全てを包み込んだ雪


 1つのプロジェクトが終わった。入社以来初めて自分が最初から最後まで携わった仕事であり、そして初めてプロジェクトマネージメントを行った仕事。やらなければいけないことは全部やったつもりだし、多分やらなくていいこともかなりやった。もっと効率的に進めることもできたと思う一方で、自分でなければできなかったこともいくつかあると自負している。

 今から1ヶ月前、正直に言って、このプロジェクトの成功は想像できなかった。まだ時間に余裕があるからとおざなりにしてきたことのツケを、利息込みでたっぷりと払わされたし、追い討ちをかけるかのように予想外のトラブルが続出した。打ち合わせを主催しても誰も集まらない、期日までやって欲しいと頼んだことが何一つされていない。部品の納期が間に合わない、人手が足りない、担当者が捉まらない。先が見えないことに苛立ちは積もり、何度か和が崩れかかったこともあった。

 期限まであとわずかという段階で、製品の影も形もない。誰もが心の中で、これはもう無理だよと諦めの気持ちを持っていたと思う。常に、あと1ヶ月早くこの状態だったら、というのが合言葉のように繰り返されては、何の慰めにもならないことを知り、絶望の淵に立たされていた。

 唯一の救いは、何だかんだ言っても、とにかくやれることは全部やるんだという頑なな思いを、持ち続けていたこと。結果がどうであれ最後までやり通そうという思いを、全員ではないにしろ、数多くの人が持っていた。最後の1週間は神がかり的で、もはや奇跡と言っても過言ではない。奇跡というのは、ただ指をくわえてればやってくるものではなく、全ての条件をあるべきところに整わせる過程そのものこそが奇跡なのかもしれない。

 終わりはもっと感動的なものかと思っていた。(お茶で)乾杯の挨拶をさせられた時はさすがにうるっときたけれど、全部が終わったときの充実感は呆気ないものだった。まだ自分の中に落ちてきてないだけなのかもしれないし、僕自身の問題として、そういうものなのかもしれない。それでも事実として残るのは、このプロジェクトを完遂させたということ。

 帰り道、雪がしんしんと降っていた。それは喜びも悲しみも、そしてこれまでの苦労も時間も、全てを包み込む雪だった。


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