This Night Won't Last Forever


thisnight.jpgThis Night Won't Last Forever/Bill LaBounty
 いきなりだけど、僕は完成されたボーカルがあまり好きじゃない。例えば、日本のポップスで山下達郎よりも角松敏生に惹かれたのは、その辺に原因があると思う。決して上手くないと言ってるわけではないが、どこかに未完成の部分がある方が僕はしっくりくる。このビル・ラバウンティもその一人。

 1978年の作品。決して歌唱力抜群というわけではないけど、何とも味のあるボーカルが聴ける。そこに等身大のサイズを感じられるのは、やさしい歌詞のせいだろうか。ジェフ・ポーカロ、マイク・ベアード、リー・リトナー、レイ・パーカーJr.、ディーン・パークスなんていう素晴らしいメンバーに囲まれているものの、全体的に、何て言うか"無理"をしてなくていい。きっと一人で魅せることができるアーティストなのだと思う。どんなスタイルを持ってきても、ビル・ラバウンティはビル・ラバウンティみたいな。これが完成されているアーティストだとどれも同じに聞こえてきてしまうのだが、未完成な部分がある分、未知の部分もあるのである。

 タイトル曲<This Night Won't Last Forever>は有名だと思う。このサビはどっかで聴いたことがあるはず。前を向いている歌なのに、どことなく寂しいのが何とも。<Room 205>なんて絶品のバラード。<In 25 Words Or Less>は今のジャック・ジョンソンを感じさせる。こんなこともできる。サックスとのかけあいをする<Who's Gonna Hold You>もいい。<Crazy>のディーン・パークスのギターもいいなあ。なんとも艶やか。全10曲、一つ一つ全てがきちんとした世界を持っている。

 そして、どうしても耳に残ってしまう<I Hope You'll Be Very Unhappy Without Me>。これは世の中の全ての男性のための曲。多分。
 直訳するとなんともネガティブ。歌詞も相当なもので「僕なしの君は思いっきり不幸になればいいのに 君の明日が全部ブルーになってしまえばいいのに」なんてことを歌ってる。ただ、男ならこれは結構理解できるのではないだろうか。
 根拠のない自信と、投げやりの失望からはこんな想いさえ生まれる。別に本当に相手の不幸を願っているわけではなくて、僕には君を幸せにする自信があったんだよ、僕以外の誰が君のことを幸せにできるんだい?なんていう気持ちの裏返しとして。いや、結局君が離れていったことを受け入れられないだけなんだけど、みたいな。ちゃんと「こんなこと言ってバカみたいだけどさ」なんてフォローしてるところも、ぴったりだと思う。名曲。
 僕自身はあまりこういうことを考えないけどね。


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