Ray Of Hope/山下達郎


rayofhope.jpgRay Of Hope/山下達郎

 山下達郎が新譜を出すと朝のニュースになる。およそ6年振りの新作ということもあるのだろうが、そもそもアルバムを出してニュース番組に取り上げられる歌手なんて、あとは小田和正ぐらいじゃないだろうか。それだけプロモーションに力を入れてるのか、それとも達郎さんはメディアと良好な関係を持っているのかわからないけど(功労を讃えているのかもしれない)、前回のSONORITEといい、この人がアルバム出すとニュースになるなあと思った次第です。

 初回限定版は嬉しいJOY1.5付き。JOYというのはライブアルバムで、過去のベストテイクを集めたということもあり、ポップスでここまでの完成度を誇るライブアルバムを僕は他に知らない。これまで過去シングルのカップリングにちょくちょくライブ音源を付けていて、このJOY1.5ではそれらを(おそらく)リマスタリングして収録。

 まずは本編から。全14曲中9曲がタイアップ曲、うち2曲はPreludeとPostludeという位置づけなので、実質3/4がどこかで耳にしたことのある曲。最初からフルに作られた楽曲もあれば、CM用にサビを中心とした一部が作られ、それにメロディを加えていった曲もあるはず(違ってたらすみません)。なので、なんとなく小田和正の『どーも』と同じく、寄せ集め的な印象は拭えない。

 本作はもともと1年ぐらい前に『Woo Hoo』として発売予定だったのだけど、収録が遅れていくうちに自身のライブが始まってしまったり、奥さんの竹内まりやの収録が入ったりして延期された。そこにきて東日本大震災があり、タイトルを変え、楽曲も少し手直しをしたところがあるとのこと。歌で世界を救えないというスタンスを持つ(と勝手に解釈している)角松敏生とは対照的に、タイトルのとおり、達郎さんは本作が少しでも希望の光となってくれればという願いを込めているのだろう。

 第一印象は全然良くなかった。何せ、近年は2年連続でツアーを実施するほどバンド活動に精力的で(そして今年も!)、てっきりかっちりと固まった新山下達郎バンドでの収録なのだろうと思ってた。が、フルバンドの楽曲は一曲もなし(佐橋さんがいないよ)。ドラムの小笠原拓海やストリングスなど、コンピュータでは表現しきれないところを要所要所で起用するのは流石だと思うが、それにしても打ち込みが多すぎる。僕は、プロのミュージシャンというのは、CDと同じクオリティをライブでも見せられるものだという角松の音楽で育ってきたし、達郎さんだって90年代の『COZY』まではそのスタンスだったはず。ライブでの圧倒的なパフォーマンスを知ってしまったら、このアルバムでは到底満足できない。やっぱり、音楽は生、人間が演ってなんぼだと思うんですよ。

 もちろん曲のクオリティは高く、中でも<希望という名の光>や<街物語>、<MY MORNING PRAYER>は一つ抜けてる。それでも、得体のしれない残念感が漂う。ライブはライブ、CDは曲作りの場と割り切ったのかもしれない。あるいは単純にコスト的な問題なのか。ポップスに精巧さと完璧さを追求するドナルド・フェイゲン(スティーリー・ダン)だって打ち込みはないからなあ。そこいくと、金銭面では圧倒的に不利な状態にある角松が、それでも人の奏でる音楽にこだわり続けてるっていうのは本当に凄いことだと思う。

 あとは細かいことだけど、たぶんこのジャケットは幻に終わった「Woo Hoo」からそう変わってないのではないだろうか。「希望の光」と荘厳なタイトルからはかけ離れている。『僕の中の少年』とかね、ああいったイメージだった。CDというパッケージを買うのだから、ジャケットや歌詞カード、そういうところまで考えて欲しい。また、収録時間に余裕があるので、シングルのカップリングだった<ANGEL OF THE LIGHT>や<ミューズ>が収録されてもよかったのではと思う。詞のイメージからもアルバムからそう離れてはないはずだし(『RARITIES2』行きかなあ)。

 打って変わって、JOY1.5はやや物足りなさがかなりあるが、やっぱり凄い。<二人の夏>や<砂の女>、<こぬか雨>と自身の楽曲ではないのを7曲中3曲もいれるところが達郎さんっぽいし、BIG WAVEからの2曲も嬉しい。当時ライブの始まりに歌われた<アトムの子>が最後の曲というのは、JOY2.0を否が応でも期待してしまう。こんな世界がね、ライブで3時間以上も繰り広げられているんですよ。本当に。7曲という曲数がちょっと中途半端だけど、間違いなく本編よりこっちの方が聴く頻度は高いと思う。

 次はJOY2.0を期待したい。そしてまた、80年代のような傑作アルバムをもう一度。


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