帰る場所がなくなった


 実家を出て3年が経とうとしている。今住んでいるところからは、「帰省」なんて言葉は決して使えないほどの距離にあるので、たまに寄ったりすることもある一方、長くても半日滞在することはない。そんな実家なのだけど、今日、正直の事実を知った。部屋を弟に取られた。

 理由は、まだ実家にいる弟の部屋のエアコンが壊れたため、新たに買い直すのだったら、全然使われていない僕の部屋を使えば良いという親の思慮に欠ける考えから。収納庫に置きっぱなしにしてた荷物はすべて取り出され、今は弟の使っていた部屋に置かれているらしい。母の誕生日が近いので食事でもどうかと電話したら以上の事後報告をされ、呆然自失となり、結局食事どころではなくなったのは言うまでもない。

 家を出るときは別に感慨深いものもなかったし、自分の部屋がどうとか、そんなことを考えたことすらなかった。でも不思議と今、実家に帰っても、もう自分の部屋はないんだと思うと、何だか悲しくてやるせなくてたまらない。中学に入るタイミングで引越し、初めて自分の部屋というものが与えられ(それまでは弟と同じ子供部屋だった)、それから15年近く使ってきた部屋。特に暇な学生時代は多くの時間を自分の部屋で過ごした、思い出のたっぷりつまった部屋。

 その部屋がもう自分のものではない。この事実は、仕方ないんだと思う一方で(そもそも実家は両親のものだし)、やはり簡単に割り切れるものでもない。もし実家に泊まるようなことがあったらどうするんだと抗議したら、使ってない和室で寝ればいいじゃないと一言。全然わかっていない。家を出る時に全然寂しくなかったのは、実家が手の届く範囲にあって、僕の部屋もそこにあって、そこは変わらないままだと知っていたからだ。

 これは完全なる僕のわがままだけど、その変わらないはずの実家が変わってしまうというのは、非常に大きなこと。いっそのこと実家が売却されるのであれば諦めもつくが、エアコンが壊れたという理由なだけで、安易に思い出の部屋を取られたことに納得ができない。和室で寝ろと言われたって、自分が15年住んでいた家に帰って客人みたいな扱いされたくないですよ。僕の部屋のエアコンだって、もうすぐ10年経つ(一度買い換えた)。これが壊れたら一体どうするつもりなんだ。

 ひとつ交渉したのは、もし弟が家を出て行くときは、部屋を元に戻して欲しいということ。親の性格からして実現されなさそうだけど(どうせもう使わないのだから、今更そんなことする必要ないだろうと言うだろう)、自分の部屋が元にもどらないうちは実家に帰りたくないとすら考えている。きっと帰るたびに、ああ自分の部屋はもうないんだと思うだろうから。それほどまでに大切な場所。これは実家を出て初めて気づいたこと。


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