Graceland/Paul Simon


graceland.jpgGraceland/Paul Simon

 冬になるとポール・サイモンが聴きたくなる。低気圧の陰鬱な気候だったり、肌を刺すような寒さの中でスカッと晴れた青空だったり、彼の音楽はなんだかそういう冬の特徴的な日々によく合う。そして冬は寒いだけじゃないんだよと、素敵な春がくるよと、時折温かさを教えてくれる。

 本作品は、ご存知サイモン&ガーファンクルのポール・サイモンのソロ作品8枚目であり、いわゆる「一家に一枚」のアルバム。南アフリカの音楽をふんだんに取り入れ、政治的な事情も重なって当時は物議をかもしたらしいが、とにかく歴史に残るアルバムの1枚であることに変わりはなく、アメリカでは1986年、1987年と2年連続でグラミー賞の評価を得ている(それぞれ最優秀アルバム、最優勝レコード)。

 例えばスティーリー・ダンが、人はどこまで完璧な音楽(ポップス)を作り上げることができるのかを目指したとすれば、ポール・サイモンの本作は、どこまで音楽本来の意味に迫れるかを求めたものだと言える。そもそも人はどうして音を奏でるようになったのか、日々の暮らしに必要なものとなったのか、そしてなぜたまらなく魅了されるのか。

 その1つの答えを、近代ポップスで示したのが間違いなくこのグレースランド。アフリカのグルーヴをルート(根)とし、近代的な言葉で、昔も今も変わらない普遍的なことを高々と歌い上げる。それも直接的ではなく、比喩を用いて、大事に大事に言葉を発するところがまたいい。ポール・サイモンはミュージシャンであると同時に、詩人といっても差し支えないだろう。

 こんなにも究極的で、温かさに満ちた、そして愛すべきアルバムを、僕は他に知らない。


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