけてきてくれた。恥ずかしながらというか何というか、当時18だった僕は単純に「大人の女性」というものをその人に感じた。自分もこういうの好きじゃないんだけどね、みたいなことを言いながらも、ちゃんと"コール"に応えてみせたりして、要領よく、そつなく場に混じっていた。
次に話したのはたしか試合の応援に行ったとき。会場となった大学が家から割と近かったのと、仲良くなった友人が出るので何となく見に行った。特にすることもなくポツンとしている僕に、またもその人は声をかけてきてくれた。新歓では100人以上の新入生がいたからどうせ覚えてないだろうなと思ってたら、覚えていてくれた。何を話したのかあまり覚えてないのだけど、隣の席に座って僕の話を聞いてくれた気がする。地理に疎くて、この大学がどの辺にあるか全然わからないとか言ってたことが微笑ましかった。やたら大人っぽい格好をしていたのが印象的で、大人の女性なんだなあと憧れとも言うべき眼差しで彼女を見てた。
それからも練習の度に声をかけてくれた。僕を見つけると横にちょこんと座ってきて、理工は実験があるから大変だよねえ、とか、次(試合メンバーとして)名前呼ばれるかもしれないよ頑張って、とか話しかけてきてくれた。数多くいた1年生の中でなぜ僕だったのかはわからない。時折彼女と目が合うと、自分もこういうの好きじゃないんだけどね、と口にしたときと同じ顔をしてみせた。そんな表情がなんとなく素敵だった。
結局、皆で羽目を外すことが楽しいんだよ、みたいな雰囲気が耐えられなくて僕はそのサークルを1年で辞めてしまった。彼女も卒業してしまった。僕もこういうの全然好きじゃないんだよね。本当に。
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二人目は研究室の先輩で、僕が4年生のときのM2だったから2歳年上。誰かを見習いたいなんて思ったのは、多分、僕の人生において初めてだと思う。
とにかくエピソードが豊富で、ネタに欠くことがない。就職活動では某外資投資銀行の内定を蹴って、某通信会社に就職。まず、内定式後にあった研修で、配布された書類一式を会社に忘れてくるという大物ぶりを見せ付ける。配属面談では、第一志望が研究所、第二以下はありませんと伝えたらしい。結果、見事研究所に配属された。
趣味のアンテナもかなり広くて、僕の話には大体反応してくれた。特に映画方面が詳しかったかな。『バレット・バレエ』を知っていた人なんてこの人ぐらいである。でも誰かに映画に誘われると「なんでお前とデートしなきゃいけないんだよ」と言って、ほとんど断っていたのが面白い。音楽はブリティッシュロック大好き人間で、僕と趣味が全然合わなかったところが残念な限りである。
僕が凄いなと思ったのは、彼の研究スタイル。毎日、午後2時から3時ぐらいの間になると、近くの弁当屋さんの弁当の袋を持って研究室にやってくる。僕らは「**(その先輩の名前)タイム」と呼んでいた。それに加え、毎日必ず何らかのお菓子やデザートをもってくる。お菓子といっても箱詰めに入っているようなちょっと高そうなやつで、1,2個しか持ってこないのに、決まってその半分を僕らにくれる。「食べる?」と尋ねられ、「いや、いいですよ」と断ると、「欲しそうな顔してるもん」とか言って無理やり渡してくれる。超やさしい。
そこから夜10時すぎまで黙々と研究。平日はもちろんのこと、土曜日もたいていはきてるし、日曜も何度か見かけた。風邪をひいても、熱があっても、マスクをして死にそうな顔をして研究室にきてた。皆に帰ることを勧められても決して譲らなかった。
4年生の時から数々の学会発表を経験、学会の後に小旅行をしてくるので、日本全ての都道府県を回ったという。国際会議や後期博士課程進学の話もあったらしい(断ったとのこと)。自分の研究のためなら手段を選ばず、当然のことのように企業の研究員に問い合わせをしたり、国会図書館を活用したりしてた。かっこいい。そこまでして取り組んだプログラムの不備を、今のM1が4年生の時に見つけてしまうなんていうのも、なんともお茶目な話(?)である。
面倒見が凄く良くて、自分の修士論文を書きながら、4年生2人の卒論を助けていた。ほとんど論文3つ書いている状態。ちなみに論文の最後に謝辞というものを書くのだけど、そこに唯一の4年生として僕の名前を書いてもらえたことが本当に嬉しかった。
僕も気づけば彼と同じM2。自分が後輩にどう見られようが別にどうでもいいけど、こういう素敵な先輩がいたんだよ、ということは伝えていきたいなと思ってる。
去年一度渋谷で偶然会ったことがあって、諸事情により手にしていた沖縄土産を彼に渡した。当然不思議な顔をされたけど、「いやー、**さんに会えると思ってもってきたんですよ」なんて言ったりしてね。ますます不思議な顔をされたけど、彼と会えて、少しだけど話をすることができて嬉しかった。
それ以来会っていないが、僕の就職先も彼と同じ業界なのでそのうちどっかで会える気がする。別に会おうと思えばいつだって会えるのかもしれないけど、そういう必然的な偶然の出会いみたいなのも悪くないかな。なんてね。