Formula One Grand Prix 2007 Rnd.17 Brazil


 誰がこんな結末を予想しただろうか。そして誰が、こんなに素晴らしいレースになることを期待しただろうか。

 ルーキーながら抜群の安定感で年間タイトル獲得まであと一歩と迫った、マクラーレンのルイス・ハミルトン。ここまで107ポイント獲得。それに4ポイント差で次ぐのが、2年連続王者、同じくマクラーレンのフェルナンド・アロンソ。そしてやや離されての100ポイント、フェラーリのキミ・ライコネン。誰もがハミルトンの史上初となる、ルーキー王者誕生を予測していただろう。しかしながら前節中国GPで、今年初となるまさかのリタイア。ここで3人のタイトル獲得条件を、ハミルトンのタイトル獲得を基準に振り返ってみたい。

(ブラジルGPハミルトンの成績)
優勝:タイトル獲得
2位:タイトル獲得
3位:アロンソが優勝しなければタイトル獲得
4位:アロンソが優勝しなければタイトル獲得
5位:アロンソが優勝しなければタイトル獲得
6位:アロンソが2位以上に入らず、ライコネンが優勝しなければタイトル獲得
7位:アロンソが2位以上に入らず、ライコネンが優勝しなければタイトル獲得
8位:アロンソが3位以上に入らず、ライコネンが2位以上でなければタイトル獲得
ノーポイント:アロンソが4位以上に入らず、ライコネンが2位以上でなければタイトル獲得

 とまあ、簡単に言うと、ハミルトンがタイトルを獲得する可能性は非常に高かった。彼は今年それだけの走りをしたし、事実、最終戦の予選も2位。そのまま順当にフィニッシュすればタイトルは間違いなかった。だがしかし・・・

 スタートでライコネンに抜かれたハミルトンは、アロンソとのオーバーテイク勝負で膨らみ、8位まで順位を落としてしまう。そこから必死の挽回を見せるも、神様のいたずらとしか言いようのない8周目、ギアが入らず、再度大きくポジションを落としてしまう。この時点で勝負はあったと言ってもいいだろう。その後果敢なオーバーテイクショーを見せるも、ウィリアムズとBMWが力をつけたのが痛かった。

 トップ争いはフェラーリの2台。ブラジルGPは昔からブラジル人ドライバーが勝てないことで有名で、バリチェロがもう少しのところで悔しい想いをしていたのを覚えているけど、今年はそのブラジル人ドライバーのフェリペ・マッサがトップ。誰しもが、特に地元GPで良い結果を残したいと思うだろう。そのままいけばマッサが優勝だが、しかし、フェラーリとしてはライコネンを前に行かせたい。というのも、ハミルトンが脱落したため、アロンソが3位でフィニッシュした場合、ライコネンは優勝しなければタイトルを獲得できない。ワールドチャンピオンと2位とでは、雲泥の差。昔のフェラーリであれば堂々とチームーオーダーを使ってミハエルを前に行かせたのだけど、今はレギュレーションで禁止されているので、最後まで(少なくとも見かけ上は)フェアな戦いだった。マッサが第2スティントでミスをし、ライコネンとの一気に差がつまる。そしてマッサがピットインしている間にライコネンがここぞとばかりにペースを上げ、ライコネンがピットアウトした時には、見事トップで復帰。もしマッサがトップのまま給油を終え最終スティントを迎えたとき、フェラーリが一体どう出るのかも気になったのだけど、そんなことを気にするまでもなく、ライコネンは、堂々と自力でトップを奪った。

 あとはハミルトンが5位にならなければ、ライコネンの優勝。今回マクラーレンが思いの外ペースに苦しんだのと、そして何より、4位でフィニッシュしたニコ・ロスベルグと5位のロバート・クビサという、新世代の勢力が、ライコネンにタイトルをもたらした。僕の記憶が正しければ、残り8周で6位のハイドフェルドまで16秒差。これは勝負あったなと、僕はここで初めてライコネンの優勝を確信した。ただし、その前のマシンがリタイアすれば、ライコネンの優勝に関わらずハミルトンがチャンピオンになるから、ファイナルラップまで一瞬たりとも気を抜けなかった。

 実はレース後、BMWとウィリアムズのマシンに違反があったとして審議が行われた。レギュレーションでは燃料の温度と外気温の差は10℃以上あってはいけないが、両チームはそれをオーバーしたとのこと。ただしスチュワードからこの件に関するペナルティを科されることはなく、順位に変動なしというのが今のところの状況。マクラーレンがこれに抗議し、結果が覆るようなことがあると、ハミルトンが一気に4位となり逆転タイトル獲得となる。でも、あくまでも僕の予想だけど、これはない気がする。というのも、今年マクラーレンはスパイ疑惑(フェラーリのマシンデータを不正に入手したらしい)によって、コンストラクターズポイント剥奪という処分をされている。だからFIAには強く出られないところがあるし、もし抗議をした場合、コンストラクターズだけではなくてドライバーズポイントも剥奪という結果にもなり得ない。多分抗議はしないと思うのだけど、どうかな。

 あと苦言を呈したいのが、山本左近と中島一貴。山本左近は間違いなくF1で走るだけの力はない。中島は2世ドライバーとして騒がれているが、同じく2世ドライバーのニコ・ロスベルグの足下にも及ばない。ロスベルグのデビューGPは凄かった。中島の今回のデビューも凄かったけど、別の意味で凄かった。まずコースアウトして復帰したフィジケラを避けれずにクラッシュ。そして初めてのピットインではピットクルーをひきあわや大惨事。最後もクルサードがコーナーで突っ込んできたところを、マシン1台分のスペースを開けることをせず、これまたクラッシュ。まあ佐藤琢磨もかつてアグレッシブすぎる走りが非難されていたから、こればっかりは経験を積むしかないのかな。でもF1ではそんなに多くのチャンスはもらえない。そして数少ないチャンスで結果を確実に残すドライバーのみが生き残っていける。中島は今回ウィリアムズで走るという、素晴らしいチャンスをもらえた。日本人ドライバーがこんなにいいマシンに乗れることは僕の知る限り初めてで、できればモノにしてもらいたかった。さて、もう一度チャンスをもらえるのかな。

 去年ミハエル・シューマッハが引退し、世代交代という言葉が至る所から聞こえてきた。たしかに2007年のF1はそれを象徴するような内容だったと思う。チャンピオンのライコネンに、実はまだ26歳のマッサにアロンソ。あと一歩だったスーパールーキーのルイス・ハミルトン。将来がとんでもなく楽しみな、22歳のニコ・ロスベルグ、23歳のロバート・クビサ、そして二十歳のセバスチャーノ・ヴェッテル。中島もまだ21だということを付け加えておきたい。2008年が一体どうなるのか、今から楽しみ。

 こんなにも面白いスポーツが、この世界にあるだなんて!!


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