2008年11月03日
colors/Kirk Whalum
colors/Kirk Whalum
久しぶりに素敵な音楽を紹介したいと思います。音楽で何かを表現できる人を、音楽を通して誰かに何かを伝えられる人を、僕は心の底から尊敬する。
テナーサックス奏者であるカーク・ウェイラム7作目、1997年のアルバム。僕がこの人を知ったのはもっともっと後で、よもや我らが角松の楽曲でも吹いていることを知ったのはそのさらに後のことだった。
もうサイト名は忘れてしまったけど、アーティスト名(曲名もかな?)を入れると、それと同じような雰囲気の曲を勝手に選んで流してくれるという、今のappleがやっているgeniusの著作権無視版みたいなサービスがあって、確かトム・スコットを入れたら流れてきたのがこのアルバムに収録されている曲。サックスが歌ってる、この言葉が本当に意味することを初めて教えてくれたのが彼だった。
正確に言えば、歌っているのかどうかはわからない(そもそも何を持って「歌っている」と定義するのかもわからない)。でも間違いなく、その音の持つ表現を超えた何かを感じる。僕らは色々なことを「言葉」を通じて理解する。そういう意味で、人は自分の感情を「言葉」で理解するから、その感情が伝わってくることを、「歌っている」と表現するのかもしれない。彼よりも前にデビッド・サンボーンやトム・スコット、ウェイン・ショーターなんかに出会っているのだけど、単なるメロディを超えた何かをサックスで僕に伝えてくれたのは、このアルバムだった。
例えばデイヴ・コズやケニー・Gと比べたらずっと泥臭いのだけど、音楽に対するリスペクトと音楽を楽しんでいる気持ちがひしひしと伝わってくる。今の季節にピッタリの1枚です。
2008年07月12日
TOTO
TOTO/TOTO
最近再びかなりの頻度で聞くようになったTOTOのファーストアルバム。TOTOと言えば『TOTO IV』があまりに有名だけれど、AORという観点においてはこのデビューアルバム『TOTO』が圧倒的。デヴィッド・ペイチ、ボビー・キンボル、デヴィッド・ハンゲイト、スティーブ・ルカサー、スティーブ・ポーカロ、ジェフ・ポーカロ、このオリジナルメンバーのTOTOはAOR史上最高のロックバンドだろう。
いきなりインストの<Child's Anthem>から始まり、Airplayっぽい<I'll Supply The Love>と続き、今なおTOTOの最高傑作と名高い<Georgy Porgy>。1978年にこれだけの音楽をやったのは賞賛に値する。雰囲気を壊さないまま<Manuela Run>、<You Are The Flower>、ロックバンドであることの証明<Girl Goodbye>。ジェフ・ポーカロが完璧。一息ついた<Rockmaker>ではメロディの美しさを見せつけてくれる。<Rockmaker>(ルカサーのギターが鳥肌もの)で元に戻り、そして<Hold The Line>。最もTOTOらしさが出ている曲だろう。これを聞いてポーカロすごい!何この音楽!と思える人はどっぷりと浸かってもらえばいいし、そうでない人は無理に聞くことはない。最後の<Angela>は無理矢理締めにきたという感じかな。でも最後まで守備範囲の広さを見せつけてくれる。あっという間に全曲が終わってしまう珠玉の1枚。
最近のロックは、どうも音が軽すぎて好きじゃない。音(音楽)の表情が全然見えない。好みの違いだろうけど、音が音として成立してないような音楽は音楽ではないと僕は思ってる。1つ1つのベース音、きちんとフレーズを弾くギター、分厚い音のシンセ、手足の動きが見えてくるドラム。そういうのがAORと言われる所以なのかもしれない。
AOR好きなら絶対に1家に1枚。
2008年06月23日
Heroes/David Benoit
Heroes/David Benoit
僕の大好きなピアニスト、デビッド・ベノワが敬愛する音楽のカバーアルバム。つい最近、日本ではポップスの名曲をカバーするのが流行ったけれど、オリジナルアルバムが売れないから曲の力を借りて何とかしようという商業主義の塊とは主旨もレベルも桁違いに異なる。確かにジャンルはバラバラだ。ビル・エヴァンスやオスカー・ピーターソンがある一方、ドアーズやマイケル・ジャクソン、それにエルトン・ジョンやビートルズまで。でもそれらは彼が音楽家になった理由。きっかけと、成長と、現在が全てこの1枚につまってる。このアルバムは、デビッド・ベノワそのものなのだろう。
最初、デビッド・ベノワが<Waltz For Debbie>をやるのはどうだろうと疑問に感じてた。ポップスのアレンジ曲とはわけが違う。でも聴いてみたら、なるほどこの人らしいなと思った。すごく実直。彼はビル・エヴァンスを敬愛していて、プレイスタイルも少し通じるところがあると思うのだけど、多分自分でも同じことをやるのは無理だとわかってるし、自分は自分の道を行くしかないこともわかってる。そのことが本当にストレートに、曲に出ている。こざっぱりした真面目なワルツ。そして、<Your Song>がすごく素敵。
彼は数少ない、音楽に対して本当に真っ直ぐに向き合うピアニスト。だから聴いていてすごく気持ちいい。リリカルという言葉がよく似合う。聴く人に情景を浮かばせるテクニックと、音楽への愛に溢れている。
ライナーノーツに面白い言葉が載ってるので、ぜひともこれを紹介したい。
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チャーリー・ブラウンがシュローダーの部屋に入ると、彼は厚いコートをかぶりながらステレオから流れる音楽を聴いていた。 「シュローダー、なんでコートなんか着てるんだい?」
シュローダーはこう答える。「ベートーベンを聴いていると震えがとまらないんだよ!」
これが音楽の力だ。
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ちなみにデビッド・ベノワはアルバムを出してしまうほどチャーリー・ブラウンのファン。シュローダーは、いつもおもちゃっぽいピアノを弾いている人です。ベートーベンに心酔しているらしい。
今年の夏も、コットンクラブで聴いてくる予定です。
2008年03月24日
playlist/kenny "babyface" edmonds
playlist/kenny "babyface" edmonds
ご存知、超有名プロデューサーのベイビーフェイス。ボビー・ブラウン、ホイットニー・ヒューストン、エリック・クラプトン、Boyz II Men、マライア・キャリー、彼が手がけた作品は数知れず。そんな彼の2007年発表のソロ作品。去年の10月に六本木のBillboard Liveに来たけれど、チケット代がふざけてたので生で聴くことはできませんでした。ベビーフェースって言うだけのことはあって、全然知らなかったんだけど、この人今年で50歳なんですね。
僕とベイビーフェイスの出会いは、超名盤の『MTV Unplugged NYC 1997』(これは1家に1枚)。高校1年生の僕にとって本当に衝撃的な音楽だった。ここから全てが始まったといってもいいかもしれない。透明感のあるみずみずしい声と、上質なバックグラウンド。別世界だった。
このアルバムは、オリジナル2曲にカバー8曲という構成。有名どころとしてはクラプトンの<wonderful tonight>にボブ・ディランの<knockin' on heaven's door>。この2曲は、世界一美しく仕上がったと言っても過言ではない。もちろんオリジナルの良さというものはあるけれど、完全に自分の世界の音楽にしてしまっている。ここまでやられてしまうと、オリジナルがかわいそうというぐらい、良い感じに仕上がってる。あとは未発表曲らしいオリジナルの2曲も良いです。戦場の兵士に捧げた<the soldier song>に、想像だけど離婚して離ればなれになった子供に捧げた<not going nowhere>。
いわゆるブラックのテイストは全くなくて、僕の慣れ親しんできたベイビーフェイスの音楽がつまった1枚。どことなく懐かしくて、でもいつも新鮮で、温かくて。
音楽が色んな表情を見せてくれる。きっとこの人は音楽への愛に溢れているのだろうと思う。
2008年03月17日
Soul Speak/Michael McDonald
Soul Speak/Michael McDonald
"unforgettable voice"の持ち主、マイケル・マクドナルドのニューアルバム。『motown』、『motown2』に続いて、今回もソウルカバーが中心の作品。前2作も素晴らしかったけれど、これまた素晴らしいアルバムです。名プロデューサー、サイモン・クライミーが全編プロデュース。
とにかく1曲目から7曲目の流れが秀逸。これで1枚のアルバムとしても良いと思う。オリジナルはアレサ・フランクリン&ジョージ・マイケル、<I knew You Were Waiting(For Me)>はいきなりガツン。続いてスティービー・ワンダーの名曲<Living For The City>。これは誰が歌っても変わらない。山下達郎で知ったテディー・ペンダーグラスの<Love T.K.O.>(リンク先はyoutube)。本当に名曲です。ディオンヌ・ワーウィックの<Walk On By>。当然バカラック先生。そして次にオリジナルの<Still Not Over You(Getting Over Me)>。アップテンポで気持ちいい曲です。スティービー・ワンダーも歌った<For Once In My Life>。ハーモニカでスティービー自身も参加。これがとんでもなく素晴らしい。ラストは(ラストじゃないけど)ヴァン・モリソンの<Into The Mystic>。ドラムはヴィニー・カリウタ。残りは割愛させて頂くけど、ボブ・マーリーの<Redemption Song>は聴く価値ありでしょう。絶品。
ミュージシャンは、ドラムにエイブラハム・ラボリエルJr.、ギターがマイケル・トンプソン、ベースにネーザン・イーストという超強力布陣。これにマイケルの神様ボイスが加わるのだから、自ずと出る答えは決まっているようなものです。
この人の声に包まれると、やさしい気持ちになれる。目を閉じても色々なことが見えてくる。そういうアルバムは世の中にそんなに数多くはないと思う。
2008年02月11日
TEN SUMMONER'S TALES/STING
TEN SUMMONER'S TALES/STING
僕にはポリスを語る資格はないと思うけれど、STINGはギリギリ大丈夫だろうと思う。何しろポリスなんて<Every Breath You Take>しか知らないし(それでも当時は良かったのだろうね)、STINGを知ったのも1999年のニューアルバムから。正直に言うと最初STINGもドラムのヴィニー・カリウタというイメージしかなかったのだけど、もちろんそんなわけはなく、歳を取れば取るほど良いなあと思えるようになってきた。
85年に出したファーストソロから数えると6枚目の本作、間違いなく彼の歴代ベストアルバムではないだろうか。珠玉の名曲の宝庫。
アルバムの出だしは言葉通りの<PROLOGUE(IF I EVER LOSE MY FAITH IN YOU)>。このスケール感の大きさと迫力のある歌詞!これぞSTINGという世界観たっぷりの曲で、まさに壮大な作品の幕開けに相応しい。
彼の代表作とも言われる<FIELDS OF GOLD>は、STINGの真骨頂。あまりに美しすぎて、音楽という領域を越えたかのようにも思える。ロックンロールを忘れない<SHE'S TOO GOOD FOR ME>に、ドラムが凄すぎる<SEVEN DAYS>。STINGお得意の<EVERYBODY LAUGHED BUT YOU>、映画レオンにも使われた<SHAPE OF MY HEART>。こんな素晴らしいアルバムの締めには、どういうわけか最もポップス色の強い<EPILOGUE(NOTHING 'BOUT ME)>。この曲が実に面白いというか、とんでもないというか、ふざけているというか。全然終わらない終わらせ方で、しかも最後の言葉が"You'll still know nothing about me"。完璧なまでのSTINGの世界を見せつけておいて、まだまだこれからだよと、おちょくっているのかどうか知らないけど(良い意味で)、この人の凄さを見せつけられて終わる。
多くは語りません。一家に1枚です。
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2008年02月01日
UNDERWEAR/槙原敬之
UNDERWEAR/槙原敬之
僕が中2の時に買った、素敵な素敵なアルバム。当時はまだCDなんて数えるほどしか持っていなかったし、時期が時期だけに思いでたっぷりなので、多少のバイアスがかかってしまう点についてはご了承下さい。とにかく素敵な素敵なアルバム。
この頃のマッキーの音楽は、もうほとんど打ち込み中心のスタイルが確立されていて、たまにベースの小倉さんや時の人になったギターの佐橋さんが登場する程度。まあ、この人ほどピコピコ人工音のバックが合う人もいないのだけどね。
死ぬほど聞いた<PENGUIN>。高校生の時にやたらはまって、「製鉄所のコンビナートは赤と白の市松模様 君に見せるつもりだったロケットの模型と同じで」なんていう出だしの歌詞から胸がキュンキュンするのです。やたら切なくて、手に届きそうなものが届かなくて、それでもそこまで暗いイメージがつかないのは彼の歌唱力のなせる業だろうか。
続きまして、羽根が舞い散るPVが印象的だった<どうしようもない僕に天使が降りてきた>。サビを聞く限り、勢いだけの曲の気もする。「走る君の髪でシャツで 揺れるたくさんの白い羽根 いっぱい道路に落ちている 本当は探して欲しい」。よくよく考えてみると意味不明です。この頃のマッキーは勢いがあったんだよね。
こういう明るいのほほん曲は彼の十八番、<君の自転車>。大学生の時に、これ聞いて自転車が欲しくなりました。『君は僕の宝物』に収録されている<三人>と同じ雰囲気。<うん>、<I need you.>、<revenge>、<オオカミ少年>、<THE END OF THE WORLD>と素敵な曲が続きます。
東京生活を歌った<PAIN>。どうしたらこういう曲が書けるのだろう、歌えるのだろう。「今日ずっと抱えてたのが 僕だけにしかわからない痛みなら 誰も気づかない場所に 捨てて何もなかったように 今すぐ笑いたい」。
そしてハイライトの<LOVE LETTER>。Aメロ、サビ、Bメロ、サビの後の転調部分は日本のポップス史上最も美しい展開と言っても過言ではないと思う。「何回も何回も書き直した手紙は ずっと僕のポケットの中」。なのです。そういうものなのです。
全ての曲が素敵な1枚(1曲目は恒例のおふざけ曲だけど)。マッキーはとにかく歌詞なので、歌詞の引用ばかりになってしまいました。
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2008年01月04日
Players Presents TOSHIKI KADOMATSU Ballad Collection/角松敏生
Players Presents TOSHIKI KADOMATSU Ballad Collection/角松敏生
真っ黄色のジャケット。レコード会社からアルバムを出して欲しいと言われ、でも新アルバムのネタはなく(というかツアー続きでそんな余裕はなかった)、かと言ってベストアルバム的なものが心底嫌いな角松。そこで思いついたのが、ミュージシャン達に自分の楽曲をアレンジ(プロデュース)してもらい、あと自分は声を入れるだけという手法だとか。まあ、そんなことでおとなしくしている角松でないことは容易に想像できますが・・・。
パッケージの帯(裏ジャケ)には、音楽ライター金澤さんの歯が浮くような紹介が載ってますが、僕は僕で全曲紹介。
1. You're My Only Shinin' Star (Produced by 小林信吾)
これはバージョンを変えても特に変わらず。その昔シングルで出た<花瓶>の"hangover take with piano"に似てるかな。コーラスがないのでちょっとボーカルが浮き気味かなあという感じも。もっと盛大に、フルコーラス・フルオーケストラアレンジとかを期待したかった(そんな予算はない・・・?)。
2. 海 〜THE SEA〜 (Produced by 森俊之)
出ました、森俊之の変態アレンジ。変態アレンジなんて呼んで申し訳ないけれど、その昔「Groove Dynasty」で限定発売されたThree's Co.&Big Horns Beeの企画アルバムで、完全に自分の世界をフィーチャーしてしまった彼に敬意を表し、僕はそれ以来あえて変態アレンジと呼ばせて頂いてます。でも今回はアレンジャーとしての才能が開花(というかうまくマッチ)したと言っていい。サウンド的にはああやっぱりなという感じだけれど、フォーリズム+森俊之が原曲の雰囲気を殺してない。殊勲賞は今剛。森さんは今後の角松にとってキーマンになると思う。
3. LIVE (Produced by 江口信夫)
フォーリズム。バラードの重たい雰囲気が一掃されてしまい、それが良かったかというと、僕はそうでもないと思ってる。25周年ライブDVDで青木智仁に捧げられた曲となったし(実際のライブでは違ったのだけど)、知らないうちに自分の中で何かとリンクしてしまったからなのかもしれない。江口さんが選んでしまったのだからしょうがないけれど、できればいじらないで欲しかった。
4. もどり道 (Produced by 友成好宏)
これはそれほど変わらず。曲調よりもコーラスの変化の方がインパクトがありました。安心して聴ける曲。
5. 5000マイルのカウンター (Produced by 今剛)
今剛が角松のバックで弾いていることは驚きだけれど、むかしむかし、80年代も一緒にやっているのだから、自身が参加した<Dreamin' Walikin'>や<It's Too Late>を選んでくれたら、全ての角松ファンは泣いて喜んだに違いない。今さんの多才さはよくわかったけれど、曲自体が最近なのでどうにも新鮮味がなく、そんなに違う感じがしない。
6. SINGLE GIRL (Produced by 田中倫明&大儀見元)
タンゴ調とでもいうのですかね。アレンジをするということは、こういうことを言うのでしょう。よくぞここまで変えたよなと思う。梶原順がいなかったら成立しなかったでしょう。
7. RAIN MAN (Produced by 森俊之)
再び森俊之。これまた曲の魅力をうまく引き出した。原曲の雰囲気は変えずに別の聴かせ方をするとでもいうのかな。このアルバムに収録されている曲の中で唯一オリジナルよりも好きかもしれません。なぜかフルートは本田雅人(この人の多才さには本当に驚かされる)。
8. 月のように星のように (Produced by 千秋、凡子&上地一成)
これはプロデュースメンバーを見た瞬間から、何となく想像できた。てっきり沖縄テイストを入れてくるのかと思いきや、そこは正攻法ア・カペラ。ただしこれなら角松の一人多重録音でも良かったのではないかと思う。好き嫌い別れるかもしれないが、僕は角松のコーラスが大好きです。この水のようなブルーの透明感は角松に与えられた天賦の才能の1つだと思う。
9. WHAT IS WOMAN (Produced by MAOCHICA)
ピアノ2台でいくのかと思いきや、やはり最後は盛り上がってフィニッシュ。角松史上最も壮大な曲は、こうしなければいけないのでしょう。もっともっと激しく暴れても良かったと思う。本来ならこの曲順にいるべき曲ではないはずで、1曲聴いたら全てが終わるような感じの方が良かったかな。
10. これからもずっと (Produced by 松原秀樹)
元々打ち込みの曲だったから、初めてバンド演奏になったのかな。森俊之チックなアレンジ。なかなか良いです。特に最後の沖縄組のコーラスが素晴らしい。
11. 崩壊の前日 (Produced by 山内薫)
これは凄い。後ろを振り返る曲から、見事前を向く曲に変わった。#6や#7とはまた別の意味で、アレンジ1つでここまで変わるとはと思わされる曲。このアルバムのハイライトでしょう。オリジナルのドラムはポンタさんなので、これからは、江口さんが叩くときはこのバージョンでやれば良いかと思われます。ライブではかなり盛り上がりました。
12. NEW YEAR'S EVE (Produced by 梶原順)
これはどうしても原曲の打ち込みバージョンが耳に残っていて(それだけよく聴いたということです)、大好きな梶原順のギターのはずなのに、なんていうか、しんみりできない。最後のコーラス部分は好きですが…。
13. We're Together
唯一のオリジナル曲で、最近スポンサーをしてくれているTDKのCM用に作られた角松の新曲。<君という名の僕におしえたい>に似てる…。ただこういう新曲がお蔵入りになるのではなく、アルバムに収録してもらえるというのは嬉しい。<Jumper>も何かのタイミングで出してくれませんかねえ。
実は最初数回聴いたときはそんなに良く思えなく、やはりコンピレーションの域を出ないと感じていたのだけれど、このアルバムのライブに行った後は、これはこれで良いかもと思えるようになった。音楽というのは、聴く側も選ぶのだろう。不満点を言うとするなら、ミュージシャンがほぼ固定してしまっていること。限られたリソースでやらなければいけなかったのかもしれないけれど、ミュージシャンの選択肢が限られるということは、音楽の選択肢も限られるということに他ならない。どうせやるなら徹底的にやって欲しかった。
僕の勝手な想像だけれど、"Player's Prayer"で着々と身の回りを固め続けている角松。きっと次は彼らを十二分に活かした音楽作りができるはずで、来年か再来年には出るであろうオリジナルアルバムに期待します。
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2007年12月01日
自己ベスト2/小田和正
自己ベスト2/小田和正
5年前に発売された『自己ベスト』に続く、ベストアルバム。小田和正はソロになってから22年が経つというのに、実は7枚しかオリジナルアルバムを出してない(しかもそのうち2枚はオフコース時代に作られたものとのこと)。その理由を僕が知るよしもないけれど、どこかの記事で、オリジナルアルバムを作っても売れないと漏らしていると読んだことがある。これが本当かどうか知らないけど、ベストアルバムは本作を含めてこれまでに4枚、オフコースのカバーを2枚出していることを考えると、本当なのかもしれないと思えてくる。
もし小田和正にオフコースの歴史はなく、そのままソロデビューしてたら、また違ったのだろうなと思う。オフコースをリアルタイムで知らない僕が言うのはおこがましいにもほどがあるけれど、あえて言うと、本人も周りも、オフコースを意識し続けているのがかわいそうに思える。アマゾンさんのレビューを見てみるとそれが顕著で、オフコースは絶対神聖のような扱いで、時に、ボーカル担当の彼をけなしさえする。それならそれで小田さんもオフコース時代の曲はやらなければいいのに未だにカバーするし、コンサートで歌うし、そして客は<YES-YES-YES>を合唱する。
売れなくたって未だに精力的にアルバムを作り続けている、我らが角松とは、根本的に思想が違うのだろう。できればオリジナルアルバムの方がいいけど、本人が作りたくないっていうのだから仕方ない。彼の音楽を聴きたければベストだろうがカバーだろうがCDを買えばいいし、そうでないなら買わなければいいだけのこと。聞き手はそのことを勘違いしてはいけないと思う。
何だかんだ言っても、頑なに、ベースにネーザン・イースト、コーラスに佐藤竹善を起用し続ける小田さんが僕は好きです。日本の音楽史に残る奇跡の歌声とやさしい歌。もう還暦を迎えたというのにはびっくりだけど、また『そうかな』みたいな素敵なアルバムを作って欲しい。
最後になってしまったけれど、このアルバムのジャケットは横浜がイメージ。生まれ育った横浜をいつまでも大切にし続ける小田さん。同じ横浜育ちとして嬉しい限り。
2007年11月18日
AFTER 5 CLASH/角松敏生
AFTER 5 CLASH/角松敏生
1984年に発売された、角松4枚目のアルバム。たまたま引っ張り出して聴いてみたら、改めて佳曲の宝庫だと感じた。そのことは、度々ツアーで歌われることからも、角松自身も認識しているのではないだろうか。ちなみにタイトルの"CLASH"は、"CRASH"の誤りと聞いたことがあるのだけど、真相はわかりません。タイトル曲はキッチリと<AFTER 5 CRASH>になっております。
青木智仁が炸裂の<IF YOU...>、佐藤準のシンセが響く<MIDNIGHT GIRL>、全てのスッチーに捧げたブラスアレンジがとんでもなく格好良い<AIRPORT LADY>、江口信夫と青木智仁のリズム隊が聞かせる<MAYBE IT'S LOVE AFFAIR>。バラードなんだけどサラッとしている<WILL YOU WAIT FOR ME>、80年代の角松の象徴的なナンバーでもある<STEP INTO THE LIGHT>から<AFTER 5 CRASH>への流れ。<AFTER 5 CRASH>は解凍後のツアーでラストに持ってきていたと記憶しているけど、まさにAORとも言えるこのナンバーは、本当にあらゆる要素がつまっている傑作。後の『GOLD DIGGER』を予感させる<NEVER TOUCH AGAIN>、そして至極のバラードである<I NEED YOU>。『1981〜1987』のセルフカバーバージョンの方がテンポが低くて好きかな。たしかそっちのテイクは、山下達郎の<Monday Blue>を意識して似たようなメンバーを集めたとか。最後に、いつか角松が「ふざけた曲」と言ってた気がする<HEART DANCING(あいらびゅ音頭)>。個人的には結構好きです。いつかコンサートでやってくれたら、絶対盛り上がると思う。
いやもう、本当、今の時代でも色褪せない名曲のオンパレード。音楽も歌詞も、80年代そのもので、何だか怪しい感じがするのは確かなのだけど、そういう時代は間違いなく存在していたのだろう。そしてこのアルバムはそのことをいつまでも証言し続けていくのだろう。
2007年10月20日
Waiting for Spring/David Benoit
Waiting for Spring/David Benoit
デビッド・ベノワ1989年の作品。ちょっと季節的に早いかな・・・。邦題には「ビル・エヴァンスに捧ぐ」なんて付けられてしまっているけど、フュージョン方面のピアニストと知られている彼が、正面からジャズと向き合った春を待つアルバム。すごく温かくて、キラキラと輝く、素敵な作品です。
この作品の中に、ビル・エヴァンスの作品は2曲、<Turn Out The Stars>と<Funkallero>。残念ながら僕はこの2曲のオリジナルを聴いたことがないので、比較してどうかということは言えないけど、確かに、全体を通して、ビル・エヴァンスのプレイスタイルを感じさせられる部分も少なからずある。でもそれぐらいかな。やっぱりデビッド・ベノワはデビッド・ベノワで、ビル・エヴァンスの影響を受けて育ったらしいけれど、第二のビル・エヴァンスを目指しているわけじゃない。彼には彼にしかできない音楽があるし、それをずっとやり続けてきている。
リアルタイムでビル・エヴァンスを知らない僕らにとって、デビッド・ベノワがいてくれて良かったなと思う。だって自分と同時代のミュージシャンにも、そういう素晴らしいミュージシャンの1人や2人いて欲しいじゃないですか。ビル・エヴァンスの音楽には小さな光が見えた。そしてこの人の音楽にも、光の種類はことなるけれど、温かい光が見える。そういうミュージシャンって数少ないと思う。
繰り返すけれど、すごく素敵な作品です。本人がジャケットに残しているコメントを借りれば、ホットチョコレートを飲みながら、やさしく降り積もる雪を眺めながら、春を待てばいい。この温かい音楽を聴きながら。
2007年10月01日
Tapestry/Carole King
Tapestry/Carole King
1971年に発表されたキャロル・キングのセカンドにして最大のヒットアルバム。15周連続1位獲得、その後も300週チャートインし続けたという、名実ともに大名盤。一家に一枚の作品です。間違いなく20世紀最高のアルバムの中の1つ。日本語だと『つづれおり』という、タペストリーを訳しただけなのだろうけど、結果的にすごく素敵なタイトルがつけられてます。もうじき来日するとのことで、ベストアルバムや紙ジャケが出たりして音楽シーンでは少しだけ騒がれているのかな。
素朴で力強い歌声。やさしさではない絶対的な温かみが根底にあり、いつだって僕はそれに救われ続けてきた。寂しいとき、やりきれないとき、何となく空白なとき、僕の隣には音楽があるんだってことを教えてくれた。
アルバム通して素晴らしい流れになっているけど、一番好きなのはやっぱり<Will you love me tomorrow?>。もっと早くこの音楽に出会えていたらなと思う。
2007年08月12日
線香花火/テリー&フランシスコ
線香花火/テリー&フランシスコ
これまで2枚のミニアルバムを出しているテリー&フランシスコの初シングル。シングルの売れないこのご時世としてはよくわからない行動だけど、もしかしたらフルアルバムに向けて動いているのかな。
今回もテリー&フランシスコの世界たっぷりというか、良い意味での時代遅れ感がすごく気持ちいい。僕が描く、そして求める(あるいは過去形かもしれない)夏というのは、きっとこういうこと。このメロディラインと世界観は1つの才能だと思う。しかも単調にならない曲展開は、さらなる飛躍を否が応でも期待させてくれる。女性コーラスやホーンが入ったバックにより、特徴的であった素朴さが少し失われてしまった気もするけれど、これはこれでいいのかもしれない。
カップリングの<夏のブリザード>は慣れてないことしてるよなという印象。無理矢理アップテンポにしなくてもいいでしょう、この人達は。<こぬか雨>のカップリングはなんか残念。多くのカバーもの同様、無難な仕上がり。アコースティック感たっぷりなのが特徴なのに、ピコピコ言ってるのはよろしくない。先代へのリスペクトたっぷりの彼らとしてはやりたかったのかもしれないけど(伊藤銀次と一緒にやるなんて彼らにとっては夢だっただろうことは容易に想像がつく)、それなら生バンド1つでやるべきでしょう。
ともあれ、これからがますます楽しみなアーティストです。
2007年07月14日
INDIGO/佐藤竹善
INDIGO/佐藤竹善
Sing Like Talkingのボーカル、佐藤竹善3枚目のソロアルバム。ノーチェックだったのだけど、音楽ライターの金澤さんがあまりに絶賛するので買ってしまいました。ちなみに前作『Okra』は、オクラが好きじゃないので聴いてません(ひどい理由だ)。
佐藤竹善は、音楽に対して非常に真面目な姿勢を持ってるから好きです。僕の大好きな角松は、僕がこんなこと言うのもよろしくないけど、なんとなく、絶えず何かにコンプレックスを持っていて、それを振り払おうとするのだけど、それでも不完全さが残る。背伸びなんかする必要ないのに、認めてる人はものすごく認めてるのに、それでも満足できなくて、なんかもやもやし続けてる(そこが好きなのだけど)。でも竹善には、等身大というか、自分にできる音楽をやればそれでいいんだ、みたいな良い意味での開き直りがある。そこに圧倒的な世界は広がらないが、居心地のよい空間を約束してくれる。
このアルバムはすごくやさしいです。ソロ1作目の『Fact Of Life』に比べると、信じられないぐらいやわらかい。小田和正とのユニット"PLUS ONE"の<カオ上げて>や、<届いたらいいな>なんかは、こっちが困ってしまうほど平和すぎて温かい。素敵なアルバムが誕生したのは間違いないだろう。
ギターのほとんどは浅野祥之。お別れを言うのは、このアルバムなんだろうなと思う。いい音楽を残してくれてありがとうね、ブッチャー。
これからどれだけの涙で ぼくは泣くのだろう 笑うのだろう
ぼくが決めていく景色の色 届いたらいいな ここから
(届いたらいいな 〜Gratitude〜)
素敵なミュージシャン達と、重なる時代を生きられる喜びを、心から感じています。
2007年06月10日
Innervisions/Stevie Wonder
Innervisions/Stevie Wonder
最近はAOR熱が冷め気味で、大御所スティーヴィー・ワンダーなんかに手を出し始めました。このアルバムは1973年の作品で、名盤中の名盤という扱いをされております。とにかく曲の流れが良くて、曲順通りアルバム1枚まるまる通して聴くお手本例でしょう。ミュージシャンとしては、ディーン・パークス、デビッド・T・ウォーカー、ウィリー・ウィークスなどが参加。まあ、ほとんど彼一人でやってしまっているのだけどね。
スティービー・ワンダーがどれだけ素晴らしいミュージシャンかは今さら語る必要もないだろう。むかしどこかのサイトで読んだ記事には、この人が亡くなったら伝説という言葉では語りきれないだろうなんて書かれていた。音楽への姿勢、そして音楽自体に与えた影響は計り知れない。
彼の楽曲は、間違えを恐れずに言ってしまえば宗教・哲学・思想の塊であると思う。どれだけ深くとれるかでその扱いが変わる。だから今まで、スティーヴィーの音楽にはあまり手を出してこなかった。表面だけをなぞることはしたくなかったし、かといって深く掘っていく気にはなれなかった。敬遠していたという方が正しいかもしれない。でも音楽という観点からすれば、そこにどういう背景があるにしろ、音楽そのものとして評価するのがフェアなのではないか。と思ったからこのアルバムを聴くに至った次第です。
関係ないけど、某アイドルグループのTV番組にゲスト出演し、あろうことかスティーヴィーと一緒に歌を歌ったときは、憤りを通り越して悲しい気持ちでいっぱいになった。音楽を冒涜するにもほどがある。
2007年04月29日
Seawind/Seawind
Seawind/Seawind
シーウィンド4作目にして、事実上解散前の最後の作品となった1980年発表の1枚。特筆すべきはジョージ・デュークがプロデュース。シーウィンドはハワイ在住のポーリン・ウィルソンとボブ・ウィルソンの夫婦を中心に展開されたバンドで、ハー・ヴィー・メイソンに認められたり、オリジナルメンバーにはジェリー・ヘイがいたり(今作ではゲストとして参加)、本多俊之の作品に参加したりと、何だかすごいです。
ジャンルをつけるとしたら非常に迷うけど、ボーカルつきのフュージョンとでも言うべきだろうか。明確な定義があるわけじゃないから、あくまでも僕がそう感じただけという話だけど、あまりにもホーン・セクションが独立し過ぎていて、そして音の完成度が高すぎる。テクニックがどうとかではなく、音楽として完成してる。タワー・オブ・パワーとも違うんだよな・・・。ポーリンのボーカルがパワフルで、でも切なくて、どことなくかわいげがあってと、やたら聴かせます。
音楽はもう素晴らしいの一言。特に1曲目の<What Cha Doin'>は、角松の打ち込みの手本なんじゃないかとさえ思わされる(思わされるだけでこっちは生だよ)、キチキチにタイトでご機嫌なナンバー(と思ったらVOCALANDでやってました…)。ホーンのフレーズが格好良すぎ。続く<The Two Of Us>と<Love Him, Love Her>では、とにかくボーカルのポーリンがいい。そこにやはりホーンがフィーチャーされた絶妙なバックが絡む。
このバンドは、おそらくだけど、ホーン・セクションという存在に大きな影響を与えたんじゃないかと思う。とにかく素晴らしいサウンド、これに尽きる。そういう意味では、音楽の歴史において重要な1枚と言ってもいいのだろう。必聴です。マストです。
残念なのは音の悪さと、ジャケットに"SEEWIND"と書かれているいい加減さ、そして「海鳥」なんていう邦題をつけるどうしようもないセンス。
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2007年03月24日
The Royal Scam/Steely Dan
The Royal Scam/Steely Dan
クラシックは芸術として認識される。伝統があり、格調が高く、どこか崇高なイメージがある。もしこの世に完璧な音楽があるとしたら、それはクラシックの楽曲にある、と言ってもおそらく差し支えないだろう。ではポップスは芸術なのか、という議論はさておき、ポップスでこのクラシックに肩を並べられるとしたら、スティーリー・ダン以外にないだろうと僕は本気で思っている。
これはスティーリー・ダン1976年発表のアルバム。彼らはこの後歴史に残る名盤『Aja』と『Gaucho』を残して事実上活動休止に入る(2000年に『 Two Against Nature』を発表し20年ぶりに復帰する)。どうしてもその2作品に隠れてしまうせいか、本作はそこまでの評価はされていない。
しかし彼らの音楽性が最もよく表れたアルバムが、この『The Royal Scam』だと思っている。なんていうかその後の2枚は"完璧すぎる"。その完璧の領域に行ってしまう前の最後の作品がこれ。個人的には一番好きな作品。ドナルド・フェイゲンの歌の下手さと(味はあるけど)、バックの音楽の素晴らしさが絶妙な味を出している。
チャック・レイニーとバーナード・パーディのリズム隊、そしてそれに絡むラリー・カールトンのソロ。1曲目の<Kid Charlemagne>は格好良すぎるし、圧倒的。<The Fez>は一説によればジェフ・ポーカロが叩いているとのことだが、アルバムに彼の名前のクレジットはない。僕は残念ながらバーナード・パーディとポーカロのドラムを聞き分けるほどの耳を持っていないのだけど、いずれにしろすごい。続く<Green Earrings>ではパーディーのリズムとデニー・ダイアスのギターが光る。アルバム全体がなんだか不安定な雰囲気で支配されているが、なんでこの時代にこれほどまでの音が出るのか、このことを考えるだけで、僕は身震いがして止まらない。
ちなみに日本盤だとアルバム名は『幻想の摩天楼』。しかも全ての収録曲に邦題がついている。
2007年03月18日
Greatest Hits/Luther Vandross
Greatest Hits/Luther Vandross
僕がルーサー・ヴァンドロスの音楽をきちんと知ったのは、彼のトリビュートCDが出た後だった。つまり、彼が亡くなった後(最近はまだ存命なのにトリビュート出たりするけど…)。なんだかやるせない気持ちで、僕は、黙って、彼の残した素晴らしい音楽に耳を傾けるしかなかった。
ジェイムス・イングラムやマイケル・マクドナルド同様、圧倒的な歌唱力。何を基準にすればいいかわからないけど、歌のうまさは、彼ら以上かもしれないね。この人より歌がうまい人を、僕は知らないと言えるかもしれない。そしてとにかく甘い甘い。バラードを歌わせたら彼の右に出るものは間違いなくいないだろう。
ミュージシャンとしては、ヴァンドロスにはかかせない存在であったマーカス・ミラーのスラップベースがすごくいい。あとはクレジットがないので、このアルバムにどこまで参加しているのかわからないけど、彼の歴代バックとしては角松がお気に入りだった故ヨギ・ホートン、僕の大好きなサックス奏者カーク・ウェイラム、アンソニー・ジャクソンやバディー・ウィリアムズ、ドク・パウエルなんかが支えていたことを記しておきたい。基本的には彼の歌声で霞んでしまうのだけどさ。
このCDは僕の嫌いな"ベスト盤"だけど、彼のCDはこの1枚しか持ってない。なんていうか、ヴァンドロスは僕にとってそういう存在。煌びやかなステージで、いつもヒット曲を歌ってくれる人。家ではそんなに頭から通して聴くということはしないけど、ドライブにはこのとんでもなく甘い1枚が似合うシーンがあったりする。<So Amazing>は思い入れのある曲です。
2007年02月11日
Not Too Late/Norah Jones
Not Too Late/Norah Jones
久々に買ったCDが、このノラ・ジョーンズの新譜。ワイワイ騒がれていた時には全くき興味を示さなかったのだけど、発売日に入手しました。でもなあ・・・たしかにノラ・ジョーンズなんだけどさあ・・・と、複雑な心境。なんかジャケットも怖いしさ(特に関係なし)。
安っぽい言葉で僕はあまり好きじゃないんだけど、それでもあえて使わせてもらうと、これまでの彼女の楽曲にはどことなく"ジャズっぽい"感じがあった。それが今作ではほとんど0。だから以前までの彼女の雰囲気が好きだった人には、この作品はダメだろうし、そうではなくて、彼女のスタイル全てが好きな人には、これはこれで味わい深いものがあると感じるのではないかと思う。ちなみに僕は前者です・・・。
DVDを見たときから、カントリー色丸出しの面を持っているのはわかっていたので、驚くべきところではない。それならそれでいいのだろうけど、どうもどの曲も同じに聞こえてしまう。メロディに特徴があるとかないとか、そういう話ではなくて、命を持っていない気がする。これが彼女のやりたかったことなら聞き手は受け入れていくしかないのだろうけど、欲を言えば、ノラの好きな音楽ではなくて、ノラの魅力を存分に活かした楽曲を聴きたい。前2作のインパクトが強すぎるというのもあるのだろうけど。
このスタイルの変化を、ポジティブにとらえるかネガティブにとらえるか、そして市場がどう反応するのか。"Not Too Late"なのは確かだろうけどさ。なんて、まとめてみたりして。
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2006年11月18日
Carry On/Bobby Caldwell
Carry On/Bobby Caldwell
Carry Onというと「Should we carry on〜」とAirplayの名バラードを思い出してしまう僕ですが、そうではなくてボビー・コールドウェル、1982年の作品。地味で、特に目立った曲もなく、話題にもされず、ジャケットだけが一人歩きしてた・・・
というのは嘘です。実はこのアルバム、苦労して手に入れた(新宿のタワレコで発見しました)はいいが特に心に残ることもなく、あまり聴かず終いだった。でも深夜FMヨコハマで午前3時(4時)からやってた80年代の音楽垂れ流しの番組で、やたらこのアルバムに収録されてる<Words>がかかっていたのです。それがきっかけで聴き直し、その深みにはまっていった、のかな、多分。
まず最初の4曲<All Of My Love>から<Words>までの流れがすごい。これぞAORだよ、アダルトなんだよ、と教えてくれる。<JAMAICA>は、僕はそれほど良いとは思わないのだけど、しばしば話題になってますね。ミュージシャンはスティーブ・ルカサーにポーカロなどTOTOのメンバー、ホーンにはタワー・オブ・パワーを迎えてます。サウンド的にはそういう感じです。
土曜の寒い寒い朝に聴くと、結構いいものでした。
今は紙ジャケで再発されてるので、多分すぐ手に入ると思う。邦題は「シーサイド・センチメンタル」。そのセンスに脱帽です。
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2006年11月03日
Live! Live! Live!/Bryan Adams
Live! Live! Live!/Bryan Adams
ブライアン・アダムスのライブレコーディングアルバム。1988年ということで、おそらく色々な意味で全盛期だった頃。でも今とちっとも変わってないところがすごい。この時点で既に完成形だったのだろうな・・・。
曲は当時リリースされたアルバムからが中心になっているのだけど、今ではヒットチューン中心だなという印象を受ける。ということはつまり、それだけ勢いがあったということ。その後も別に悪くないと思うけどね、僕は。
1曲目から16曲目はベルギーで、17曲目は日本の武道館でレコーディングしたもの。<The Best Was Yet To Come>から<Heaven>の流れが美しすぎます。やっぱりね、海外のライブって、盛り上がりが尋常じゃないんですよ。観客がわーっと歌っている曲もあるのだけど、日本でこれやっても成り立たないだろう。去年行った武道館ライブも、客が歌う部分の声が小さすぎて、結局自ら歌ってたし。
とにかくそんな雰囲気が伝わってくる18年前のライブアルバム。ブライアンは何と言ってもライブというイメージが強いのだけど、CDとしてはこれとMTV Unpluggedの2枚しか出してないはず(ブートレグは知らないけど)。貴重な1枚です。
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2006年10月18日
Far Cry/The More Things Change...
Far Cry/The More Things Change...
夏は終わってしまったけれど、過ぎ去った夏を偲びながら音楽を聴くのも悪くない。というわけで久々のAORな1枚。
例によってこれまた世界初CD化されたアルバムなのだけど、プロデューサーにエリオット・シャイナー、エグゼクティブ・プロデューサーにフィル・ラモーンというとんでもない布陣。前者は言うまでもなくスティーリー・ダン(この一言で十分ですね)、後者はビリー・ジョエルやポール・サイモンを手がけた、と言えばその凄さを理解してもらえるだろうか。
ランディ・グッドラムのデビュー作でもそうだったように、ここでもエリオット・シャイナーの音作りが展開されている。だからどことなくスティーリー・ダンっぽい。でもあれは天才のドナルド・フェイゲンがいたからこそ成立したのであって、他の人がやっても中途半端に終わる。そういうわけで、根底にある方向性は同じような印象を受けるものの、本当に"どことなく"というレベル。僕自身、ライナーノーツを読まなければそうは感じなかったかもしれない。
参加ミュージシャンはやはり豪華。ベースはウィル・リーやニール・ジェイスン、ドラムスにバーナード・パーディ、クリス・パーカー、エド・グリーンなどなど。基本的にはキチキチッとしたリズム隊。ドナルド・フェイゲンが2曲コーラスで参加しているのも面白い。彼の声って確かに特徴はあるけれど、決してウマいわけじゃないしな・・・。
目立った曲があるわけではないけれど、1つ1つの曲の完成度が高くて、一時期ヘビーローテーションになっていたこともあります。1曲目の<The Hits Just Keep On Comin'>は出だしとしては完璧だし、<Because It's There>でのニール&グリーンのコンビはちょっと他ではお目にかかれない。<The One And Lonely>や<Suddenly Strings>などのバラードもすごく綺麗。さすが、といった感じですかね。そりゃこのメンバーならこういう音楽に仕上がるよなと。
夏が終わってしまったのは寂しいけれどさ。うん、また来年。
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2006年10月15日
Kicks
Kicks
エロさ全開のこのジャケットから想像できるように、強烈にセクシーかつファンクな1枚。1999年の作品ということで僕が高校生のときに買ったCDなのだけど、17やそこらのガキには早すぎるアルバムなのでした。改めて聴き直すと、今ならこのエロさがちゃんと理解できる・・・ような気がします。
これがワン&オンリーのアルバムで、バンド自体たしか2年ほどの活動で終わっているはず。首謀者はトランペットの小林正弘、これにBIG HORNS BEEの面々が加わった感じ。ドラムスに沼澤尚と石川雅春、ベース青木智仁、ギター浅野祥之、キーボード小倉泰治、ゲストのアルトサックスは勝田一樹fromディメンション!超豪華。スーパーバンドという言葉がよく似合う。
ホーン隊が充実しているので、いわゆるフュージョンとは一線を画しており、どこまでもファンク。途中唯一リズムが打ち込みでメロディアスな<Keeps Me Loving>などもあるが、基本的には<B.J.>、<Desire>、<Room302>といったビートナンバーがメイン。レコーディングなのにライヴの雰囲気が手に取るようにわかる。しかしタカさんのドラムはこういう音楽に本当によく映えます。
澄んできた空とともに。
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2006年08月20日
Summer 4 Rhythm/角松敏生
Summer 4 Rhythm/角松敏生
夏だ!太陽だ!海だ!と直情的な想いがこめられたアルバム・・・かどうかは知るよしもないけれど、角松の"夏アルバム"。陽射しが強くなり始めた夏の始まりから、秋の気配を感じさせるところまで連れていってくれる。
タイトル名の4はバックミュージシャンの数を表していて、沼澤尚(Ds.)、小林信吾(Key.)、浅野祥之(G.)、青木智仁(b)の4人が基本構成。青木さん・・・この人がいなかったら、この構想はなかっただろうし、もしかしたら日の目を見ない曲もあったかもしれない。あなたがこの世を去ってから最初の夏です、青木さん。
1曲目の<BEAMS>から9曲目の<桃色の雲>まで、比類なき展開の良さを見せます。夏を一気に駆けめぐる。曲によってはギターのカッティングを角松が左チャネル、ブッチャーが右チャネルで聴かせてくれるものがあってすごく心地良い。夏を音楽で語らせたら、この人の右に出るものはいないだろうと思う。シンプルなサウンド構成だって聴かせられるものがあるんだということ。実際はサックス(本田雅人)やストリングスも登場しているのだけどね・・・。
そこで夏は終わりで、あとは最後の締め。バラードの<Last Flight>は<Ramp In>続編と位置づけられているらしいけれど、元々<Ramp In>は日航機墜落のスチュワーデスに捧げられた曲だしな…。今年も過ぎ去りましたね、8月12日が。だから続編なんて初めからないし、あってはいけない。
11曲目、特別な思い入れのある<Gratitude>。歌詞がそれまでに角松が見せたことのないやさしさに溢れていて衝撃的だった。21歳の夏、1つ1つの言葉が胸に落ちていきました。
最後に<君のためにできること>。これだけギターが梶原順。エリック・クラプトンの<Layla>でスライドギターを弾いたデュアン・オールマンみたい・・・とは言い過ぎかもしれないが、この人選はさすがだと思った。ちなみに20周年リベンジのアンコールでやった、ポンタさんのドラムアレンジが耳に残って離れません。前向きな歌。少しずつ歩いていけたらなと思う。
たった3年前に出たアルバムなのに、このアルバムと過ごした夏は、はるか遠く昔のように感じる。
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2006年08月11日
ON THE STREET CORNER 3/山下達郎
ON THE STREET CORNER 3/山下達郎
久々に引っ張り出して聴いてみたらすごく良かったので。達郎さんの真骨頂、ワンマン・ア・カペラというか、1人ドゥー・ワップというか。日本でこんなことできるの彼しかいなくて、まさに独壇場。ライナーノーツにはコーラス友達がいないから一人でやったと書かれていたけど、あなたと一緒にコーラスできる歌い手なんて日本にいませんよ、達郎さん。
楽曲の方は<STAND BY ME>や<LOVE T.K.O>しか知らなかったけど、本当に世界には素敵な音楽が溢れているのだなと。オリジナルの<LOVE CAN GO THE DISTANCE>も負けじと存在感を出していて、さすがという感じです。
とにかく凄いです。音楽への愛、音楽に対するリスペクトに溢れている。なぜそこに音楽が存在しているのか、そして何のために歌うのか。この情報過多の現代では遠く忘れ去られているそういったことを、それはね〜、と知らないうちに教えてくれる。まさに原点回帰の1枚。
2006年08月09日
All Dressed Up.../David Roberts
All Dressed Up.../David Roberts
かつて5桁の値段がついていたほどのレアアルバムだが、ついに再発ということで巷で話題の1枚。リマスターされたという割りには音は全然良くないし、TOTOのメンバーで固められたサウンドにも、正直そこまで惹かれなかった。早い話、どうしてそこまで評価されていたのかが全然わからなかった。これに10万出すなら、僕はエアプレイを10枚買うし、スティーリー・ダンをもう1セットコンプリートするよと。
曲自体は80年代ロックど真ん中というか、当時やれることは全てやっている感じがして、音楽的には優秀なんだろうなと思う。きっと全曲ジェフ・ポーカロが叩いたというのも貴重なのだろう。アップテンポからスローバラードまで、ウエストコーストの世界が綺麗にまとめてくる。AORとしてはきっと文句なしなのだけど、僕としてはなんか飛び道具がもう1つ欲しかったよなと思ってしまう。
この再発には音楽ライターの金澤さんが絡んでいるのだけど、彼のブログにも書かれていた通り、きっと(初期の)TOTOやAIRPLAYをどう評価するかで、このアルバムに対する見方も変わってくるのだと思う。必ずしも対極にあるものではないと思うが、TOTOやAIRPLAYみたいにロック色が強い音楽を、ちょっと"大人な感じ"が漂うその他AORと一緒に並べることができるかどうか。いくらミュージシャンが同じだとはいえ、例えばTOTOとボズ・スキャッグスを同列で語ることができるかどうかということ。
TOTOだってAIRPLAYだって大好きだし、ハイトーンのボーカルは大好物。ただしこの2つと比べてしまうと、ちょっと弱いのかなあと。それだけのことです。残念ながら僕はこのアルバムの5桁の価値がわからない人間だけれど、トミー・ファンダーバーグが好きな人ならきっと気に入るのだろうな。
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2006年08月06日
テリー&フランシスコ
テリー&フランシスコ
去年の夏はコレでした。そして今年の夏はこの(ミニ)アルバム!すごくいい!!
2006年の夏、僕らは海へ向かった―
そんなお話が始まってしまいそうな1枚です。
音楽ライターの金澤さんもこのアルバムをブログでとりあげていたけれど、僕はテレビで流れた瞬間から気になり、思わずメモにグループ名と曲名を走り書きで残した。なんか同じだなって嬉しかった(ママレイド・ラグも好んで聴いていたし)。角松を聴いて育ってきたのだから、必然的に共通する感性を持つようになるのかな。あるいは元々そういう感性を持っていたから角松を聴くようになったのか、どちらが先なのかはわからないけれど。
僕らの時代に、第二のはっぴいえんどやシュガー・ベイブの登場を期待することはできない。1つの音が出た瞬間に伝説となった彼らのような存在は、もう二度と生まれてこないだろう。時代そのものが奇跡であったような瞬間は、僕らの未来にはきっと訪れない。でも嬉しいことに、そんな音楽を聴いて育ってきた人たちがいる。このテリー&フランシスコもきっとそう。
甘くゆるやかな声、生音の温かさ、遠く懐かしい世界。よく2006年のこの年に出てきたなと思う。「あぁ 月の幾何学が 繊細にあなたなぞる」(ためいきの銀河)なんていう詞、一体どこをどうしたら生まれてくるというのか。全曲日本語をすごく大事にしており、不思議なやさしさに包まれている。ちなみに元シンバルスのドラム、矢野博康と、フェンダー・ローズで佐藤博が1曲ずつ参加。
こうやっていつかの伝説を語り継いでいってくれるミュージシャンがいる限り、僕らの夏が終わりを告げることはないのだろう。
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2006年07月30日
Prayer/角松敏生
Prayer/角松敏生
角松のデビュー25周年を飾るアルバム。記念碑的なアルバムを出さず、あくまでもオリジナルアルバムにこだわるというところが角松らしい。色んな意味で彼の真価が出た1枚だと思う。
個人的には昨年に出た『THE PAST&THEN』は企画色が強かったし、『Fankacoustics』や『Summer 4 Rhythm』もオリジナルアルバムという感じがあまりしなかったので、2002年の『INCARNATIO』以来のオリジナルアルバムというような気がしてならない。バンドがシンプルな構成だった前3作に対し、やたら豪華なこのアルバムはいわば「総合アルバム」。どちらもアルバムであることには変わらないのだけどね。
そのことを証明するかのように、コンセプトの一貫性として秀逸だった『TIME TUNNEL』や『INCARNATIO』と同様、イントロダクションの<UGAM>からそのまま<Movin'>へ。本当にびっくりしたよ。いきなりスティーブ・ガッドじゃん!と。前々から参加することはわかっていたのだけど、てっきり1曲のみだと思ってたんですね。マーチングリズムのタイコ、跳ねまくるスネア。世界でオンリーワンの存在、スティーブ・ガッド。曲も無理することなくピタリとはまっている。いきなりドラムソロがあるし、森俊之はうねりまくりだし、今剛はべらぼうにうまい。殊勲者は小林信吾のピアノ。
続いてちょっと落ち着く<You made it>。ファンクな色は『Fankacoustics』で耳に馴染んでいたせいか、この手のナンバーはもうお手の物のように感じる。違うのはやはりスティーブ・ガッドの存在、そしてホーン4本という祝祭構成。豪勢だなあ。
アルバム前半最大の見せ場だろう<恋の落とし穴>。甘そうなこのタイトルとは裏腹に、爽快なアップテンポナンバー。スティーブ・ガッドにアンソニー・ジャクソンのリズム隊とバチバチです。こういう綺麗なアップテンポをやってくるところが、角松の変わったところかなとも思う。曲の終盤は完璧なリズム隊に今剛のギターソロ、角松のコーラス。これが真骨頂。
<Still know nothing at all>は一転してゆったりとしたバラード。歌詞が新たな世界へと進み出したのは前からと同じで、どん底三部作なんかはすごく個人的な垂直方向の想いがあったのに対し、今は水平方向にやすらかな想いが広がる。やはりこれは好みがわかれるだろうなと思う。小池修がサックス・ソロ。生粋のフュージョンプレーヤーという感じがするのだけど、編成を少なくしたバンドにはちょうどいいのかな。
25周年ライブの時に披露された<かなし花>。沖縄音楽のテイストを、角松のポップスにとりいれた曲。アルバム全般的にこういうテイストで行くのかなと思っていたらそうでもなかった。三線とコーラスだけで"沖縄"になるのは、不思議と言えば不思議。梶原順のアコギはやっぱりいいなとしみじみ思う。ここまでがスティーブ・ガッドのドラム。5曲も彼が叩いた日本人アーティストのアルバムってこれまで他にあるのだろうか?
ここからドラムは江口信夫に交代。アルバム参加は『The Gentle Sex』以来で6年半ぶり。音を聴く前はなぜ今さら江口さんなんだろうと不思議だったのだけど、繰り返し聴いているうちにだんだんわかってきた。
一発目の<日照雨>は気持ちの良い夏の幕開け。江口+山内薫のリズム隊。渋い。森俊之のアナログシンセ(Moog Voyager)が絶妙で、この辺りはキーボード3人でやった"Tripod"から吸収したところなのかなと思う。ホーンも5人、本田雅人はシンセサックスソロ。そしてやっぱり今剛のギターソロ。うまいなあ。曲のクレジットには実に17人の名前が並ぶ、お祭りムードたっぷりの1曲。
<アイシテル>はなんか今の角松そのままの気がする。「愛してなくても」「愛されなくても」それでいいんだと。深い歌詞に胸が痛みます。言葉を託したアコギのソロは角松自身。
情景がすぐに思い浮かぶ<Mannequin>。夜のショーウィンドウにあやしくライトアップされたマネキンを見て思いついたに違いない。それをこのアルバムの中で最もキャッチーなナンバーにしてしまうところが面白い。こっちがいくら笑いかけても無表情なマネキン。いつか君を振り向かせることができたなら。
打って変わってコーラスの千秋、ピアノの小林信吾と3人のみの<黙想>。歌詞が重いです。こういう方向にいってしまう角松はどうなんだろうなという気持ちはあるけど、それも仕方ないのかと納得もしてしまう。どこかにある出口がいつか見つかってくれれば、せめて救われるのだけれども。
タイトル曲の<Prayer>。絶対いつかやると思ってた沖縄(宮古)の方言でのラップがここで披露。何を言ってるかさっぱりわからない・・・。歌詞も沖縄っぽい気がする。自然の恵みと生きていることに感謝して、祈り続ける。いつまでもこの世界が変わらずに続きますようにと。
シングルカットされた<Smile>のアルバムバージョンは印象変わらず。あえてここに収録する必要はなかったのでは?と思う。ミュージシャン編成の問題はあるにしろ、シングルのカップリングだった<青い水から>の方が合ってるような。
最後、ボーナストラックの<初恋>。3年前に横浜アリーナで行われた20周年ライブリベンジの音源。往年の名曲にホーンアレンジが入ってすごくいい。故青木智仁に捧げられたもので、複雑な想いもあるのだけど、できる限りこうやって歴史に証拠として残してもらいたい。ポンタさんのドラムも絶妙で、本当にいいライブだったんだよなあ・・・。まだ青木さんのソロを聴くとグッと胸が熱くなります。
というわけで久々にAOR全開のアルバム・・・AORだよな、これは。角松がAORを解釈したらこうなるという1枚。問題は、今秋からのツアーでスティーブ・ガッドの曲を江口信夫はどう叩くのかということ。ポンタさんが真似して叩くとかはなしかなあと思ってしまうが、中途半端な出来にはしてこないだろうからアレンジに期待。
この数年の集大成になったような1枚。まさに角松敏生のデビュー25周年を飾るのに相応しいアルバムだろう。これが今の角松が出した一つの答え。ここからさらにどんな音楽へと向かうのか、この作品を聴いていると、自然とそんなことも気になってくる。
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2006年07月22日
Rendezvous/Christopher Cross
Rendezvous/Christopher Cross
ずっと欲しかったCD。AOR系のCDでは日本で世界初CD化なんていうのがよくあるが、あれは元々レコードが出ていたのをCDにしただけ。"だけ"と言っても、そこが凄いところなんだけれど(版権、マスタリングの技術など…)、このCDはなんと日本のレコード会社が発売。要は海外のレコード会社との契約が解除となったクリストファー・クロスに、日本が声をかけたということです。
レコード会社から契約を切られたからといって、じゃあ自費制作みたいなCDなのかといわれれば全然そんなことはない。音源はあるのだけど発売元がない、じゃあうちで出して下さいよ(と日本がオファー)、みたいな感じらしい。1991年の作品ということで、旬の80年代は過ぎてしまっているものの、まだまだやれてる。バックミュージシャンにはエリック・ジョンソン、ジョン・ペナ、ヴィニー・カリウタ、ジェフ・ポーカロ、カルロス・ベガ、ラリー・ウィリアムズなんかも参加。そしてクリストファー・クロスといえばこの人、マイケル・マクドナルドの太いコーラス。
何でこのCDがそこまで欲しかったのかと言うと、とにかく5曲目の<In The Blink Of An Eye>(邦題<瞳のきらめき>)が聴きたかったから。DVDでこの曲を耳にして以来ずっと気になっていたのです。こんなハイトーンが気持ちいい曲、彼にしかできないだろう。DVDの方がさらに声が高い気がするけど。
それ以外にも、<Rendezvous>ではなかなか聴けない綺麗なファルセットが聴けるし(意外な気もするが、元々声が高すぎるのであまり使わない)、音楽として1つの完成形だと思った<Isn't It Love>が素晴らしい。<Ride Like The Wind>に通ずるところがあるロック調の<Night Across The World>や<Nothing Will Change>、しっとりしたバラードの<Is There Something>や<A Fisherman's Tale>もいい。
クリストファー・クロスと言えばとにかくデビュー・アルバムとニューヨーク・シティ・セレナーデだけど、こんな素晴らしいアルバムだって残しているのです。見つけにくいだろうけど(廃盤?)、もしどこかで見かけたらぜひ。
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2006年07月17日
Mr. Lucky/Fools Gold
Mr. Lucky/Fools Gold
フールズ・ゴールドのセカンドアルバム、1977年の作品。もうお決まりだけど、これまた日本で世界初CD化。これが1700円ですよ!?つくづく日本のこういう音楽に対する評価は素晴らしいものがあるなと感じさせられる。現代に聞くべき音楽が全然なくて、80年前後に凝縮されているというのはあるべき形なのかどうかはわからないけれど。
ジャンルとしてはカントリーロックから、ウエストコーストへ、みたいな感じかな。まだ本格的に黄金のAOR時代には入ってなくて(とは言えSTEELY DANはこの年に『AJA』を出しているのだけど)、音楽的に地味というかストレートなところが溢れている。
バックミュージシャンはジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロ、デビッド・ペイチとTOTOの面々。キーボード(兼プロデュース)にデビッド・フォスター、オルガンにビル・チャンプリン、アルトサックスにトム・スコット。まあカリフォルニアな音なわけだけれど、ギラギラした太陽!一面ブルーの海!というよりは、夕暮れに素足で砂浜を歩き続けているような。最後9曲目、エンディングのインストはお見事。
あまり特徴のないアルバムだけど、ずっとカーステレオに突っ込んでおきたくなるような1枚。今年も夏が始まります。
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2006年07月04日
Needless Freaking/Dwayne Ford
Needless Freaking/Dwayne Ford
夏はやはりAORな季節。最近は全然CDを買っていないのだけど、そういえばこれを忘れてたなんていうものがいくつかあるので、しばらくはそれらを紹介できたらなと思ってます。
これは1981年の作品、邦題は『ストレンジャー・イン・パラダイス』。"いかにも"というこのタイトルとジャケットは、やはり多くのAOR名盤がそうであるように、日本オリジナル。80年代前半に量産されたAOR作品が、こうしてCD化・再発されるというのは、81年生まれの僕にとっては嬉しい限り。ライナーノーツによれば初CD化のときは10万を超える値段がついてたとのこと。