落日の皇帝


 時代の終焉とはこうも儚く、無惨で、そして寂しいものなのか。そんな日本GP。

 2回目のピットストップを終えるまで堂々のリード。このままチェッカーを受け、選手権争い単独トップで最終戦へと臨む。そしてそこで8度目のタイトルを獲得し、最高の終わり方を見せてくれる。F1ファンなら誰もがそんなストーリーを思い描いていたはず。

 だから、何もわかっていないフジのアナウンサーには"悪態"なんて言われ方をしていたけれど、右京さんはずっと「くっそー・・・」と言葉にならない思い、悔しさをこぼし続けていたのだろう。どんな時だって、絶対勝つことが不可能だと思われている時だって、ミハエルは僕らに夢を見させてくれて、そしてそれを現実のものとしてきた。そういう歴史を知っているだけに、ミハエル引退シナリオは既に出来上がっているのだと確信していた。なんでここで、夢が現実になる直前で、早くも終わりを見せてしまうのだろう。これが時代の終わりだと言われれば、それを黙って受け入れるしかない。それでも、史上最高のF1ドライバーに、有終の美を飾らせてくれたっていいじゃないかと思う。

 今になってミハエルのダーティーだった部分が浮かんでくる。鈴鹿でも故意にマシンをぶつけて、全ポイント剥奪なんてことがあった。古館さんにはターミネーターと言われていたものの、実は人間らしさで溢れていたミハエル。だからこそ、91勝、7度の選手権優勝と、前人未踏の記録を作り上げることができたのだし、そして、皆に愛されてきた。

 あと1戦。選手権優勝の可能性はないわけではないが、それは相手のおこぼれが前提だから、誰も期待することはできない。もうタイトルはいらないだろう。せめてリタイアすることなく、無事ラストランを。堂々とチェッカーを切るミハエルを見たい。


 最後に、去年の10月まで5年間続けていた仕事を、もう1度だけしようと思う。

ミハエル・シューマッハ:リタイア

 「我々は素晴らしいチームだ。最高のスタッフたち、フェラーリのメンバー全員を心から愛している。常に文句のない仕事をしてくれてきたんだ。今日のような事故は起こってしまうものだし、これもレースの一部だよ。全てを得ることもあるし、全てを失うこともある。今日我々はベストを尽くした。レースをリードしていたけど、エンジンが壊れてしまった。簡単に言えばそれだけだね。これがフォーミュラ・ワンだ。
  カナダ以降の結果については誇りに思えるよ。我々は選手権で25ポイントの差をつけられており、誰もトップ争いに戻れるとは考えてなかったはずだ。でも、ここまできた。これでコンストラクターズ選手権では9ポイント差をつけられてしまったが、ブラジルではタイトルを獲得するためにできる限りのことをしていくよ。ドライバーズタイトルは終わりだね。ライバルがリタイアすることを願ってレースに臨むというようなことはしたくない。そんな風にタイトルを獲得したいとは思えないんだ。」


| コメント(0) | トラックバック(0)

コメントする

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.blue-jam.com/mt/mt-tb.cgi/1891

Profile

take(take@blue-jam.com)
1981年12月23日生まれ
横浜市の端に在住
音楽と夏と海をこよなく愛してます。
強く、やさしく、フェアに

2015年11月

Sun Mon Tue Wed Thu  Fri   Sat
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

アーカイブ

最近のコメント

BlogPeople

Powered by Movable Type 4.292