dragonfly summer


dragonfrysummer.jpgdragonfly summer/Michael Franks

 アルバムタイトルからして今の季節に合いそうではないのだけど、なんとなく。かつて僕の天敵(?)であったAOR四天王の一人、マイケル・フランクス1993年の作品。

 彼ほど個性の強いアーティストはいない。上手いのか下手なのかわからない、多分歌としてギリギリ成立しているような独特のボーカル、そしていついかなる時も眠りの世界へと誘う世界。聴いたらまず一発でマイケル・フランクスだとわかる。おそらくどっぷりとはまるか、もしくは拒絶するかのどちらか。そんなわけで、僕は今まで後者だった。

 評価が一変したのは今年の夏。品川駅の港南口をぶらついていた時に、偶然彼の音楽が流れてきて、なんかこんなのもいいなと感じた。忙しなく動き回る人を尻目に、そんなこと全く関係ないよとでも言うかのような世界。思わずその場に立ち止まり、曲が終わるまで耳を澄ませていた。きっと僕一人だけ違う世界にいたと思う。たまらなく気持ちよかった。
 それ以来、彼は"違う時の流れ"につれていってくれる存在となった。それはあらゆる状況がピタリとはまらないと、現実とのズレが生じて不快に感じるだけなのだけど、うまくいくと言葉では言い表せない格別の世界へと僕を誘う。港南口で偶然耳にしたとき、おそらくその状況が整っていたのだろう。

 音楽ってただそこに絶対的なものとして存在しているわけではなくて、周りの環境、自分の精神状況などによって聞こえ方が全然違ってきてしまう。本来そういうのは、どちらかというと音楽の方が主導的にやってきたような気もするのだけど(つまり音楽を聴くと元気が出るとか、そういうこと)、このアルバムはその真逆で、自分から働きかけないと全然応えてくれない。僕が今まで何も感じられなかったのは、そこに原因があったのだと思う。何もしなければ本当につまらない、とまで言ってしまっていいのかどうかわからないが、多分なんだかよくわからない子守歌にしかならない。
 僕の感性が一般人のそれとどこまで近いのか僕には知るよしもないけれど、おそらくこれは人に勧められるアルバムではない。でももし、そういう労をいとわず、自らそういう世界を求めたいと思う人がいたのなら、おそらくとびっきりの一枚になるはず。


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take(take@blue-jam.com)
1981年12月23日生まれ
横浜市の端に在住
音楽と夏と海をこよなく愛してます。
強く、やさしく、フェアに

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