NO TURNS/角松敏生


noturns.jpgNO TURNS/角松敏生

 2年8ヶ月ぶりの新アルバム。前作『Prayer』では、技術的な、ある意味職人的なこだわりを見せていたのに対して、本作ではもう少し肩の力が抜けたというか、自由な色合いが強いように感じる。この3年弱の間に色々なことがあって、その中で命を与えられてきた全12曲。ファンクラブ用CDには、先行する形でこの中から5曲アコースティックバージョンが収録されていて、その聴き比べをするのも楽しみだった。

 例によって全曲紹介。ちなみに初回限定版はBlu-spec CDとして音の良さが謳われているものの、我が家の環境ではそこまで言うほどのものでもないと思った。音の分解能が高くなって、深みが増したような気もするけど、そういう解像度の進歩を必ずしも「音がいい」と呼べるかどうかは別問題だろう。これぐらいなら、Steely Danの方(当然ノーマルCD)が上だろう。何がいけないのかは知らないけど、日本のCDは総じて音が悪い。もう少し頑張ってもらいたいものです。

1.REMINISCING
 爽やかなオープニングナンバー。昨年末のライブでドラムバージョンは聴いてたから大体想像はできていたけど、さらにホーンが加わってなんとも賑やかな曲に。もう疾走感たっぷり。夏に聴いたらそれこそ海に駆け出して行きたくなる。江口さんの重厚なドラムもいいが、なんとなく沼澤さんに叩いてみて欲しいと思った(もう再演はないのかなあ)。ブラスアレンジは森俊之。天才。

2.もっと
 オリンピックを見ながら書いたという曲。こういうミディアムテンポで、コーラスワークが綺麗な曲、大好きです。松原さんのベースが非常にいい味を出してます。最後のトロンボーンソロはいかにも角松らしい。ここでもブラスアレンジは森俊之。天才。

3.木洩れ陽
 アコースティックバージョンでも爽快な曲だったけど、さらに爽快に。ドラムが玉田富夢という人で、若手の育成を意識しての起用だとか。年齢的に一回りぐらいしか違わないような気もするけれど、日本屈指のミュージシャンとセッションする機会というのも重要な経験なのだろう。中間のギターソロは角松本人、バリバリのLAサウンドなのが面白い。

4.What Do You Think
 アコースティックバージョンから一番変わったように感じた曲。正直、アコースティックだと音が厳しいところもあるように思えたが、ここではその不足分がきっちりと補われている。本アルバムで今剛と梶原順が競演するのはこの一作のみ。二人のギターソロが聴けます。千秋のコーラスがいい。

5.Love Junky
 前作『Prayer』の<Mannequin>を彷彿とさせる、非常に最近の角松っぽい曲。ソロが豪華で、ギター(今剛)にピアノ(森俊之)にフェンダーローズ(小林信吾)。そして世界の本田雅人はフルートソロを披露。サックスでは参加してないんだもんなあ、すごいです本田さん。

6.美しいつながり
 デビッド・フォスターへのオマージュ、らしい。綺麗なストリングスは森さんのシンセ、確かにエアプレイだ・・・。この曲でそんなことしなくても良かったと思うのに、そんなことしたかったのでしょう。

7.You can go your own way
 歌詞はともかくとして、曲調は非常にほっとする。なんていうか、ライブそのまんまという感じがして。特にパーカッションだろうか、自分がライブ会場で、これと全く同じ音楽を聴いているところを容易に想像できる。やっぱり「メール」という歌詞が、時代に置いていかれてしまいそうで引っかかります。メタファーにすれば良かったのになあと。その辺の、変なリアルさを出したかったのかもしれないけれど。

8.PANSY
 角松には珍しくヘビーな曲です。部分的にやってきたところは今までにもあるけれど、1曲まるまる、最初から最後までというのはない気がする。山下達郎の<YELLOW CAB>みたいな感じかなあ(ずっと派手だけど)。声にエフェクトかけて、ギターがうねって、シンセの音は歪んで。こういう曲を森俊之にやらせたら、右に出るものはいないだろう。

9.Falling in Love
 緩やかなバラードナンバー。テンポがスローではないところがいい。コーラスがとても良いのだけど、ZOOCOという人を起用。が、コーラスをやらせたら日本で右に出るものはいないと思ってる(というか個人的にすごく好きな声の)角松自身のコーラスの方が好きです。そのコーラスワークがとても綺麗な作品。

10.鏡の中の二人
 千秋とのデュエットはこれまでに2曲やってきたけど、今回、沖縄コーラス隊コンビのもう1人、凡子とのデュエット。もっとスローバラードを予想してたら全然違いました。どうしても千秋と対比してしまうのは申し訳ないところだけど、やっぱり天からの贈り物をもらった千秋の方が一歩も二歩も上だよなあと思う。

11.CAT WALK
 昨年末のライブで披露されて、何だこの曲は(フリと掛け声が非常に恥ずかしいのです)・・・と呆気にとられていたが、CDで聴いてみたらなかなかよい曲。アガルタっぽいかな。間奏から転調部分なんかは特に。サビがやけにキャッチーで、これを聴きながら仕事に行った日は、ことあるごとに頭の中でグルグル回ってました。まあいい年してニャーはないだろ、ニャーは。でも、ニャー。

12.夜の蝉
 久々のオール打ち込み。やっぱりこのピコピコはあまり好きになれないのだけど、曲そのものは好きです。コーラスはZOOCO。夏の終わりの夜が似合う曲だなあと思ってたら、夏の始まりの曲らしい。いつからか夏が一番好きになって、夏の始まりを喜び、夏の終わりを悲しむようになった。


 言葉にするとおかしいのだけど、なんか、非常に角松っぽいアルバムだなと感じました。新しい音を探すなんて息巻いてなくて、そんなにコンセプトもなくて、いつの間にか出来上がってましたというようなアルバム。言わば、続・『TIME TUNNEL』。音楽的に大きく進化した角松のスタンダード。安心して聴けます。


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1981年12月23日生まれ
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