Room For Squares/John Mayer
Room For Squares/John Mayer
ジョン・メイヤー2002年のデビュー作。1曲目<No Such Things>の、最初の出だしでやられました。この衝撃は5年前にノラ・ジョーンズを初めて耳にしたとき以来。まだまだ若いなと思わせる一方で、その才能がひしひしと伝わってくる。シンプルなメッセージにシンプルな音楽。適切な例えではないかもしれないが、ジャック・ジョンソンがハワイじゃなくてアメリカ本土に住んでいたら、あるいはブライアン・アダムスがブルースに傾倒していたら、こんな音楽が出てきたのではないかと思う。
ずっと待っていた音楽に久々に、あるいはようやく、出会えた感覚。どこまでもシンプルで、音楽が持つ本来の良さを存分に引き出したかのような。メロディもフレーズもご機嫌に口ずさめるような。もうね、こういう音楽は大好きです。
挨拶代わりの<No Such Things>はセンスの塊。<Your Body Is A Wonderland>なんていうこっ恥ずかしい歌も歌ってしまうし、<Love Songs For No One>では一瞬の疾走感がたまらなく気持ちいい。<Back To You>や<Not Myself>は打って変わって貫禄たっぷり。何かの信仰なのか、13曲目はなく、ボーカルとしての力を見せ付ける14曲目の<St. Patrick's Day>でアルバムは終わる。すごいの一言。
音楽としてはロックベースだけど、本人が演奏するギターはどこまでもブルースっぽい(そしてやたらうまい)。クレジットを見ると、ボーカル・ギター以外にもキーボードやパーカッションもいけるみたいで、こういうマルチタレントを持つアーティストは大歓迎。
この後彼は、ジョン・メイヤー・トリオを結成したり、スティーブ・ジョーダンのプロデュースで何枚かCDをリリースしており、さらなる飛躍を遂げている。少し音楽性も変わり、それはそれで良いのだけど、この瑞々しさはデビューアルバムならではなのだろう。2000年以降、こういう音楽が出てきたこと自体をすごく嬉しく思う。'00年代を代表する名盤の1枚として挙げたい。
Graceland/Paul Simon
Graceland/Paul Simon
冬になるとポール・サイモンが聴きたくなる。低気圧の陰鬱な気候だったり、肌を刺すような寒さの中でスカッと晴れた青空だったり、彼の音楽はなんだかそういう冬の特徴的な日々によく合う。そして冬は寒いだけじゃないんだよと、素敵な春がくるよと、時折温かさを教えてくれる。
本作品は、ご存知サイモン&ガーファンクルのポール・サイモンのソロ作品8枚目であり、いわゆる「一家に一枚」のアルバム。南アフリカの音楽をふんだんに取り入れ、政治的な事情も重なって当時は物議をかもしたらしいが、とにかく歴史に残るアルバムの1枚であることに変わりはなく、アメリカでは1986年、1987年と2年連続でグラミー賞の評価を得ている(それぞれ最優秀アルバム、最優勝レコード)。
例えばスティーリー・ダンが、人はどこまで完璧な音楽(ポップス)を作り上げることができるのかを目指したとすれば、ポール・サイモンの本作は、どこまで音楽本来の意味に迫れるかを求めたものだと言える。そもそも人はどうして音を奏でるようになったのか、日々の暮らしに必要なものとなったのか、そしてなぜたまらなく魅了されるのか。
その1つの答えを、近代ポップスで示したのが間違いなくこのグレースランド。アフリカのグルーヴをルート(根)とし、近代的な言葉で、昔も今も変わらない普遍的なことを高々と歌い上げる。それも直接的ではなく、比喩を用いて、大事に大事に言葉を発するところがまたいい。ポール・サイモンはミュージシャンであると同時に、詩人といっても差し支えないだろう。
こんなにも究極的で、温かさに満ちた、そして愛すべきアルバムを、僕は他に知らない。
SOULBOOK/Rod Stewart
SOULBOOK/Rod Stewart
ロッド・スチュワートのカバー集です。まだ発売されて1ヶ月経ってないけど、一度聴いた瞬間に大のお気に入りとなり、最近のヘビーローテーション。すごくいいアルバムです。
もはやスタンダードナンバーと言ってもいい、ソウルとカテゴライズされる曲(しかし僕にとっては完全なるポップス以外のなにものでもない)を、あの特徴ある声でカバー。これがピタリとハマっていて、すごくいいアルバムに仕上がってます。何年経とうとも、いい音楽はいいということを認識させてくれる作品。
プロデューサーにスティーブ・ジョーダンとスティーヴ・タイレル(知らない)という人を迎え、それぞれが曲をプロデュース。スティーブ・ジョーダンはドラマーとしても有名で、前々回のクラプトンワールドツアーに同行している(はず)。なので、彼がプロデュースする曲は、ギターにレイ・パーカーJr.にディーン・パークス、キーボードにグレッグ・フィリンゲンスやデビッド・ペイチ、サックスにトム・スコット、ドラムはもちろん本人という超強力布陣。スティーブ・タイレルも、ギターはマイケル・ランドーやポール・ジャクソンJr.、ベースにネーザン・イースト、ドラムはラス・カンクル等といったこれまた豪華なメンバーを起用。これだけ条件が揃えば、いいアルバムにならないはずがない。
多分これはロッド・スチュワートがリスペクトする音楽を自分で歌ったもので、これらの音楽をいかに大切に思っているか、自分にとってどういう存在なのか、そして今自分が歌える喜び、みたいなものがひしひしと伝わってくれる。
それにしてもいいアルバムです。特にジェニファー・ハドソンとの<Let It Be Me>は絶品。<Tracks Of My Tears>、<Rainy Night In Georgia>なんかは、彼のオリジナルでは?と錯覚するほど。<If You Don't Know Me By Now>も言ってることはシンプルなのに、すごく壮大で、わけもわからず感動してしまう。こう振り返ると、スティーブ・タイレルがプロデュースした曲の方が、自分は気に入っているのかも…。でもスティーブ・ジョーダンもいいですよ。<Wonderful World>はちょっとポップにし過ぎじゃないかと思うけど。
秋の夜長のお供に。
NO TURNS/角松敏生
NO TURNS/角松敏生
2年8ヶ月ぶりの新アルバム。前作『Prayer』では、技術的な、ある意味職人的なこだわりを見せていたのに対して、本作ではもう少し肩の力が抜けたというか、自由な色合いが強いように感じる。この3年弱の間に色々なことがあって、その中で命を与えられてきた全12曲。ファンクラブ用CDには、先行する形でこの中から5曲アコースティックバージョンが収録されていて、その聴き比べをするのも楽しみだった。
例によって全曲紹介。ちなみに初回限定版はBlu-spec CDとして音の良さが謳われているものの、我が家の環境ではそこまで言うほどのものでもないと思った。音の分解能が高くなって、深みが増したような気もするけど、そういう解像度の進歩を必ずしも「音がいい」と呼べるかどうかは別問題だろう。これぐらいなら、Steely Danの方(当然ノーマルCD)が上だろう。何がいけないのかは知らないけど、日本のCDは総じて音が悪い。もう少し頑張ってもらいたいものです。
1.REMINISCING
爽やかなオープニングナンバー。昨年末のライブでドラムバージョンは聴いてたから大体想像はできていたけど、さらにホーンが加わってなんとも賑やかな曲に。もう疾走感たっぷり。夏に聴いたらそれこそ海に駆け出して行きたくなる。江口さんの重厚なドラムもいいが、なんとなく沼澤さんに叩いてみて欲しいと思った(もう再演はないのかなあ)。ブラスアレンジは森俊之。天才。
2.もっと
オリンピックを見ながら書いたという曲。こういうミディアムテンポで、コーラスワークが綺麗な曲、大好きです。松原さんのベースが非常にいい味を出してます。最後のトロンボーンソロはいかにも角松らしい。ここでもブラスアレンジは森俊之。天才。
3.木洩れ陽
アコースティックバージョンでも爽快な曲だったけど、さらに爽快に。ドラムが玉田富夢という人で、若手の育成を意識しての起用だとか。年齢的に一回りぐらいしか違わないような気もするけれど、日本屈指のミュージシャンとセッションする機会というのも重要な経験なのだろう。中間のギターソロは角松本人、バリバリのLAサウンドなのが面白い。
4.What Do You Think
アコースティックバージョンから一番変わったように感じた曲。正直、アコースティックだと音が厳しいところもあるように思えたが、ここではその不足分がきっちりと補われている。本アルバムで今剛と梶原順が競演するのはこの一作のみ。二人のギターソロが聴けます。千秋のコーラスがいい。
5.Love Junky
前作『Prayer』の<Mannequin>を彷彿とさせる、非常に最近の角松っぽい曲。ソロが豪華で、ギター(今剛)にピアノ(森俊之)にフェンダーローズ(小林信吾)。そして世界の本田雅人はフルートソロを披露。サックスでは参加してないんだもんなあ、すごいです本田さん。
6.美しいつながり
デビッド・フォスターへのオマージュ、らしい。綺麗なストリングスは森さんのシンセ、確かにエアプレイだ・・・。この曲でそんなことしなくても良かったと思うのに、そんなことしたかったのでしょう。
7.You can go your own way
歌詞はともかくとして、曲調は非常にほっとする。なんていうか、ライブそのまんまという感じがして。特にパーカッションだろうか、自分がライブ会場で、これと全く同じ音楽を聴いているところを容易に想像できる。やっぱり「メール」という歌詞が、時代に置いていかれてしまいそうで引っかかります。メタファーにすれば良かったのになあと。その辺の、変なリアルさを出したかったのかもしれないけれど。
8.PANSY
角松には珍しくヘビーな曲です。部分的にやってきたところは今までにもあるけれど、1曲まるまる、最初から最後までというのはない気がする。山下達郎の<YELLOW CAB>みたいな感じかなあ(ずっと派手だけど)。声にエフェクトかけて、ギターがうねって、シンセの音は歪んで。こういう曲を森俊之にやらせたら、右に出るものはいないだろう。
9.Falling in Love
緩やかなバラードナンバー。テンポがスローではないところがいい。コーラスがとても良いのだけど、ZOOCOという人を起用。が、コーラスをやらせたら日本で右に出るものはいないと思ってる(というか個人的にすごく好きな声の)角松自身のコーラスの方が好きです。そのコーラスワークがとても綺麗な作品。
10.鏡の中の二人
千秋とのデュエットはこれまでに2曲やってきたけど、今回、沖縄コーラス隊コンビのもう1人、凡子とのデュエット。もっとスローバラードを予想してたら全然違いました。どうしても千秋と対比してしまうのは申し訳ないところだけど、やっぱり天からの贈り物をもらった千秋の方が一歩も二歩も上だよなあと思う。
11.CAT WALK
昨年末のライブで披露されて、何だこの曲は(フリと掛け声が非常に恥ずかしいのです)・・・と呆気にとられていたが、CDで聴いてみたらなかなかよい曲。アガルタっぽいかな。間奏から転調部分なんかは特に。サビがやけにキャッチーで、これを聴きながら仕事に行った日は、ことあるごとに頭の中でグルグル回ってました。まあいい年してニャーはないだろ、ニャーは。でも、ニャー。
12.夜の蝉
久々のオール打ち込み。やっぱりこのピコピコはあまり好きになれないのだけど、曲そのものは好きです。コーラスはZOOCO。夏の終わりの夜が似合う曲だなあと思ってたら、夏の始まりの曲らしい。いつからか夏が一番好きになって、夏の始まりを喜び、夏の終わりを悲しむようになった。
言葉にするとおかしいのだけど、なんか、非常に角松っぽいアルバムだなと感じました。新しい音を探すなんて息巻いてなくて、そんなにコンセプトもなくて、いつの間にか出来上がってましたというようなアルバム。言わば、続・『TIME TUNNEL』。音楽的に大きく進化した角松のスタンダード。安心して聴けます。
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I/角松敏生
I/角松敏生
ファンクラブ限定CD。そのうち通信販売などで買えるようになるのかもしれないけど、とりあえず今は一般入手不可なので、ここで紹介するのもどうかと思ったのだけど、最新アルバムの情報もだんだん出てきたので、そろそろいいかなと。位置づけとしてはこの新アルバムのプレ版(ドラムレスバージョン)、そしてファンへの感謝の気持ちを表してくれた。実はかなり貴重な1枚。
角松のアルバムは、全曲紹介で。
1.REMINISCING
アルバムの中の1曲目というのは、聴き手を引きつける上で非常に重要だと思う。その1曲が、このアルバム全体を説明しているといっても過言ではない。角松も1曲目にはかなり気を使っていることが、過去のアルバムからもわかる。ジャラララララとアコースティックギターのオープニングはすごくさわやかで、否が応でも何かの始まりを感じさせる1曲。
2.木漏れ陽
キャッチーなナンバーで、日本語を大切にした歌詞。スチールペダルがこれでもかっていうほど活躍。梶原順と今剛のソロ掛け合い(?)がたまらなく気持ちいい。これでドラムがないっていうんだから、すごいの一言。
3.What Do You Think
最近の角松の作品には必ず1曲入る曲調。CDにコーラスは入ってないけど、ライブでの千秋のコーラスが非常に印象的だった。アレンジのしがいがありそうなので、新アルバムの方では果たしてどのように変わっているのだろうか。
4.美しいつながり
やさしいバラード。<Always Be With You>じゃないけど、年を重ねるにつれてこういう作品が増えてきたと思う。きっと対象とする愛の種類が変わってきたのだろうな。最近、自分自身もそういう境地になってきてしまいました。まだ早いよなあ。
5.You csn go your own way
女性目線の曲らしいです。が、男の僕には、どこがどう女性なのかはわかりません。歌詞に「メール」という言葉が出てくるのだけど、どうも僕はこういう時代を反映したような言葉が好きになれない。時が経つと陳腐な響きになってしまう気がする。まあ、メールってことで郵便と解釈できなくもないから、ギリギリのラインかな。
6.TOKYO TOWER
往年の名曲のリテイク。これはいい。ピコピコいってるオリジナルも良いけど、ファンクっぽいアレンジが妙に合っている。角松の今の技量、そしてすばらしいミュージシャンがいて初めて実現できたものだろう。とにかく山内薫のエレキベースがすごい。TOKYOの発音が2タイプあるのはなぜ?
7.NO END SUMMER
『1981〜1987』のアレンジはちょっとしつこく、でもオリジナルは今となっては音圧不足が否めない。というわけで待望だったリテイク。今までとは感じがちょっと違うので最初は戸惑ったが、もう慣れたかな(が、ノーエン"ド"はダサい)。これからはこのバージョンが正しいとか言ってたような気がするものの、ライブではほぼオリジナル版だったし。それにしてもこの曲は美しい。欲を言えば、アコギじゃなくてエレキを持ったオリジナルのリテイク。いつかお願いします。
8.アマミクの珠
千秋とのデュエット。今までのデュエットものは角松が裏方になることが多かったのだけど、これは角松がメイン。新アルバムには収録されないらしく、もったいないよなあと思う。夏に南の島で聞いたら最高だろうと思う。
9.砂浜
杏里30周年のお祝いとして。これはすごく好きな曲で、21歳のときに宮古島のダイビングインストラクターの人がしっとりと歌い上げてくれた(スナックで…)。森俊之がストリングスアレンジをしたと聞き、彼に対する評価がさらに上がりました。ここまで荘厳になるとはね。
さてさて、新アルバムが非常に楽しみです。
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The Cafe Carlyle Sessions/Christopher Cross
The Cafe Carlyle Sessions/Christopher Cross
待望のクリストファー・クロス新譜。去年の10月に来日してビルボードで公演を行った際に売られていたらしく、それから待つこと3ヶ月、ようやく手に入りました。なんか見るからにインディーズっぽいので、CD売れてないのかな?大丈夫なのかな?と余計なお世話が浮かんでしまうものの、音楽を聴く限りは全然大丈夫でした。相変わらず素敵な音楽です。
ジャケットを読むと、2008年4月、NYの"The Carlyle A Rosewood Hotel"内にある"The Cafe Carlyle"で行ったライブの雰囲気をそのままCDにしたものらしい。AORの代名詞とも言うべきクリストファー・クロスだけれど、本作はアコースティックギターにグランドピアノ、ウッドベース、パーカッション(ドラムもある)にサックスとジャズっぽく。でもよくある、ジャズ調にアレンジしてみました、みたいな安っぽいものではなくて、あくまでも原曲はそのまま、楽器を持ち替えたのでそれに合ったプレイをしている印象。これがすごく今の彼にハマっている。
3年前、ブルーノートに彼のライブを観にいったとき、女性キーボードプレーヤーのGuiGuiと前に出て、アコギセッションで何曲かやってくれて、それがすごく良かったのを記憶しているけど、その雰囲気。クリストファー・クロスの声はそれほど声量のあるものでもないし、音圧がないというか太くない。だから、時にアンプで増幅されたサウンドに負けてしまうような気さえする。それはそれで悪くないというか僕は好きなのだけど、でもこういうアコースティックスタイルだと本当にその良さが際立つ。
全曲コーラスなしで、いかにも一発録音でとりましたというシンプルな音。すごく温かくて、やさしくて、美しい。毎日聴きたい作品ではないけど、ちょっとした時にとびっきりの1枚です。
もし今年も来日してくれたら、観にいきたいなと思います。
colors/Kirk Whalum
colors/Kirk Whalum
久しぶりに素敵な音楽を紹介したいと思います。音楽で何かを表現できる人を、音楽を通して誰かに何かを伝えられる人を、僕は心の底から尊敬する。
テナーサックス奏者であるカーク・ウェイラム7作目、1997年のアルバム。僕がこの人を知ったのはもっともっと後で、よもや我らが角松の楽曲でも吹いていることを知ったのはそのさらに後のことだった。
もうサイト名は忘れてしまったけど、アーティスト名(曲名もかな?)を入れると、それと同じような雰囲気の曲を勝手に選んで流してくれるという、今のappleがやっているgeniusの著作権無視版みたいなサービスがあって、確かトム・スコットを入れたら流れてきたのがこのアルバムに収録されている曲。サックスが歌ってる、この言葉が本当に意味することを初めて教えてくれたのが彼だった。
正確に言えば、歌っているのかどうかはわからない(そもそも何を持って「歌っている」と定義するのかもわからない)。でも間違いなく、その音の持つ表現を超えた何かを感じる。僕らは色々なことを「言葉」を通じて理解する。そういう意味で、人は自分の感情を「言葉」で理解するから、その感情が伝わってくることを、「歌っている」と表現するのかもしれない。彼よりも前にデビッド・サンボーンやトム・スコット、ウェイン・ショーターなんかに出会っているのだけど、単なるメロディを超えた何かをサックスで僕に伝えてくれたのは、このアルバムだった。
例えばデイヴ・コズやケニー・Gと比べたらずっと泥臭いのだけど、音楽に対するリスペクトと音楽を楽しんでいる気持ちがひしひしと伝わってくる。今の季節にピッタリの1枚です。
TOTO
TOTO/TOTO
最近再びかなりの頻度で聞くようになったTOTOのファーストアルバム。TOTOと言えば『TOTO IV』があまりに有名だけれど、AORという観点においてはこのデビューアルバム『TOTO』が圧倒的。デヴィッド・ペイチ、ボビー・キンボル、デヴィッド・ハンゲイト、スティーブ・ルカサー、スティーブ・ポーカロ、ジェフ・ポーカロ、このオリジナルメンバーのTOTOはAOR史上最高のロックバンドだろう。
いきなりインストの<Child's Anthem>から始まり、Airplayっぽい<I'll Supply The Love>と続き、今なおTOTOの最高傑作と名高い<Georgy Porgy>。1978年にこれだけの音楽をやったのは賞賛に値する。雰囲気を壊さないまま<Manuela Run>、<You Are The Flower>、ロックバンドであることの証明<Girl Goodbye>。ジェフ・ポーカロが完璧。一息ついた<Rockmaker>ではメロディの美しさを見せつけてくれる。<Rockmaker>(ルカサーのギターが鳥肌もの)で元に戻り、そして<Hold The Line>。最もTOTOらしさが出ている曲だろう。これを聞いてポーカロすごい!何この音楽!と思える人はどっぷりと浸かってもらえばいいし、そうでない人は無理に聞くことはない。最後の<Angela>は無理矢理締めにきたという感じかな。でも最後まで守備範囲の広さを見せつけてくれる。あっという間に全曲が終わってしまう珠玉の1枚。
最近のロックは、どうも音が軽すぎて好きじゃない。音(音楽)の表情が全然見えない。好みの違いだろうけど、音が音として成立してないような音楽は音楽ではないと僕は思ってる。1つ1つのベース音、きちんとフレーズを弾くギター、分厚い音のシンセ、手足の動きが見えてくるドラム。そういうのがAORと言われる所以なのかもしれない。
AOR好きなら絶対に1家に1枚。
Heroes/David Benoit
Heroes/David Benoit
僕の大好きなピアニスト、デビッド・ベノワが敬愛する音楽のカバーアルバム。つい最近、日本ではポップスの名曲をカバーするのが流行ったけれど、オリジナルアルバムが売れないから曲の力を借りて何とかしようという商業主義の塊とは主旨もレベルも桁違いに異なる。確かにジャンルはバラバラだ。ビル・エヴァンスやオスカー・ピーターソンがある一方、ドアーズやマイケル・ジャクソン、それにエルトン・ジョンやビートルズまで。でもそれらは彼が音楽家になった理由。きっかけと、成長と、現在が全てこの1枚につまってる。このアルバムは、デビッド・ベノワそのものなのだろう。
最初、デビッド・ベノワが<Waltz For Debbie>をやるのはどうだろうと疑問に感じてた。ポップスのアレンジ曲とはわけが違う。でも聴いてみたら、なるほどこの人らしいなと思った。すごく実直。彼はビル・エヴァンスを敬愛していて、プレイスタイルも少し通じるところがあると思うのだけど、多分自分でも同じことをやるのは無理だとわかってるし、自分は自分の道を行くしかないこともわかってる。そのことが本当にストレートに、曲に出ている。こざっぱりした真面目なワルツ。そして、<Your Song>がすごく素敵。
彼は数少ない、音楽に対して本当に真っ直ぐに向き合うピアニスト。だから聴いていてすごく気持ちいい。リリカルという言葉がよく似合う。聴く人に情景を浮かばせるテクニックと、音楽への愛に溢れている。
ライナーノーツに面白い言葉が載ってるので、ぜひともこれを紹介したい。
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チャーリー・ブラウンがシュローダーの部屋に入ると、彼は厚いコートをかぶりながらステレオから流れる音楽を聴いていた。 「シュローダー、なんでコートなんか着てるんだい?」
シュローダーはこう答える。「ベートーベンを聴いていると震えがとまらないんだよ!」
これが音楽の力だ。
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ちなみにデビッド・ベノワはアルバムを出してしまうほどチャーリー・ブラウンのファン。シュローダーは、いつもおもちゃっぽいピアノを弾いている人です。ベートーベンに心酔しているらしい。
今年の夏も、コットンクラブで聴いてくる予定です。
playlist/kenny "babyface" edmonds
playlist/kenny "babyface" edmonds
ご存知、超有名プロデューサーのベイビーフェイス。ボビー・ブラウン、ホイットニー・ヒューストン、エリック・クラプトン、Boyz II Men、マライア・キャリー、彼が手がけた作品は数知れず。そんな彼の2007年発表のソロ作品。去年の10月に六本木のBillboard Liveに来たけれど、チケット代がふざけてたので生で聴くことはできませんでした。ベビーフェースって言うだけのことはあって、全然知らなかったんだけど、この人今年で50歳なんですね。
僕とベイビーフェイスの出会いは、超名盤の『MTV Unplugged NYC 1997』(これは1家に1枚)。高校1年生の僕にとって本当に衝撃的な音楽だった。ここから全てが始まったといってもいいかもしれない。透明感のあるみずみずしい声と、上質なバックグラウンド。別世界だった。
このアルバムは、オリジナル2曲にカバー8曲という構成。有名どころとしてはクラプトンの<wonderful tonight>にボブ・ディランの<knockin' on heaven's door>。この2曲は、世界一美しく仕上がったと言っても過言ではない。もちろんオリジナルの良さというものはあるけれど、完全に自分の世界の音楽にしてしまっている。ここまでやられてしまうと、オリジナルがかわいそうというぐらい、良い感じに仕上がってる。あとは未発表曲らしいオリジナルの2曲も良いです。戦場の兵士に捧げた<the soldier song>に、想像だけど離婚して離ればなれになった子供に捧げた<not going nowhere>。
いわゆるブラックのテイストは全くなくて、僕の慣れ親しんできたベイビーフェイスの音楽がつまった1枚。どことなく懐かしくて、でもいつも新鮮で、温かくて。
音楽が色んな表情を見せてくれる。きっとこの人は音楽への愛に溢れているのだろうと思う。
Soul Speak/Michael McDonald
Soul Speak/Michael McDonald
"unforgettable voice"の持ち主、マイケル・マクドナルドのニューアルバム。『motown』、『motown2』に続いて、今回もソウルカバーが中心の作品。前2作も素晴らしかったけれど、これまた素晴らしいアルバムです。名プロデューサー、サイモン・クライミーが全編プロデュース。
とにかく1曲目から7曲目の流れが秀逸。これで1枚のアルバムとしても良いと思う。オリジナルはアレサ・フランクリン&ジョージ・マイケル、<I knew You Were Waiting(For Me)>はいきなりガツン。続いてスティービー・ワンダーの名曲<Living For The City>。これは誰が歌っても変わらない。山下達郎で知ったテディー・ペンダーグラスの<Love T.K.O.>(リンク先はyoutube)。本当に名曲です。ディオンヌ・ワーウィックの<Walk On By>。当然バカラック先生。そして次にオリジナルの<Still Not Over You(Getting Over Me)>。アップテンポで気持ちいい曲です。スティービー・ワンダーも歌った<For Once In My Life>。ハーモニカでスティービー自身も参加。これがとんでもなく素晴らしい。ラストは(ラストじゃないけど)ヴァン・モリソンの<Into The Mystic>。ドラムはヴィニー・カリウタ。残りは割愛させて頂くけど、ボブ・マーリーの<Redemption Song>は聴く価値ありでしょう。絶品。
ミュージシャンは、ドラムにエイブラハム・ラボリエルJr.、ギターがマイケル・トンプソン、ベースにネーザン・イーストという超強力布陣。これにマイケルの神様ボイスが加わるのだから、自ずと出る答えは決まっているようなものです。
この人の声に包まれると、やさしい気持ちになれる。目を閉じても色々なことが見えてくる。そういうアルバムは世の中にそんなに数多くはないと思う。
TEN SUMMONER'S TALES/STING
TEN SUMMONER'S TALES/STING
僕にはポリスを語る資格はないと思うけれど、STINGはギリギリ大丈夫だろうと思う。何しろポリスなんて<Every Breath You Take>しか知らないし(それでも当時は良かったのだろうね)、STINGを知ったのも1999年のニューアルバムから。正直に言うと最初STINGもドラムのヴィニー・カリウタというイメージしかなかったのだけど、もちろんそんなわけはなく、歳を取れば取るほど良いなあと思えるようになってきた。
85年に出したファーストソロから数えると6枚目の本作、間違いなく彼の歴代ベストアルバムではないだろうか。珠玉の名曲の宝庫。
アルバムの出だしは言葉通りの<PROLOGUE(IF I EVER LOSE MY FAITH IN YOU)>。このスケール感の大きさと迫力のある歌詞!これぞSTINGという世界観たっぷりの曲で、まさに壮大な作品の幕開けに相応しい。
彼の代表作とも言われる<FIELDS OF GOLD>は、STINGの真骨頂。あまりに美しすぎて、音楽という領域を越えたかのようにも思える。ロックンロールを忘れない<SHE'S TOO GOOD FOR ME>に、ドラムが凄すぎる<SEVEN DAYS>。STINGお得意の<EVERYBODY LAUGHED BUT YOU>、映画レオンにも使われた<SHAPE OF MY HEART>。こんな素晴らしいアルバムの締めには、どういうわけか最もポップス色の強い<EPILOGUE(NOTHING 'BOUT ME)>。この曲が実に面白いというか、とんでもないというか、ふざけているというか。全然終わらない終わらせ方で、しかも最後の言葉が"You'll still know nothing about me"。完璧なまでのSTINGの世界を見せつけておいて、まだまだこれからだよと、おちょくっているのかどうか知らないけど(良い意味で)、この人の凄さを見せつけられて終わる。
多くは語りません。一家に1枚です。
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UNDERWEAR/槙原敬之
UNDERWEAR/槙原敬之
僕が中2の時に買った、素敵な素敵なアルバム。当時はまだCDなんて数えるほどしか持っていなかったし、時期が時期だけに思いでたっぷりなので、多少のバイアスがかかってしまう点についてはご了承下さい。とにかく素敵な素敵なアルバム。
この頃のマッキーの音楽は、もうほとんど打ち込み中心のスタイルが確立されていて、たまにベースの小倉さんや時の人になったギターの佐橋さんが登場する程度。まあ、この人ほどピコピコ人工音のバックが合う人もいないのだけどね。
死ぬほど聞いた<PENGUIN>。高校生の時にやたらはまって、「製鉄所のコンビナートは赤と白の市松模様 君に見せるつもりだったロケットの模型と同じで」なんていう出だしの歌詞から胸がキュンキュンするのです。やたら切なくて、手に届きそうなものが届かなくて、それでもそこまで暗いイメージがつかないのは彼の歌唱力のなせる業だろうか。
続きまして、羽根が舞い散るPVが印象的だった<どうしようもない僕に天使が降りてきた>。サビを聞く限り、勢いだけの曲の気もする。「走る君の髪でシャツで 揺れるたくさんの白い羽根 いっぱい道路に落ちている 本当は探して欲しい」。よくよく考えてみると意味不明です。この頃のマッキーは勢いがあったんだよね。
こういう明るいのほほん曲は彼の十八番、<君の自転車>。大学生の時に、これ聞いて自転車が欲しくなりました。『君は僕の宝物』に収録されている<三人>と同じ雰囲気。<うん>、<I need you.>、<revenge>、<オオカミ少年>、<THE END OF THE WORLD>と素敵な曲が続きます。
東京生活を歌った<PAIN>。どうしたらこういう曲が書けるのだろう、歌えるのだろう。「今日ずっと抱えてたのが 僕だけにしかわからない痛みなら 誰も気づかない場所に 捨てて何もなかったように 今すぐ笑いたい」。
そしてハイライトの<LOVE LETTER>。Aメロ、サビ、Bメロ、サビの後の転調部分は日本のポップス史上最も美しい展開と言っても過言ではないと思う。「何回も何回も書き直した手紙は ずっと僕のポケットの中」。なのです。そういうものなのです。
全ての曲が素敵な1枚(1曲目は恒例のおふざけ曲だけど)。マッキーはとにかく歌詞なので、歌詞の引用ばかりになってしまいました。
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Players Presents TOSHIKI KADOMATSU Ballad Collection/角松敏生
Players Presents TOSHIKI KADOMATSU Ballad Collection/角松敏生
真っ黄色のジャケット。レコード会社からアルバムを出して欲しいと言われ、でも新アルバムのネタはなく(というかツアー続きでそんな余裕はなかった)、かと言ってベストアルバム的なものが心底嫌いな角松。そこで思いついたのが、ミュージシャン達に自分の楽曲をアレンジ(プロデュース)してもらい、あと自分は声を入れるだけという手法だとか。まあ、そんなことでおとなしくしている角松でないことは容易に想像できますが・・・。
パッケージの帯(裏ジャケ)には、音楽ライター金澤さんの歯が浮くような紹介が載ってますが、僕は僕で全曲紹介。
1. You're My Only Shinin' Star (Produced by 小林信吾)
これはバージョンを変えても特に変わらず。その昔シングルで出た<花瓶>の"hangover take with piano"に似てるかな。コーラスがないのでちょっとボーカルが浮き気味かなあという感じも。もっと盛大に、フルコーラス・フルオーケストラアレンジとかを期待したかった(そんな予算はない・・・?)。
2. 海 〜THE SEA〜 (Produced by 森俊之)
出ました、森俊之の変態アレンジ。変態アレンジなんて呼んで申し訳ないけれど、その昔「Groove Dynasty」で限定発売されたThree's Co.&Big Horns Beeの企画アルバムで、完全に自分の世界をフィーチャーしてしまった彼に敬意を表し、僕はそれ以来あえて変態アレンジと呼ばせて頂いてます。でも今回はアレンジャーとしての才能が開花(というかうまくマッチ)したと言っていい。サウンド的にはああやっぱりなという感じだけれど、フォーリズム+森俊之が原曲の雰囲気を殺してない。殊勲賞は今剛。森さんは今後の角松にとってキーマンになると思う。
3. LIVE (Produced by 江口信夫)
フォーリズム。バラードの重たい雰囲気が一掃されてしまい、それが良かったかというと、僕はそうでもないと思ってる。25周年ライブDVDで青木智仁に捧げられた曲となったし(実際のライブでは違ったのだけど)、知らないうちに自分の中で何かとリンクしてしまったからなのかもしれない。江口さんが選んでしまったのだからしょうがないけれど、できればいじらないで欲しかった。
4. もどり道 (Produced by 友成好宏)
これはそれほど変わらず。曲調よりもコーラスの変化の方がインパクトがありました。安心して聴ける曲。
5. 5000マイルのカウンター (Produced by 今剛)
今剛が角松のバックで弾いていることは驚きだけれど、むかしむかし、80年代も一緒にやっているのだから、自身が参加した<Dreamin' Walikin'>や<It's Too Late>を選んでくれたら、全ての角松ファンは泣いて喜んだに違いない。今さんの多才さはよくわかったけれど、曲自体が最近なのでどうにも新鮮味がなく、そんなに違う感じがしない。
6. SINGLE GIRL (Produced by 田中倫明&大儀見元)
タンゴ調とでもいうのですかね。アレンジをするということは、こういうことを言うのでしょう。よくぞここまで変えたよなと思う。梶原順がいなかったら成立しなかったでしょう。
7. RAIN MAN (Produced by 森俊之)
再び森俊之。これまた曲の魅力をうまく引き出した。原曲の雰囲気は変えずに別の聴かせ方をするとでもいうのかな。このアルバムに収録されている曲の中で唯一オリジナルよりも好きかもしれません。なぜかフルートは本田雅人(この人の多才さには本当に驚かされる)。
8. 月のように星のように (Produced by 千秋、凡子&上地一成)
これはプロデュースメンバーを見た瞬間から、何となく想像できた。てっきり沖縄テイストを入れてくるのかと思いきや、そこは正攻法ア・カペラ。ただしこれなら角松の一人多重録音でも良かったのではないかと思う。好き嫌い別れるかもしれないが、僕は角松のコーラスが大好きです。この水のようなブルーの透明感は角松に与えられた天賦の才能の1つだと思う。
9. WHAT IS WOMAN (Produced by MAOCHICA)
ピアノ2台でいくのかと思いきや、やはり最後は盛り上がってフィニッシュ。角松史上最も壮大な曲は、こうしなければいけないのでしょう。もっともっと激しく暴れても良かったと思う。本来ならこの曲順にいるべき曲ではないはずで、1曲聴いたら全てが終わるような感じの方が良かったかな。
10. これからもずっと (Produced by 松原秀樹)
元々打ち込みの曲だったから、初めてバンド演奏になったのかな。森俊之チックなアレンジ。なかなか良いです。特に最後の沖縄組のコーラスが素晴らしい。
11. 崩壊の前日 (Produced by 山内薫)
これは凄い。後ろを振り返る曲から、見事前を向く曲に変わった。#6や#7とはまた別の意味で、アレンジ1つでここまで変わるとはと思わされる曲。このアルバムのハイライトでしょう。オリジナルのドラムはポンタさんなので、これからは、江口さんが叩くときはこのバージョンでやれば良いかと思われます。ライブではかなり盛り上がりました。
12. NEW YEAR'S EVE (Produced by 梶原順)
これはどうしても原曲の打ち込みバージョンが耳に残っていて(それだけよく聴いたということです)、大好きな梶原順のギターのはずなのに、なんていうか、しんみりできない。最後のコーラス部分は好きですが…。
13. We're Together
唯一のオリジナル曲で、最近スポンサーをしてくれているTDKのCM用に作られた角松の新曲。<君という名の僕におしえたい>に似てる…。ただこういう新曲がお蔵入りになるのではなく、アルバムに収録してもらえるというのは嬉しい。<Jumper>も何かのタイミングで出してくれませんかねえ。
実は最初数回聴いたときはそんなに良く思えなく、やはりコンピレーションの域を出ないと感じていたのだけれど、このアルバムのライブに行った後は、これはこれで良いかもと思えるようになった。音楽というのは、聴く側も選ぶのだろう。不満点を言うとするなら、ミュージシャンがほぼ固定してしまっていること。限られたリソースでやらなければいけなかったのかもしれないけれど、ミュージシャンの選択肢が限られるということは、音楽の選択肢も限られるということに他ならない。どうせやるなら徹底的にやって欲しかった。
僕の勝手な想像だけれど、"Player's Prayer"で着々と身の回りを固め続けている角松。きっと次は彼らを十二分に活かした音楽作りができるはずで、来年か再来年には出るであろうオリジナルアルバムに期待します。
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自己ベスト2/小田和正
自己ベスト2/小田和正
5年前に発売された『自己ベスト』に続く、ベストアルバム。小田和正はソロになってから22年が経つというのに、実は7枚しかオリジナルアルバムを出してない(しかもそのうち2枚はオフコース時代に作られたものとのこと)。その理由を僕が知るよしもないけれど、どこかの記事で、オリジナルアルバムを作っても売れないと漏らしていると読んだことがある。これが本当かどうか知らないけど、ベストアルバムは本作を含めてこれまでに4枚、オフコースのカバーを2枚出していることを考えると、本当なのかもしれないと思えてくる。
もし小田和正にオフコースの歴史はなく、そのままソロデビューしてたら、また違ったのだろうなと思う。オフコースをリアルタイムで知らない僕が言うのはおこがましいにもほどがあるけれど、あえて言うと、本人も周りも、オフコースを意識し続けているのがかわいそうに思える。アマゾンさんのレビューを見てみるとそれが顕著で、オフコースは絶対神聖のような扱いで、時に、ボーカル担当の彼をけなしさえする。それならそれで小田さんもオフコース時代の曲はやらなければいいのに未だにカバーするし、コンサートで歌うし、そして客は<YES-YES-YES>を合唱する。
売れなくたって未だに精力的にアルバムを作り続けている、我らが角松とは、根本的に思想が違うのだろう。できればオリジナルアルバムの方がいいけど、本人が作りたくないっていうのだから仕方ない。彼の音楽を聴きたければベストだろうがカバーだろうがCDを買えばいいし、そうでないなら買わなければいいだけのこと。聞き手はそのことを勘違いしてはいけないと思う。
何だかんだ言っても、頑なに、ベースにネーザン・イースト、コーラスに佐藤竹善を起用し続ける小田さんが僕は好きです。日本の音楽史に残る奇跡の歌声とやさしい歌。もう還暦を迎えたというのにはびっくりだけど、また『そうかな』みたいな素敵なアルバムを作って欲しい。
最後になってしまったけれど、このアルバムのジャケットは横浜がイメージ。生まれ育った横浜をいつまでも大切にし続ける小田さん。同じ横浜育ちとして嬉しい限り。
AFTER 5 CLASH/角松敏生
AFTER 5 CLASH/角松敏生
1984年に発売された、角松4枚目のアルバム。たまたま引っ張り出して聴いてみたら、改めて佳曲の宝庫だと感じた。そのことは、度々ツアーで歌われることからも、角松自身も認識しているのではないだろうか。ちなみにタイトルの"CLASH"は、"CRASH"の誤りと聞いたことがあるのだけど、真相はわかりません。タイトル曲はキッチリと<AFTER 5 CRASH>になっております。
青木智仁が炸裂の<IF YOU...>、佐藤準のシンセが響く<MIDNIGHT GIRL>、全てのスッチーに捧げたブラスアレンジがとんでもなく格好良い<AIRPORT LADY>、江口信夫と青木智仁のリズム隊が聞かせる<MAYBE IT'S LOVE AFFAIR>。バラードなんだけどサラッとしている<WILL YOU WAIT FOR ME>、80年代の角松の象徴的なナンバーでもある<STEP INTO THE LIGHT>から<AFTER 5 CRASH>への流れ。<AFTER 5 CRASH>は解凍後のツアーでラストに持ってきていたと記憶しているけど、まさにAORとも言えるこのナンバーは、本当にあらゆる要素がつまっている傑作。後の『GOLD DIGGER』を予感させる<NEVER TOUCH AGAIN>、そして至極のバラードである<I NEED YOU>。『1981〜1987』のセルフカバーバージョンの方がテンポが低くて好きかな。たしかそっちのテイクは、山下達郎の<Monday Blue>を意識して似たようなメンバーを集めたとか。最後に、いつか角松が「ふざけた曲」と言ってた気がする<HEART DANCING(あいらびゅ音頭)>。個人的には結構好きです。いつかコンサートでやってくれたら、絶対盛り上がると思う。
いやもう、本当、今の時代でも色褪せない名曲のオンパレード。音楽も歌詞も、80年代そのもので、何だか怪しい感じがするのは確かなのだけど、そういう時代は間違いなく存在していたのだろう。そしてこのアルバムはそのことをいつまでも証言し続けていくのだろう。
Waiting for Spring/David Benoit
Waiting for Spring/David Benoit
デビッド・ベノワ1989年の作品。ちょっと季節的に早いかな・・・。邦題には「ビル・エヴァンスに捧ぐ」なんて付けられてしまっているけど、フュージョン方面のピアニストと知られている彼が、正面からジャズと向き合った春を待つアルバム。すごく温かくて、キラキラと輝く、素敵な作品です。
この作品の中に、ビル・エヴァンスの作品は2曲、<Turn Out The Stars>と<Funkallero>。残念ながら僕はこの2曲のオリジナルを聴いたことがないので、比較してどうかということは言えないけど、確かに、全体を通して、ビル・エヴァンスのプレイスタイルを感じさせられる部分も少なからずある。でもそれぐらいかな。やっぱりデビッド・ベノワはデビッド・ベノワで、ビル・エヴァンスの影響を受けて育ったらしいけれど、第二のビル・エヴァンスを目指しているわけじゃない。彼には彼にしかできない音楽があるし、それをずっとやり続けてきている。
リアルタイムでビル・エヴァンスを知らない僕らにとって、デビッド・ベノワがいてくれて良かったなと思う。だって自分と同時代のミュージシャンにも、そういう素晴らしいミュージシャンの1人や2人いて欲しいじゃないですか。ビル・エヴァンスの音楽には小さな光が見えた。そしてこの人の音楽にも、光の種類はことなるけれど、温かい光が見える。そういうミュージシャンって数少ないと思う。
繰り返すけれど、すごく素敵な作品です。本人がジャケットに残しているコメントを借りれば、ホットチョコレートを飲みながら、やさしく降り積もる雪を眺めながら、春を待てばいい。この温かい音楽を聴きながら。
Tapestry/Carole King
Tapestry/Carole King
1971年に発表されたキャロル・キングのセカンドにして最大のヒットアルバム。15周連続1位獲得、その後も300週チャートインし続けたという、名実ともに大名盤。一家に一枚の作品です。間違いなく20世紀最高のアルバムの中の1つ。日本語だと『つづれおり』という、タペストリーを訳しただけなのだろうけど、結果的にすごく素敵なタイトルがつけられてます。もうじき来日するとのことで、ベストアルバムや紙ジャケが出たりして音楽シーンでは少しだけ騒がれているのかな。
素朴で力強い歌声。やさしさではない絶対的な温かみが根底にあり、いつだって僕はそれに救われ続けてきた。寂しいとき、やりきれないとき、何となく空白なとき、僕の隣には音楽があるんだってことを教えてくれた。
アルバム通して素晴らしい流れになっているけど、一番好きなのはやっぱり<Will you love me tomorrow?>。もっと早くこの音楽に出会えていたらなと思う。
線香花火/テリー&フランシスコ
線香花火/テリー&フランシスコ
これまで2枚のミニアルバムを出しているテリー&フランシスコの初シングル。シングルの売れないこのご時世としてはよくわからない行動だけど、もしかしたらフルアルバムに向けて動いているのかな。
今回もテリー&フランシスコの世界たっぷりというか、良い意味での時代遅れ感がすごく気持ちいい。僕が描く、そして求める(あるいは過去形かもしれない)夏というのは、きっとこういうこと。このメロディラインと世界観は1つの才能だと思う。しかも単調にならない曲展開は、さらなる飛躍を否が応でも期待させてくれる。女性コーラスやホーンが入ったバックにより、特徴的であった素朴さが少し失われてしまった気もするけれど、これはこれでいいのかもしれない。
カップリングの<夏のブリザード>は慣れてないことしてるよなという印象。無理矢理アップテンポにしなくてもいいでしょう、この人達は。<こぬか雨>のカップリングはなんか残念。多くのカバーもの同様、無難な仕上がり。アコースティック感たっぷりなのが特徴なのに、ピコピコ言ってるのはよろしくない。先代へのリスペクトたっぷりの彼らとしてはやりたかったのかもしれないけど(伊藤銀次と一緒にやるなんて彼らにとっては夢だっただろうことは容易に想像がつく)、それなら生バンド1つでやるべきでしょう。
ともあれ、これからがますます楽しみなアーティストです。
INDIGO/佐藤竹善
INDIGO/佐藤竹善
Sing Like Talkingのボーカル、佐藤竹善3枚目のソロアルバム。ノーチェックだったのだけど、音楽ライターの金澤さんがあまりに絶賛するので買ってしまいました。ちなみに前作『Okra』は、オクラが好きじゃないので聴いてません(ひどい理由だ)。
佐藤竹善は、音楽に対して非常に真面目な姿勢を持ってるから好きです。僕の大好きな角松は、僕がこんなこと言うのもよろしくないけど、なんとなく、絶えず何かにコンプレックスを持っていて、それを振り払おうとするのだけど、それでも不完全さが残る。背伸びなんかする必要ないのに、認めてる人はものすごく認めてるのに、それでも満足できなくて、なんかもやもやし続けてる(そこが好きなのだけど)。でも竹善には、等身大というか、自分にできる音楽をやればそれでいいんだ、みたいな良い意味での開き直りがある。そこに圧倒的な世界は広がらないが、居心地のよい空間を約束してくれる。
このアルバムはすごくやさしいです。ソロ1作目の『Fact Of Life』に比べると、信じられないぐらいやわらかい。小田和正とのユニット"PLUS ONE"の<カオ上げて>や、<届いたらいいな>なんかは、こっちが困ってしまうほど平和すぎて温かい。素敵なアルバムが誕生したのは間違いないだろう。
ギターのほとんどは浅野祥之。お別れを言うのは、このアルバムなんだろうなと思う。いい音楽を残してくれてありがとうね、ブッチャー。
これからどれだけの涙で ぼくは泣くのだろう 笑うのだろう
ぼくが決めていく景色の色 届いたらいいな ここから
(届いたらいいな 〜Gratitude〜)
素敵なミュージシャン達と、重なる時代を生きられる喜びを、心から感じています。
Innervisions/Stevie Wonder
Innervisions/Stevie Wonder
最近はAOR熱が冷め気味で、大御所スティーヴィー・ワンダーなんかに手を出し始めました。このアルバムは1973年の作品で、名盤中の名盤という扱いをされております。とにかく曲の流れが良くて、曲順通りアルバム1枚まるまる通して聴くお手本例でしょう。ミュージシャンとしては、ディーン・パークス、デビッド・T・ウォーカー、ウィリー・ウィークスなどが参加。まあ、ほとんど彼一人でやってしまっているのだけどね。
スティービー・ワンダーがどれだけ素晴らしいミュージシャンかは今さら語る必要もないだろう。むかしどこかのサイトで読んだ記事には、この人が亡くなったら伝説という言葉では語りきれないだろうなんて書かれていた。音楽への姿勢、そして音楽自体に与えた影響は計り知れない。
彼の楽曲は、間違えを恐れずに言ってしまえば宗教・哲学・思想の塊であると思う。どれだけ深くとれるかでその扱いが変わる。だから今まで、スティーヴィーの音楽にはあまり手を出してこなかった。表面だけをなぞることはしたくなかったし、かといって深く掘っていく気にはなれなかった。敬遠していたという方が正しいかもしれない。でも音楽という観点からすれば、そこにどういう背景があるにしろ、音楽そのものとして評価するのがフェアなのではないか。と思ったからこのアルバムを聴くに至った次第です。
関係ないけど、某アイドルグループのTV番組にゲスト出演し、あろうことかスティーヴィーと一緒に歌を歌ったときは、憤りを通り越して悲しい気持ちでいっぱいになった。音楽を冒涜するにもほどがある。
Seawind/Seawind
Seawind/Seawind
シーウィンド4作目にして、事実上解散前の最後の作品となった1980年発表の1枚。特筆すべきはジョージ・デュークがプロデュース。シーウィンドはハワイ在住のポーリン・ウィルソンとボブ・ウィルソンの夫婦を中心に展開されたバンドで、ハー・ヴィー・メイソンに認められたり、オリジナルメンバーにはジェリー・ヘイがいたり(今作ではゲストとして参加)、本多俊之の作品に参加したりと、何だかすごいです。
ジャンルをつけるとしたら非常に迷うけど、ボーカルつきのフュージョンとでも言うべきだろうか。明確な定義があるわけじゃないから、あくまでも僕がそう感じただけという話だけど、あまりにもホーン・セクションが独立し過ぎていて、そして音の完成度が高すぎる。テクニックがどうとかではなく、音楽として完成してる。タワー・オブ・パワーとも違うんだよな・・・。ポーリンのボーカルがパワフルで、でも切なくて、どことなくかわいげがあってと、やたら聴かせます。
音楽はもう素晴らしいの一言。特に1曲目の<What Cha Doin'>は、角松の打ち込みの手本なんじゃないかとさえ思わされる(思わされるだけでこっちは生だよ)、キチキチにタイトでご機嫌なナンバー(と思ったらVOCALANDでやってました…)。ホーンのフレーズが格好良すぎ。続く<The Two Of Us>と<Love Him, Love Her>では、とにかくボーカルのポーリンがいい。そこにやはりホーンがフィーチャーされた絶妙なバックが絡む。
このバンドは、おそらくだけど、ホーン・セクションという存在に大きな影響を与えたんじゃないかと思う。とにかく素晴らしいサウンド、これに尽きる。そういう意味では、音楽の歴史において重要な1枚と言ってもいいのだろう。必聴です。マストです。
残念なのは音の悪さと、ジャケットに"SEEWIND"と書かれているいい加減さ、そして「海鳥」なんていう邦題をつけるどうしようもないセンス。
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The Royal Scam/Steely Dan
The Royal Scam/Steely Dan
クラシックは芸術として認識される。伝統があり、格調が高く、どこか崇高なイメージがある。もしこの世に完璧な音楽があるとしたら、それはクラシックの楽曲にある、と言ってもおそらく差し支えないだろう。ではポップスは芸術なのか、という議論はさておき、ポップスでこのクラシックに肩を並べられるとしたら、スティーリー・ダン以外にないだろうと僕は本気で思っている。
これはスティーリー・ダン1976年発表のアルバム。彼らはこの後歴史に残る名盤『Aja』と『Gaucho』を残して事実上活動休止に入る(2000年に『 Two Against Nature』を発表し20年ぶりに復帰する)。どうしてもその2作品に隠れてしまうせいか、本作はそこまでの評価はされていない。
しかし彼らの音楽性が最もよく表れたアルバムが、この『The Royal Scam』だと思っている。なんていうかその後の2枚は"完璧すぎる"。その完璧の領域に行ってしまう前の最後の作品がこれ。個人的には一番好きな作品。ドナルド・フェイゲンの歌の下手さと(味はあるけど)、バックの音楽の素晴らしさが絶妙な味を出している。
チャック・レイニーとバーナード・パーディのリズム隊、そしてそれに絡むラリー・カールトンのソロ。1曲目の<Kid Charlemagne>は格好良すぎるし、圧倒的。<The Fez>は一説によればジェフ・ポーカロが叩いているとのことだが、アルバムに彼の名前のクレジットはない。僕は残念ながらバーナード・パーディとポーカロのドラムを聞き分けるほどの耳を持っていないのだけど、いずれにしろすごい。続く<Green Earrings>ではパーディーのリズムとデニー・ダイアスのギターが光る。アルバム全体がなんだか不安定な雰囲気で支配されているが、なんでこの時代にこれほどまでの音が出るのか、このことを考えるだけで、僕は身震いがして止まらない。
ちなみに日本盤だとアルバム名は『幻想の摩天楼』。しかも全ての収録曲に邦題がついている。
Greatest Hits/Luther Vandross
Greatest Hits/Luther Vandross
僕がルーサー・ヴァンドロスの音楽をきちんと知ったのは、彼のトリビュートCDが出た後だった。つまり、彼が亡くなった後(最近はまだ存命なのにトリビュート出たりするけど…)。なんだかやるせない気持ちで、僕は、黙って、彼の残した素晴らしい音楽に耳を傾けるしかなかった。
ジェイムス・イングラムやマイケル・マクドナルド同様、圧倒的な歌唱力。何を基準にすればいいかわからないけど、歌のうまさは、彼ら以上かもしれないね。この人より歌がうまい人を、僕は知らないと言えるかもしれない。そしてとにかく甘い甘い。バラードを歌わせたら彼の右に出るものは間違いなくいないだろう。
ミュージシャンとしては、ヴァンドロスにはかかせない存在であったマーカス・ミラーのスラップベースがすごくいい。あとはクレジットがないので、このアルバムにどこまで参加しているのかわからないけど、彼の歴代バックとしては角松がお気に入りだった故ヨギ・ホートン、僕の大好きなサックス奏者カーク・ウェイラム、アンソニー・ジャクソンやバディー・ウィリアムズ、ドク・パウエルなんかが支えていたことを記しておきたい。基本的には彼の歌声で霞んでしまうのだけどさ。
このCDは僕の嫌いな"ベスト盤"だけど、彼のCDはこの1枚しか持ってない。なんていうか、ヴァンドロスは僕にとってそういう存在。煌びやかなステージで、いつもヒット曲を歌ってくれる人。家ではそんなに頭から通して聴くということはしないけど、ドライブにはこのとんでもなく甘い1枚が似合うシーンがあったりする。<So Amazing>は思い入れのある曲です。
Not Too Late/Norah Jones
Not Too Late/Norah Jones
久々に買ったCDが、このノラ・ジョーンズの新譜。ワイワイ騒がれていた時には全くき興味を示さなかったのだけど、発売日に入手しました。でもなあ・・・たしかにノラ・ジョーンズなんだけどさあ・・・と、複雑な心境。なんかジャケットも怖いしさ(特に関係なし)。
安っぽい言葉で僕はあまり好きじゃないんだけど、それでもあえて使わせてもらうと、これまでの彼女の楽曲にはどことなく"ジャズっぽい"感じがあった。それが今作ではほとんど0。だから以前までの彼女の雰囲気が好きだった人には、この作品はダメだろうし、そうではなくて、彼女のスタイル全てが好きな人には、これはこれで味わい深いものがあると感じるのではないかと思う。ちなみに僕は前者です・・・。
DVDを見たときから、カントリー色丸出しの面を持っているのはわかっていたので、驚くべきところではない。それならそれでいいのだろうけど、どうもどの曲も同じに聞こえてしまう。メロディに特徴があるとかないとか、そういう話ではなくて、命を持っていない気がする。これが彼女のやりたかったことなら聞き手は受け入れていくしかないのだろうけど、欲を言えば、ノラの好きな音楽ではなくて、ノラの魅力を存分に活かした楽曲を聴きたい。前2作のインパクトが強すぎるというのもあるのだろうけど。
このスタイルの変化を、ポジティブにとらえるかネガティブにとらえるか、そして市場がどう反応するのか。"Not Too Late"なのは確かだろうけどさ。なんて、まとめてみたりして。
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Carry On/Bobby Caldwell
Carry On/Bobby Caldwell
Carry Onというと「Should we carry on〜」とAirplayの名バラードを思い出してしまう僕ですが、そうではなくてボビー・コールドウェル、1982年の作品。地味で、特に目立った曲もなく、話題にもされず、ジャケットだけが一人歩きしてた・・・
というのは嘘です。実はこのアルバム、苦労して手に入れた(新宿のタワレコで発見しました)はいいが特に心に残ることもなく、あまり聴かず終いだった。でも深夜FMヨコハマで午前3時(4時)からやってた80年代の音楽垂れ流しの番組で、やたらこのアルバムに収録されてる<Words>がかかっていたのです。それがきっかけで聴き直し、その深みにはまっていった、のかな、多分。
まず最初の4曲<All Of My Love>から<Words>までの流れがすごい。これぞAORだよ、アダルトなんだよ、と教えてくれる。<JAMAICA>は、僕はそれほど良いとは思わないのだけど、しばしば話題になってますね。ミュージシャンはスティーブ・ルカサーにポーカロなどTOTOのメンバー、ホーンにはタワー・オブ・パワーを迎えてます。サウンド的にはそういう感じです。
土曜の寒い寒い朝に聴くと、結構いいものでした。
今は紙ジャケで再発されてるので、多分すぐ手に入ると思う。邦題は「シーサイド・センチメンタル」。そのセンスに脱帽です。
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Live! Live! Live!/Bryan Adams
Live! Live! Live!/Bryan Adams
ブライアン・アダムスのライブレコーディングアルバム。1988年ということで、おそらく色々な意味で全盛期だった頃。でも今とちっとも変わってないところがすごい。この時点で既に完成形だったのだろうな・・・。
曲は当時リリースされたアルバムからが中心になっているのだけど、今ではヒットチューン中心だなという印象を受ける。ということはつまり、それだけ勢いがあったということ。その後も別に悪くないと思うけどね、僕は。
1曲目から16曲目はベルギーで、17曲目は日本の武道館でレコーディングしたもの。<The Best Was Yet To Come>から<Heaven>の流れが美しすぎます。やっぱりね、海外のライブって、盛り上がりが尋常じゃないんですよ。観客がわーっと歌っている曲もあるのだけど、日本でこれやっても成り立たないだろう。去年行った武道館ライブも、客が歌う部分の声が小さすぎて、結局自ら歌ってたし。
とにかくそんな雰囲気が伝わってくる18年前のライブアルバム。ブライアンは何と言ってもライブというイメージが強いのだけど、CDとしてはこれとMTV Unpluggedの2枚しか出してないはず(ブートレグは知らないけど)。貴重な1枚です。
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Far Cry/The More Things Change...
Far Cry/The More Things Change...
夏は終わってしまったけれど、過ぎ去った夏を偲びながら音楽を聴くのも悪くない。というわけで久々のAORな1枚。
例によってこれまた世界初CD化されたアルバムなのだけど、プロデューサーにエリオット・シャイナー、エグゼクティブ・プロデューサーにフィル・ラモーンというとんでもない布陣。前者は言うまでもなくスティーリー・ダン(この一言で十分ですね)、後者はビリー・ジョエルやポール・サイモンを手がけた、と言えばその凄さを理解してもらえるだろうか。
ランディ・グッドラムのデビュー作でもそうだったように、ここでもエリオット・シャイナーの音作りが展開されている。だからどことなくスティーリー・ダンっぽい。でもあれは天才のドナルド・フェイゲンがいたからこそ成立したのであって、他の人がやっても中途半端に終わる。そういうわけで、根底にある方向性は同じような印象を受けるものの、本当に"どことなく"というレベル。僕自身、ライナーノーツを読まなければそうは感じなかったかもしれない。
参加ミュージシャンはやはり豪華。ベースはウィル・リーやニール・ジェイスン、ドラムスにバーナード・パーディ、クリス・パーカー、エド・グリーンなどなど。基本的にはキチキチッとしたリズム隊。ドナルド・フェイゲンが2曲コーラスで参加しているのも面白い。彼の声って確かに特徴はあるけれど、決してウマいわけじゃないしな・・・。
目立った曲があるわけではないけれど、1つ1つの曲の完成度が高くて、一時期ヘビーローテーションになっていたこともあります。1曲目の<The Hits Just Keep On Comin'>は出だしとしては完璧だし、<Because It's There>でのニール&グリーンのコンビはちょっと他ではお目にかかれない。<The One And Lonely>や<Suddenly Strings>などのバラードもすごく綺麗。さすが、といった感じですかね。そりゃこのメンバーならこういう音楽に仕上がるよなと。
夏が終わってしまったのは寂しいけれどさ。うん、また来年。
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Kicks
Kicks
エロさ全開のこのジャケットから想像できるように、強烈にセクシーかつファンクな1枚。1999年の作品ということで僕が高校生のときに買ったCDなのだけど、17やそこらのガキには早すぎるアルバムなのでした。改めて聴き直すと、今ならこのエロさがちゃんと理解できる・・・ような気がします。
これがワン&オンリーのアルバムで、バンド自体たしか2年ほどの活動で終わっているはず。首謀者はトランペットの小林正弘、これにBIG HORNS BEEの面々が加わった感じ。ドラムスに沼澤尚と石川雅春、ベース青木智仁、ギター浅野祥之、キーボード小倉泰治、ゲストのアルトサックスは勝田一樹fromディメンション!超豪華。スーパーバンドという言葉がよく似合う。
ホーン隊が充実しているので、いわゆるフュージョンとは一線を画しており、どこまでもファンク。途中唯一リズムが打ち込みでメロディアスな<Keeps Me Loving>などもあるが、基本的には<B.J.>、<Desire>、<Room302>といったビートナンバーがメイン。レコーディングなのにライヴの雰囲気が手に取るようにわかる。しかしタカさんのドラムはこういう音楽に本当によく映えます。
澄んできた空とともに。
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Summer 4 Rhythm/角松敏生
Summer 4 Rhythm/角松敏生
夏だ!太陽だ!海だ!と直情的な想いがこめられたアルバム・・・かどうかは知るよしもないけれど、角松の"夏アルバム"。陽射しが強くなり始めた夏の始まりから、秋の気配を感じさせるところまで連れていってくれる。
タイトル名の4はバックミュージシャンの数を表していて、沼澤尚(Ds.)、小林信吾(Key.)、浅野祥之(G.)、青木智仁(b)の4人が基本構成。青木さん・・・この人がいなかったら、この構想はなかっただろうし、もしかしたら日の目を見ない曲もあったかもしれない。あなたがこの世を去ってから最初の夏です、青木さん。
1曲目の<BEAMS>から9曲目の<桃色の雲>まで、比類なき展開の良さを見せます。夏を一気に駆けめぐる。曲によってはギターのカッティングを角松が左チャネル、ブッチャーが右チャネルで聴かせてくれるものがあってすごく心地良い。夏を音楽で語らせたら、この人の右に出るものはいないだろうと思う。シンプルなサウンド構成だって聴かせられるものがあるんだということ。実際はサックス(本田雅人)やストリングスも登場しているのだけどね・・・。
そこで夏は終わりで、あとは最後の締め。バラードの<Last Flight>は<Ramp In>続編と位置づけられているらしいけれど、元々<Ramp In>は日航機墜落のスチュワーデスに捧げられた曲だしな…。今年も過ぎ去りましたね、8月12日が。だから続編なんて初めからないし、あってはいけない。
11曲目、特別な思い入れのある<Gratitude>。歌詞がそれまでに角松が見せたことのないやさしさに溢れていて衝撃的だった。21歳の夏、1つ1つの言葉が胸に落ちていきました。
最後に<君のためにできること>。これだけギターが梶原順。エリック・クラプトンの<Layla>でスライドギターを弾いたデュアン・オールマンみたい・・・とは言い過ぎかもしれないが、この人選はさすがだと思った。ちなみに20周年リベンジのアンコールでやった、ポンタさんのドラムアレンジが耳に残って離れません。前向きな歌。少しずつ歩いていけたらなと思う。
たった3年前に出たアルバムなのに、このアルバムと過ごした夏は、はるか遠く昔のように感じる。
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ON THE STREET CORNER 3/山下達郎
ON THE STREET CORNER 3/山下達郎
久々に引っ張り出して聴いてみたらすごく良かったので。達郎さんの真骨頂、ワンマン・ア・カペラというか、1人ドゥー・ワップというか。日本でこんなことできるの彼しかいなくて、まさに独壇場。ライナーノーツにはコーラス友達がいないから一人でやったと書かれていたけど、あなたと一緒にコーラスできる歌い手なんて日本にいませんよ、達郎さん。
楽曲の方は<STAND BY ME>や<LOVE T.K.O>しか知らなかったけど、本当に世界には素敵な音楽が溢れているのだなと。オリジナルの<LOVE CAN GO THE DISTANCE>も負けじと存在感を出していて、さすがという感じです。
とにかく凄いです。音楽への愛、音楽に対するリスペクトに溢れている。なぜそこに音楽が存在しているのか、そして何のために歌うのか。この情報過多の現代では遠く忘れ去られているそういったことを、それはね〜、と知らないうちに教えてくれる。まさに原点回帰の1枚。
All Dressed Up.../David Roberts
All Dressed Up.../David Roberts
かつて5桁の値段がついていたほどのレアアルバムだが、ついに再発ということで巷で話題の1枚。リマスターされたという割りには音は全然良くないし、TOTOのメンバーで固められたサウンドにも、正直そこまで惹かれなかった。早い話、どうしてそこまで評価されていたのかが全然わからなかった。これに10万出すなら、僕はエアプレイを10枚買うし、スティーリー・ダンをもう1セットコンプリートするよと。
曲自体は80年代ロックど真ん中というか、当時やれることは全てやっている感じがして、音楽的には優秀なんだろうなと思う。きっと全曲ジェフ・ポーカロが叩いたというのも貴重なのだろう。アップテンポからスローバラードまで、ウエストコーストの世界が綺麗にまとめてくる。AORとしてはきっと文句なしなのだけど、僕としてはなんか飛び道具がもう1つ欲しかったよなと思ってしまう。
この再発には音楽ライターの金澤さんが絡んでいるのだけど、彼のブログにも書かれていた通り、きっと(初期の)TOTOやAIRPLAYをどう評価するかで、このアルバムに対する見方も変わってくるのだと思う。必ずしも対極にあるものではないと思うが、TOTOやAIRPLAYみたいにロック色が強い音楽を、ちょっと"大人な感じ"が漂うその他AORと一緒に並べることができるかどうか。いくらミュージシャンが同じだとはいえ、例えばTOTOとボズ・スキャッグスを同列で語ることができるかどうかということ。
TOTOだってAIRPLAYだって大好きだし、ハイトーンのボーカルは大好物。ただしこの2つと比べてしまうと、ちょっと弱いのかなあと。それだけのことです。残念ながら僕はこのアルバムの5桁の価値がわからない人間だけれど、トミー・ファンダーバーグが好きな人ならきっと気に入るのだろうな。
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テリー&フランシスコ
テリー&フランシスコ
去年の夏はコレでした。そして今年の夏はこの(ミニ)アルバム!すごくいい!!
2006年の夏、僕らは海へ向かった―
そんなお話が始まってしまいそうな1枚です。
音楽ライターの金澤さんもこのアルバムをブログでとりあげていたけれど、僕はテレビで流れた瞬間から気になり、思わずメモにグループ名と曲名を走り書きで残した。なんか同じだなって嬉しかった(ママレイド・ラグも好んで聴いていたし)。角松を聴いて育ってきたのだから、必然的に共通する感性を持つようになるのかな。あるいは元々そういう感性を持っていたから角松を聴くようになったのか、どちらが先なのかはわからないけれど。
僕らの時代に、第二のはっぴいえんどやシュガー・ベイブの登場を期待することはできない。1つの音が出た瞬間に伝説となった彼らのような存在は、もう二度と生まれてこないだろう。時代そのものが奇跡であったような瞬間は、僕らの未来にはきっと訪れない。でも嬉しいことに、そんな音楽を聴いて育ってきた人たちがいる。このテリー&フランシスコもきっとそう。
甘くゆるやかな声、生音の温かさ、遠く懐かしい世界。よく2006年のこの年に出てきたなと思う。「あぁ 月の幾何学が 繊細にあなたなぞる」(ためいきの銀河)なんていう詞、一体どこをどうしたら生まれてくるというのか。全曲日本語をすごく大事にしており、不思議なやさしさに包まれている。ちなみに元シンバルスのドラム、矢野博康と、フェンダー・ローズで佐藤博が1曲ずつ参加。
こうやっていつかの伝説を語り継いでいってくれるミュージシャンがいる限り、僕らの夏が終わりを告げることはないのだろう。
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Prayer/角松敏生
Prayer/角松敏生
角松のデビュー25周年を飾るアルバム。記念碑的なアルバムを出さず、あくまでもオリジナルアルバムにこだわるというところが角松らしい。色んな意味で彼の真価が出た1枚だと思う。
個人的には昨年に出た『THE PAST&THEN』は企画色が強かったし、『Fankacoustics』や『Summer 4 Rhythm』もオリジナルアルバムという感じがあまりしなかったので、2002年の『INCARNATIO』以来のオリジナルアルバムというような気がしてならない。バンドがシンプルな構成だった前3作に対し、やたら豪華なこのアルバムはいわば「総合アルバム」。どちらもアルバムであることには変わらないのだけどね。
そのことを証明するかのように、コンセプトの一貫性として秀逸だった『TIME TUNNEL』や『INCARNATIO』と同様、イントロダクションの<UGAM>からそのまま<Movin'>へ。本当にびっくりしたよ。いきなりスティーブ・ガッドじゃん!と。前々から参加することはわかっていたのだけど、てっきり1曲のみだと思ってたんですね。マーチングリズムのタイコ、跳ねまくるスネア。世界でオンリーワンの存在、スティーブ・ガッド。曲も無理することなくピタリとはまっている。いきなりドラムソロがあるし、森俊之はうねりまくりだし、今剛はべらぼうにうまい。殊勲者は小林信吾のピアノ。
続いてちょっと落ち着く<You made it>。ファンクな色は『Fankacoustics』で耳に馴染んでいたせいか、この手のナンバーはもうお手の物のように感じる。違うのはやはりスティーブ・ガッドの存在、そしてホーン4本という祝祭構成。豪勢だなあ。
アルバム前半最大の見せ場だろう<恋の落とし穴>。甘そうなこのタイトルとは裏腹に、爽快なアップテンポナンバー。スティーブ・ガッドにアンソニー・ジャクソンのリズム隊とバチバチです。こういう綺麗なアップテンポをやってくるところが、角松の変わったところかなとも思う。曲の終盤は完璧なリズム隊に今剛のギターソロ、角松のコーラス。これが真骨頂。
<Still know nothing at all>は一転してゆったりとしたバラード。歌詞が新たな世界へと進み出したのは前からと同じで、どん底三部作なんかはすごく個人的な垂直方向の想いがあったのに対し、今は水平方向にやすらかな想いが広がる。やはりこれは好みがわかれるだろうなと思う。小池修がサックス・ソロ。生粋のフュージョンプレーヤーという感じがするのだけど、編成を少なくしたバンドにはちょうどいいのかな。
25周年ライブの時に披露された<かなし花>。沖縄音楽のテイストを、角松のポップスにとりいれた曲。アルバム全般的にこういうテイストで行くのかなと思っていたらそうでもなかった。三線とコーラスだけで"沖縄"になるのは、不思議と言えば不思議。梶原順のアコギはやっぱりいいなとしみじみ思う。ここまでがスティーブ・ガッドのドラム。5曲も彼が叩いた日本人アーティストのアルバムってこれまで他にあるのだろうか?
ここからドラムは江口信夫に交代。アルバム参加は『The Gentle Sex』以来で6年半ぶり。音を聴く前はなぜ今さら江口さんなんだろうと不思議だったのだけど、繰り返し聴いているうちにだんだんわかってきた。
一発目の<日照雨>は気持ちの良い夏の幕開け。江口+山内薫のリズム隊。渋い。森俊之のアナログシンセ(Moog Voyager)が絶妙で、この辺りはキーボード3人でやった"Tripod"から吸収したところなのかなと思う。ホーンも5人、本田雅人はシンセサックスソロ。そしてやっぱり今剛のギターソロ。うまいなあ。曲のクレジットには実に17人の名前が並ぶ、お祭りムードたっぷりの1曲。
<アイシテル>はなんか今の角松そのままの気がする。「愛してなくても」「愛されなくても」それでいいんだと。深い歌詞に胸が痛みます。言葉を託したアコギのソロは角松自身。
情景がすぐに思い浮かぶ<Mannequin>。夜のショーウィンドウにあやしくライトアップされたマネキンを見て思いついたに違いない。それをこのアルバムの中で最もキャッチーなナンバーにしてしまうところが面白い。こっちがいくら笑いかけても無表情なマネキン。いつか君を振り向かせることができたなら。
打って変わってコーラスの千秋、ピアノの小林信吾と3人のみの<黙想>。歌詞が重いです。こういう方向にいってしまう角松はどうなんだろうなという気持ちはあるけど、それも仕方ないのかと納得もしてしまう。どこかにある出口がいつか見つかってくれれば、せめて救われるのだけれども。
タイトル曲の<Prayer>。絶対いつかやると思ってた沖縄(宮古)の方言でのラップがここで披露。何を言ってるかさっぱりわからない・・・。歌詞も沖縄っぽい気がする。自然の恵みと生きていることに感謝して、祈り続ける。いつまでもこの世界が変わらずに続きますようにと。
シングルカットされた<Smile>のアルバムバージョンは印象変わらず。あえてここに収録する必要はなかったのでは?と思う。ミュージシャン編成の問題はあるにしろ、シングルのカップリングだった<青い水から>の方が合ってるような。
最後、ボーナストラックの<初恋>。3年前に横浜アリーナで行われた20周年ライブリベンジの音源。往年の名曲にホーンアレンジが入ってすごくいい。故青木智仁に捧げられたもので、複雑な想いもあるのだけど、できる限りこうやって歴史に証拠として残してもらいたい。ポンタさんのドラムも絶妙で、本当にいいライブだったんだよなあ・・・。まだ青木さんのソロを聴くとグッと胸が熱くなります。
というわけで久々にAOR全開のアルバム・・・AORだよな、これは。角松がAORを解釈したらこうなるという1枚。問題は、今秋からのツアーでスティーブ・ガッドの曲を江口信夫はどう叩くのかということ。ポンタさんが真似して叩くとかはなしかなあと思ってしまうが、中途半端な出来にはしてこないだろうからアレンジに期待。
この数年の集大成になったような1枚。まさに角松敏生のデビュー25周年を飾るのに相応しいアルバムだろう。これが今の角松が出した一つの答え。ここからさらにどんな音楽へと向かうのか、この作品を聴いていると、自然とそんなことも気になってくる。
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Rendezvous/Christopher Cross
Rendezvous/Christopher Cross
ずっと欲しかったCD。AOR系のCDでは日本で世界初CD化なんていうのがよくあるが、あれは元々レコードが出ていたのをCDにしただけ。"だけ"と言っても、そこが凄いところなんだけれど(版権、マスタリングの技術など…)、このCDはなんと日本のレコード会社が発売。要は海外のレコード会社との契約が解除となったクリストファー・クロスに、日本が声をかけたということです。
レコード会社から契約を切られたからといって、じゃあ自費制作みたいなCDなのかといわれれば全然そんなことはない。音源はあるのだけど発売元がない、じゃあうちで出して下さいよ(と日本がオファー)、みたいな感じらしい。1991年の作品ということで、旬の80年代は過ぎてしまっているものの、まだまだやれてる。バックミュージシャンにはエリック・ジョンソン、ジョン・ペナ、ヴィニー・カリウタ、ジェフ・ポーカロ、カルロス・ベガ、ラリー・ウィリアムズなんかも参加。そしてクリストファー・クロスといえばこの人、マイケル・マクドナルドの太いコーラス。
何でこのCDがそこまで欲しかったのかと言うと、とにかく5曲目の<In The Blink Of An Eye>(邦題<瞳のきらめき>)が聴きたかったから。DVDでこの曲を耳にして以来ずっと気になっていたのです。こんなハイトーンが気持ちいい曲、彼にしかできないだろう。DVDの方がさらに声が高い気がするけど。
それ以外にも、<Rendezvous>ではなかなか聴けない綺麗なファルセットが聴けるし(意外な気もするが、元々声が高すぎるのであまり使わない)、音楽として1つの完成形だと思った<Isn't It Love>が素晴らしい。<Ride Like The Wind>に通ずるところがあるロック調の<Night Across The World>や<Nothing Will Change>、しっとりしたバラードの<Is There Something>や<A Fisherman's Tale>もいい。
クリストファー・クロスと言えばとにかくデビュー・アルバムとニューヨーク・シティ・セレナーデだけど、こんな素晴らしいアルバムだって残しているのです。見つけにくいだろうけど(廃盤?)、もしどこかで見かけたらぜひ。
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Mr. Lucky/Fools Gold
Mr. Lucky/Fools Gold
フールズ・ゴールドのセカンドアルバム、1977年の作品。もうお決まりだけど、これまた日本で世界初CD化。これが1700円ですよ!?つくづく日本のこういう音楽に対する評価は素晴らしいものがあるなと感じさせられる。現代に聞くべき音楽が全然なくて、80年前後に凝縮されているというのはあるべき形なのかどうかはわからないけれど。
ジャンルとしてはカントリーロックから、ウエストコーストへ、みたいな感じかな。まだ本格的に黄金のAOR時代には入ってなくて(とは言えSTEELY DANはこの年に『AJA』を出しているのだけど)、音楽的に地味というかストレートなところが溢れている。
バックミュージシャンはジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロ、デビッド・ペイチとTOTOの面々。キーボード(兼プロデュース)にデビッド・フォスター、オルガンにビル・チャンプリン、アルトサックスにトム・スコット。まあカリフォルニアな音なわけだけれど、ギラギラした太陽!一面ブルーの海!というよりは、夕暮れに素足で砂浜を歩き続けているような。最後9曲目、エンディングのインストはお見事。
あまり特徴のないアルバムだけど、ずっとカーステレオに突っ込んでおきたくなるような1枚。今年も夏が始まります。
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Needless Freaking/Dwayne Ford
Needless Freaking/Dwayne Ford
夏はやはりAORな季節。最近は全然CDを買っていないのだけど、そういえばこれを忘れてたなんていうものがいくつかあるので、しばらくはそれらを紹介できたらなと思ってます。
これは1981年の作品、邦題は『ストレンジャー・イン・パラダイス』。"いかにも"というこのタイトルとジャケットは、やはり多くのAOR名盤がそうであるように、日本オリジナル。80年代前半に量産されたAOR作品が、こうしてCD化・再発されるというのは、81年生まれの僕にとっては嬉しい限り。ライナーノーツによれば初CD化のときは10万を超える値段がついてたとのこと。
プロデューサーはもはや恒例となったデビッド・フォスター。それにTOTOのミュージシャン、ジェフ・ポーカロ、マイク・ポーカロ、スティーブ・ルカサーなどが参加。あとはジェイ・グレイドン、マイク・ベアード、ニール・スチューベンハウスなどなど。たしかにこれだけで一度も耳にしたことがなくたってサウンドがわかりそうというか、AORファンの間で高値がつくというのもわからなくはない。でも、10万以上出すかどうかは別として、やはりそれなりのものに仕上がってます。
というわけでサウンドは完全に初期のTOTO。AORというよりは、ロック色が強い。AORだってロックなのだけど。でも単なるロックで終わってないのが、バックミュージシャンも注目されるようになったこの時代だからこそ作り上げられた音楽であり、偶然と言うよりは必然的な産物。
こう言ってはなんだけど、無駄に豪華なバック、そしてたいしたことないボーカル。これぞAOR。
TOTOやChicagoが好きな人はぜひ。ビル・チャンプリンよりはピーター・セテラ。こういう夏があってもいいと思う。
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Such A Lovely Place/槙原敬之
Such A Lovely Place/槙原敬之
大好きな、大切な1枚。久々に聞き返してみた。高校1年生のときに買ったCD。このアルバムには僕が高校生だったときの思い出がつまりにつまっている。多分多くの人たちにも、そういう音楽があるのと同じように。
この頃までのマッキーの歌には、何人たりとも入り込む余地のない純粋さみたいなものがある。純粋というか、まっすぐというか。その後はまあ色々あったけれど、歌そのものはなんとなく他の人にも歌えるようなものが多いなという印象。それもまた仕方のないことなのかもしれないし、僕の感じ方が変わっただけなのかもしれないけど。
収録されている<足音>は、長野オリンピックとタイアップされていた。懐かしいなあ…。この曲でも象徴的なのだけど、彼はとにかく曲の展開がうまい。こういうのをポップスのお手本と言うのだろう。<Cleaning Man>なんてめちゃくちゃいいですよ。日本語でもここまでできるというか、歌詞の力がものすごい。サビが関西弁の<手をつないで帰ろ>もすごく温かい。ちゃんとお遊びも1曲あるけど、それも含めて最初から最後まで完璧。
そして最後の<Such A Lovely Place>。彼の作品の中で一番好きな曲。「何も変わっちゃいないさ そこにはちゃんと愛がある」。このアルバムにちゃんと愛があることだけは確かです。
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Smile/角松敏生with千秋
Smile/角松敏生with千秋
角松デビュー25周年記念シングル。デビュー20周年のときは『心配』なんていうシングルを出して周囲を"心配"させたという逸話(?)を持つものの(これはこれで意味があったのだけど)、今回は正攻法できた。久々のデュエットが非常に良い感じです。こういうミディアムスローのバラードはやはり聴き応えがある。
カップリングの<青い水から>もいいです。じわりじわりとくる。あとは去年の(もはや)伝説のTripodから<Rain Man>。さらには<Smile>の映画バージョン、インスト、メール(男性)バージョン、フィーメール(女性)バージョン、と計7曲。さらにさらに初回限定版にはプロモDVD付き。都会の風景の撮影場所はここです。見た人にしかわからないけど、ほらね。
とにかく、綺麗な歌詞が胸を打ちます。よかったら大切な人と一緒に聴いてみて下さい。
いつだって、君のことは僕が一番幸せにできると信じてた。他の人では絶対に見せられない世界を、僕ならば見せることができると。とびっきりの笑顔をどんなときでも抱きしめられると。
お互い歩む道が別々になってしまって、もう二度と交わることがなくなったとしても、君の幸せを願える男でありたいと思う。素直に喜ぶことができなくたって、強がって祝福の言葉をかけてあげられる人でありたいと思う。
僕らが一緒にいた時間が遠く離れていっても、あの時の二人の想いが変わるわけではないと信じているから。
君の笑っている顔を思い出すと、僕は今でも少しだけ幸せな気分になります。
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Turn Back
Turn Back/TOTO
TOTOのサードアルバム。大ヒットした『TOTO IV』の1つ前の作品で、割と地味な扱い。セールス的にもあまりよろしくなかったらしい。彼らの中で最もロック色の強いアルバムであり、TOTOは色々とスタイル変えてきたのだけど、このアルバムが最高と言う人もいれば、駄作という人もいて、評価が完全に二分している。僕はAORなTOTOから入ってるので、ロック色の強いのはそこまで好きではないものの、オリジナルメンバーの作品はどれも気に入ってます。
TOTOがやるロックは、いわゆる"ロックンロール"とは一味違う。それがいいのかどうかは別として、何かを表現するためのロックではなくて、スタイルとしてロックに仕上がったという印象。アルバムとしては悪くないのだけど、市場にあまり受け入れられなかったという理由も自然とわかる。
元々AORベースのミュージシャン(ボズ・スキャッグスのバックミュージシャン)たちで結成されたバンドなので、これはあまり良くないことなのだけど、TOTOにはこれといったコンセプトがない。それは彼らのメンバーがコロコロ変わるという歴史にも表れている。このアルバムに限らず、それぞれテクニックを追求したら、結果的にこういう音楽になりましたという感じ。それでも数々の名作を残してきた素晴らしいバンドの1つではあるのだけどね。
やはり僕としてはグラミー賞を総ナメした『TOTO IV』や、『The Seventh One』の方が好きかな。この辺が彼らの真骨頂の気がする。
ちなみにTOTOは先日来日しており、チケットも余っているみたいだったから最後まで行こうかどうか迷ってたのだけど、結局行かなかった。メンバーはデビッド・ペイチ抜きの5人。デビッド・ハンゲイトがいなければ、スティーブ・ポーカロもいなくて、そして何より故ジェフ・ポーカロ…。前にテレビでやっていた彼らのライブを見たのだけど、なんかもうこの人たちの時代じゃないんだよなということを改めて感じた。ボビー・キンボールは復活したし、サイモン・フィリップスやグレッグ・フィリンゲンズに興味がないわけでもないが、1つの時代が終わってしまったのだろう。
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TIME TUNNEL/角松敏生
TIME TUNNEL/角松敏生
1993年に音楽活動を"凍結"、そして5年の月日を経て"解凍"した角松の復帰第一作。彼の作品の中では、おそらく今までで一番聴いてきた。アルバムアーティスト角松敏生の真価をいきなり見せられたアルバムであり、僕にとってあまりにも衝撃的な1枚であった。
新生角松の全てがここにあると言っていいと思う。
CDだとこういう表現はないけれど、もしレコードならば、盤面がすり切れるほど聴いたアルバム。全曲紹介でいきたいと思います。
1曲目、オープニングの<TIME TUNNEL>。ポップスアルバムでいきなりインストっていうのが、当時高校2年生だった僕にはすごく新鮮だった。渡辺香津美のギターソロ、山木秀夫と青木智仁のリズム隊、そして度肝を抜く角松のコーラス。この美しさに心底惚れた。まるでライブの始まりのようなイントロダクションは、まさに新たな時代の幕開けを予感させる曲。
音楽雑誌にも書かれていたが、ここから2曲は角松の復帰を祝う曲が続く。ジェリー・ヘイとゲイリー・グラントのコンビを含むトランペット3本に、トロンボーン、サックス2本と、ホーンが計6本。分厚いサウンドが「ようこそ」と角松を迎える。<Lunafairymiena>はまさにそんな歓迎ソングで、今度は夜が来ても終わらないんだということを予感させてくれる。<SHIBUYA>は沼澤尚の真骨頂だろう。天性のグルーヴ。歌詞がすごく良くて、ふと口ずさんでしまう。サックスソロには前述のホーン隊ではなく、マイケル・パウロを起用。
ぐっと落ち着いて<匂い>。匂いって人の記憶に結びついているよね、という話だった気がする。やや文学的とも言って良い歌詞に、どことなく懐かしさを感じさせられる。さらに落ち着いて<Rendezvous>。ポップスのお手本のような曲であり、スタンダードで丁寧な曲作りの美しさがいい。バックは打ち込みだけど、数原晋がフリューゲルソロを吹いてるところがさすが。
バンドソングの<ALRIGHT>は、ギターの浅野祥之、ベースの青木智仁、キーボードの小林信吾、ドラムの江口信夫、この4人でスタジオに入って、「いっせいの」とレコーディングを行ったとか。ベースが強調されているので音は軽くないし、意味深な歌詞からは、過去が重すぎるけれどそれでも何とか先に進みたい、といった角松の切実な想いを歌っているのではないかと、今は感じる。
沼澤尚が大活躍の<時計>。このアルバムのメインフィーチャー曲。時間という、4次元ではないかと捉えられているものというか概念に、角松は歌で挑んだ。聞き手は歌詞以上のものを見せつけられるだろう。パーカッションの大儀見元が素晴らしいが、惜しむらくはちょっとピコピコうるさいことかな。
夜明けのやさしさに包まれる<何もない夜>。一気に曲のもつスケールが広くなる。『あるがままに』でも見られたスタイルがここでも登場しており、この後でも度々聞くことができる。彼の十八番と言ってもいいのだろう。
<風のあやぐ>は宮古島出身のアーティスト下地暁とのデュエット。ライブで何回も歌っているから、角松お気に入りなのだろう。宮本文昭のオーボエソロが聴ける貴重な1曲。多くのデュエットがそうであるように、角松の歌唱力(もしくは彼の歌が持つ力)をまざまざと見せつけるような曲でもあり、絶対にうもれないオンリーワンを持っているアーティストなんだということを再確認させられる。
そして解凍シングル、すなわち復帰第一作の<Realize>。前を見続けている歌詞に、いつだって元気をもらってきた。「変わらないものを見つけて」。みんな角松が帰ってくるのを待っていたんだよ。信じる人たちの期待に応えてくれたあなたに、自分のやるべきことを認識して、しっかりとその実現に向けて動き続けているあなたに、心からのありがとうを伝えたい。
最後は<崩壊の前日>。神戸の大震災がきっかけで作られた曲。見慣れた景色がある日突然ほんの一瞬で崩れ去ってしまう。二度と元には戻れない。しかもそれは、偶然としか思えない要素が決定的な違いを作り出す。僕たちはそんな儚さと、やるせなさと一緒に生き続けるしかないのだろうか。ポンタ先生のドラムが絶品。カーク・ウェイラムとラリー・カールトンが涙を流す。
というわけで全11曲、復帰を飾るにはこれ以上ない出来となっている。もし僕がここまでこだわる角松敏生に少しでも興味を持ってくれた人がいるなら、まずはこのアルバムを聴いてみることをオススメします。彼はこの後さらなる展開をみせていくことになるが、角松の核となる全てがつまっている1枚。
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CHINA
CHINA/CHINA
カナダ出身の三人組なのになぜかチャイナというバンド名。1981年発売で、ワン&オンリーのアルバム。すなわちこれ1枚残して消えてしまった。でもAORの名盤として名高いのです。20年以上の時を経て、例によって日本で世界初CD化。
それにしてもジャケットがなんだかあやしげですね(日本オリジナルらしい)。
チャイナは3人それぞれで曲作り・ボーカルを担当しており、Danny McBrideとChris KearneyはよくAORにあるヘタウマ、一方Bill Kingはきちんとソウルフルな声を聴かせてくれる。個人的にはBill Kingが一番好きかな。他のメンバーについては、同じようなことをやれる人が他にもいる気がしなくもない。コーラスは地味なんだけど、スケールがでかいのが特徴。あまりクセがなくて聴きやすいので、ふとした"繋ぎ"に、とりあえずチャイナで、みたいな感じで聴いたりしてます。
ミュージシャンはジェイ・グレイドンが絡んでいる時点で豪華になることが決まっているようなもので、マイケル・ボディッカー、エイブラハム・ラボリエル、リー・リトナー、マイク・ベアード、アンディー・ニューマークなどなど。べらぼうにうまいというか恰好いいです。あとジェフ・バクスターなんかの名前も…。
きっとこの80年前後という時代は、AORが量産されたのだろう。**の素を買ってきて、決められた食材を入れ、マニュアル通りに調理する。誰もが美味しいと納得する料理が出来上がる。そんな風にして良質な音楽が出来上がっていった。だからこそ、このチャイナみたいにとびっきりのアルバム1枚残して消えてしまうバンドも数知れずあった。
こう書くとネガティブな意味合いに取られてしまうかもしれないけど、僕は決してそういう風には思っていない。おそらくこの量産のおかげでスタジオミュージシャンたちが幅広く世間に高く評価されるようになったのだろうし、残された音楽は20年以上経った今でも多くの人たちに愛され続けている。90年代後半以降、日本のポップスが終わったのとはわけが違う。どう違うかは聴いたら誰でもわかると思います。少なくとも、こっちには音楽に対するリスペクトがきちんとあるからね。
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These Days/Cross Road
たまにはこんなのも。
These Days/Bon Jovi
僕が中学2年のときに流行ったアルバム。単純にかっこいいと感じたロック、14歳だった僕にとって憧れのような音楽だった。今聴いても全然色褪せていなくて、そういうのが話題になってた時代って結構良かったんじゃないかなと思う。
1曲目の鮮烈な<Hey God>から始まり、当時至る所で流れていた<Somethin' For The Pain>、涙涙のバラードの<This Ain't Love Song>、光あるタイトル曲の<These Days>・・・と続いていく。
これがロックだよと僕に教えてくれた1枚。
Cross Road/Bon Jovi
ベスト盤。1曲目の<Livin' On A Prayer>が聴きたくて、やはり14歳の時に買ったことを記憶している。ベスト盤なだけあって他にも好きな曲はたくさんあるのだけど、ボン・ジョヴィとイコールで結ばれてるといっても過言ではないこの曲は、僕にとってものすごく大きな存在。オープニングを聴くだけで胸が高鳴り、あとはもう、かっこよすぎるサビへ向けてひたすら疾走していく。あとは<Lay Your Hands On Me>に<You Give Love A Bad Name>、<Bad Medicine>と、理屈抜きでかっこいい曲が満載。
このCDは後追いのような形になったけれど、それでも周りでは騒がれていて、洋楽に目が向いた人なら大体聴いてた。そういう時代だった。
最近の彼らにはほとんど興味がなくて、なんとなくニュースで新譜が出たことや、来日公演があることを知るだけだけれど、この2枚はたまにむしょうに聴きたくなる。それは僕の音楽のルーツがここにあるからなのかもしれないし、音楽として今なお惹かれるところがあるからなのかもしれない。
結構いいですよ、ボン・ジョヴィ。
KIRK WHALUM performs the Babyface SONGBOOK
Kirk Whalum performs the Babyface Songbook
デビッド・サンボーンは別格として、僕の一番好きなサックス奏者カーク・ウェイラムがベビーフェイスの作品をカバー。ベビーフェイスは今さら取りあげることもない超有名プロデューサーで、誰しもが収録曲のほとんどを今まで耳にしたことがあるはず。ボーカルの代わりに、カークの文字通り唄うようなサックスが絶妙に絡み合っていく。
正直に言えば、こういったコンピレーション的なアルバムはあまり好きじゃない。全体をある種の統一感でまとめることは可能だけれど、根元的な種みたいなものが存在していないから。しかもボーカル楽曲をサックスでプレイするというのは、いかにも今流行のスムーズジャズという感じがして気にくわない。それでもカーク・ウェイラムだからかな、すごく聴いてみたくなった。
参加ミュージシャンはデイヴ・コズにリッキー・ピーターソン、ノーマン・ブラウンと一流揃い。さらにベビーフェイス自身もコーラスで参加。なんとなくどういう音楽になるかは想像がついていたけれど、完全にそれを上回っていた。いやはや、こんなに唄いまくりのサックスもないだろうなと思う。カークのサックスからは"神"の存在が見え隠れするね、たとえそれがポップス曲のアレンジだとしても。
最後にジャケットに書かれているカーク・ウェイラムの言葉を紹介します。
よかったら聴きながら一緒に歌ってほしい(耳を澄ませば僕が歌っているのも聞こえるだろう、音色すらも歌っているよ)。歌詞がわからなくても、肩の力を抜いて、目を閉じて。単なるメロディがもつ素晴らしい力を、その目でみてほしいんだ。
例のごとく、行ってきます。
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Never Turnin' Back
Never Turnin' Back/Bruce Hibbard
ここまでくると誰も知らないというか、「いいよねこれー」なんていう反応があると逆に怖い。そんなマイナー路線をひた走りつつあるものの(とは言えこれも割と有名な1枚なのだけどね)、やはり良いものは良いということで取り上げます。ブルース・ヒバードのセカンドアルバム、1980年の作品。例のごとく日本が世界初CD化。
当然僕もブルース・ヒバードがどんな人なのか全然知らなかったので、初めて聴くときはどんな音楽が流れてくるのか期待と不安が混じっていたのだけど、1曲目でいきなりストライク。この軽いテイストが心地いいし、サウンドはやたらキャッチーでロマンチック。バックミュージシャンはよくわからんなあと思ってたら、ディーン・パークスがいたり。
とにかく、こんなアルバムが埋もれているのはもったいなさすぎる。基本的にCD化されるかどうかは、売れるかどうかなのだろう。そして売れるかどうかは、プロモーション次第。日の目を見ない、僕の知らない素敵な音楽がまだまだたくさんあるのだろうな。そう考えるだけでワクワクしてきます。
ちなみに、このCDはAOR好きでは知らない人がいないであろう中田利樹さんがCOOL SOUNDというプライベートレーベルで発売しているもので、クールサウンドに手を出し始めたらもう終わりの烙印を押されそうな気もするが、既に押されてしまったのでこれからもどんどん素晴らしい音楽を追い求めていきたいと思います。
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Dream Master
Dream Master/Bill Hughes
ビル・ヒューズ1979年の作品。僕は全く知らないのだけど、フジテレビの「もう誰も愛さない」というドラマのエンディングテーマ「とどかぬ想い」を歌った人(日本でもヒットしたらしい)。そんな彼のソロデビュー作。
よくわからないが、最初このレコードは関西地区限定で発売され、その後全国に広がったらしい。念願のCD化。
タイトルからして想像できるけど、すごくロマンチックな1枚。ステファン・ビショップに近いかな。とにかく綺麗で甘い声。ミュージシャンはジェフ・ポーカロ、ジェイ・グレイドン、アーニー・ワッツ、ラス・カンケル、ヴィクター・フェルドマンなどがサポート。バックでそれほど聴かせるものはないものの、それでもきちんとした土台あってこその楽曲。
このアルバムに出てくる「夢」というのは「君」なのだろう。ラブソングというのは、どこかで夢を追い求めるているのかもしれないね。"ドリーム・マスター"は、きっと全てを知っているのだろう。
アコースティックな眼差しと、夢を語るハミング。音がすこし軽めなのが残念だけれど、時代を考えれば仕方ないのかなと思う。春の眠りにつけるやさしさで溢れている1枚です。
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Morph The Cat
Morph The Cat/Donald Fagen
スティーリー・ダンの中心的人物であった(と言っても二人組だけど)ドナルド・フェイゲン、実に13年ぶりとなる3枚目のソロアルバム。何度も書き続けているが、僕の中で音楽の頂点を極めているのがスティーリー・ダンであり、フェイゲンは僕にとって神様のような存在。彼の音楽は"黙って正座"して聴きたい。本当に正座するわけじゃないけど、それだけ大好きだということです。全てが究極的。
もうミュージシャンは全然知らない名前が並んでいるだけだけれど、エンジニアにはエリオット・シャイナーが使われているし、全体的な雰囲気として、往年のスティーリー・ダンを感じさせる。基本的にジャジーで、さらにブルースもありのファンクもあり、でもやっぱりベースはロック。1974年の『Pretzel Logic』あたりからずっとこんな感じかな。もう完全に自分達の音楽のジャンルを確立させてしまっていて、途中休憩はあったものの、30年以上も同じ音楽をやり続けるというのは本当にすごいと思う。
今回のアルバムで面白いのは、それぞれの曲に対して、例えば「若き日の自分とレイ・チャールズ(の亡霊?)との対話」とか、「ラガーディア空港での旅行客とセキュリティー係」といった感じで、短いコメントが書かれている。スティーリー・ダンの歌詞は意味不明なところが多かったけど(僕の英語力不足が原因かもしれないけど)、少し理解を深めることができる。多分…。
消費音楽しか流れないこの世の中で、このアルバムがどう評価されるのかはわからないが、少なくとも2000年以降に出たスティーリー・ダンの2枚よりはよっぽどスティーリー・ダンっぽいし、評価されるべきところでは認められるのではないかな。僕がこんなことを言うのはおこがましいにもほどがあるのだけど。
この音楽の格好良さを、もっと色んな人にも知ってもらいたい。ファーストソロの『The Nightfly』は大名盤なのであれと同レベルとは言わないが、やっぱりフェイゲンはこうでなくっちゃねと感じることができる1枚。
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Who's Foolin' Who
Who's Foolin' Who/Frankie Bleu
記念すべき(?)CDレビュー100エントリー目はこの作品。これまた知る人ぞ知る1枚という感じではあるけれど、僕にとっては原点回帰の1枚。特別思い入れがあるわけでもなく、そして音楽的にもそんなに面白いことをやってるわけではない。でも、何かが僕の心に届いたアルバム。
1970年代後半から80年前半にかけて、まさにAOR黄金期のこの時期、スティーリー・ダン、エアプレイ、ボズ・スキャッグス、ボズがきっかけで結成されたTOTO、クリストファー・クロス、引っ張りだこのビル・チャンプリンがいて、そしてデビッド・フォスターが大活躍していた。舞台はロサンジェルスに、ニューヨーク。一流のセッションミュージシャン達が、名プロデューサーのアイディアを具現化し、さらにそれぞれが持つ技量を惜しみなく音楽に注ぎ込んでいった。
そんな中、自分の好きなように音楽を突き詰めていったら、偶然にもそれらの音楽と同じようなところに到達した人がいる。それがこのフランキー・ブルー。
・・・というのは僕の勝手な想像であって(すみません)、実際のところは違うというか、ビーチボーイズファミリーのジョー・シャーメイがプロデュース、山下達郎のファーストアルバムに絡んだミュージシャンなどがサポートしているのだけど、"LA録音"みたいな華やかさはないんですね。これまた適当な解釈なんだけど、ローカルではトップだけど、世界に出てみたら全然通用しなかったみたいな。
でもそういうあか抜けてないところがいいかなって。いきなりビルボードだハリウッドだと言ったって、そんなのはリアリティがなくて、最初はもっと次のステップとして足下が見えてる方がいいのかもしれないなと。そんな音楽が収められてます。久々に、周りに何もない感覚を味わった。"Who's Foolin' Who"、いい言葉だなと思う。
そして、ここから始まっていくんだ。
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Sweet Vendetta
Sweet Vendetta/Adrian Gurvitz
エイドリアン・ガーヴィッツ、1979年の作品でAORど真ん中。当時のボズ・スキャッグの延長線上にあると言ってもいいようなサウンド、そして曲作り。曲良し、バック良し、アレンジ良しの3拍子揃ったアルバム。
1曲目の<Untouchable And Free>はエド・グリーンのかっ飛ぶ16ビート、続く2曲目の<The Wonder Of It All>もジェフ・ポーカロのゆるやかな16ビート。とにかくリズムが気持ちいい。歌はそれほどうまくないけど、甘いファルセットとリフレインがクセになります。
ミュージシャンはTOTOのメンバーが中心。まだTOTOがデビューしたての頃だけど、本当にいい仕事しているなと思う。ガーヴィッツ自身が弾くギターも何だか味があっていいし、スティーブ・ポーカロのシンセはどこか"未来的"。ストリングスもホーンもうまく使われており、この頃の音楽にしては音が厚い。
個人的には、Wilson Brothersの『Another Night』やRandy Goodrumの『Fool's Paradise』に並ぶ、あまり表に出ないけど実は大名盤の1枚だと思ってる。AORとして完璧だろう。
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TRIBUTE TO JEFF Revisited
TRIBUTE TO JEFF Revisited/David Garfield & Friends
故ジェフ・ポーカロに捧げられたアルバム。いかにポーカロが偉大なドラマーであったか、そしていかに彼が皆に愛されていたのかを証明するような作品です。オリジナルは97年に作られたのだけど、インスト曲にボーカルが入ったり、曲が追加されたりと、さらに充実した内容になっている。
もちろん楽曲も良いのだけど、それ以上に、本当にポーカロや音楽に対する愛に溢れていて、聴いていて胸がいっぱいになった。素晴らしいミュージシャン達の様々な想いがつまっている。ポーカロとの思い出、ポーカロの音楽、ポーカロと共に生きた時代。二度と一緒にセッションできないことを惜しむかのように、久々の再会を懐かしむかのように。いい音楽はいつまで経ってもいいし、本物の音楽はいつまで経っても残り続けるんだよなと心から思う。
参加ミュージシャンは80人近くいるので全員の名前は挙げないが、TOTOのおなじみメンバーがいれば、ボズ・スキャッグスもいるし(<Lowdown>が収録されているものの、彼は歌っていない。でもアレンジがめちゃくちゃかっこいい)、ポーカロがリスペクトしていたスティーブ・ガッドも当然いる。その他のドラマーでは、バーナード・パーディー、スティーブ・フェローン、サイモン・フィリップス、トリス・インボデン、リッチー・ヘイワード、グレッグ・ビソネット、ヴィニー・カリウタ。そしてオリジナルが発売され、この"Revisited"が出るまでに亡くなってしまった故カルロス・ベガ(1998年4月他界)、故ジョン・ゲラン(2004年1月他界)も参加しているところが泣かせる。
その他のパートも、まあこの人はいるだろうなという人はまずいます。
でも一つだけ、当然と言えば当然なのだけど、これだけのメンバーが揃っているのに、ポーカロが叩いていないというのがひどく寂しい。いつだって、ここはというところではポーカロがいた。そういうのに慣れてしまった。
高校生の時からポーカロのドラムを聴いてきた。今ではよくわかる。どれだけ彼のドラムが、音楽が、素晴らしかったのかということが。そしてどれだけ音楽シーンにおいて偉大だったのかということが。不世出という言葉はこの人のためにある。僕が世界で一番好きなドラマー。ジェフリー・トーマス・ポーカロ。
いつまでも、世界中の人がポーカロのことを覚えていてくれればなと思う。
In Memory of Jeffrey Thomas Porcaro. − 4/1/51-8/5/92.
We miss you.
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No Lookin' Back
No Lookin' Back/Michael McDonald
ブルーアイドソウルシンガー、マイケル・マクドナルドのセカンドアルバム。個人的にはファーストの『If That's What It Takes』方が好みだけれど、彼のソロ作品の中で最高傑作と評されることも多い本作。リリースは1985年。80年代の良質なポップスがたっぷりつまっています。
このアルバムでは、全9曲中8曲のドラムをジェフ・ポーカロが叩いていて(残りの1曲もシンバルで参加)、ポーカロのアルバムのような感じもある。あまり派手さはないが、キチキチッと叩いてます。ベースはウィリー・ウィークスやネーザン・イーストといったリズム隊。生ドラムだけじゃなくてシンセドラムなんかも活用されており、それがマイケルのボーカルや曲に実によく合っている。これがTOTOだったら「何だよもう、生でやれよ」と思ってしまうのだけど、この人の場合、極端なことを言うと全部打ち込みでも可。シンセの人工的な音が、綺麗なボーカルとぴったり。圧倒的な存在感。
あとデビッド・パックや、ランディ・グッドラムが参加しているのも面白い。どれもそれぞれが孤立したプレイではなくて、あくまでもボーカルが入って初めて1つの曲として完成するという感じかな。
おそらくは廃盤になってしまっているので、なかなか手に入らないのかもしれないけど、80年代を代表する1枚であることは間違いないので、ブルーアイドソウルやAOR好きな人には、機会があればぜひ手にとってもらいたい。"良い音楽"っていうのはこうやって作り上げられるんだな、ということがわかる1枚です。
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Dane Donohoue
Dane Donohoue
前にちょこっとミュージカルバトンで取りあげたのだけど、あまりにも素晴らしい作品なので改めて。いやー、もうこれは一家に一枚です。AOR史に残る大名盤。ちなみに昨年発売された紙ジャケ版はリマスタリングがされてます。
まずは何と言ってもアルバム通しての世界観。一見アンダーグラウンドなムードがあるものの、そっと耳を傾けてみると実は全然そんなことなくて、「ようこそ」と向かえてくれる。大事なのは一歩踏み出せるかどうかなのだろう。そして入ったが最後、あまりの居心地の良さに抜け出せなくなる。デイン・ドナヒューの、素朴でのびのある、そして温かいボーカルがたまらない。このハーモニーは"一聴"の価値ありです。
これほどミュージシャンの力をうまく使ってるアルバムも少ないだろうなと思う。ギターにはうねりまくりのラリー・カールトンや、ジェイ・グレイドン、スティーブ・ルカサー。ドラムにエド・グリーンやスティーブ・ガッド。あとはアーニー・ワッツの、一瞬で世界を変えてしまう素晴らしいブロウを取りあげないわけにはいかない。そして多分、ヴィクター・フェルドマンの参加が、このアルバムを仕上げてるのだろう。
音楽としての完璧さがこのアルバムに収められている。
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If That's What It Takes
If That's What It Takes/Michael McDonald
先月ジェイムス・イングラムのライブでマイケル・マクドナルドの真似を見てから、どういうわけかマイケル・マクドナルド熱が高まっており、ずっと『Motown』や『Motown2』なんかをヘビーローテーションで聴き続けているのだけど、このアルバムを忘れてはいけない。ドゥービー・ブラザース時代を経て出来上がった、彼のソロ1作目。めちゃくちゃ良いです。
ブルーアイドソウルと言えば、もうこの人しかいないだろうなと思う。どこまでも伸びのある声に圧倒され、そして深みのある歌詞に胸を締め付けられる。でもそれは苦しみとか痛みとか、そういった目を背けたくなる類のものではなくて、前を向いたもの。僕らが生き続けていく上で、そこに自然と含まれるもの。それにしても歌うまいなぁ。
バックミュージシャンもすばらしくて、彼のボーカルをきっちりとサポートしている。リズム隊はほとんどスティーブ・ガッド+ウィリー・ウィークス。絶妙のプレイ。何作かポーカロも叩いてるけど、この作品ではガッドの一人勝ちかな。あとはトム・スコット、マイケル・オマーティアン、ディーン・パークスなどなど。スティーリー・ダン時代を思わせるメンバーが揃ってます。
ここ最近はベスト盤みたいなのしか出してなくて、まあこの人に限って言えばそれでも悪くはない気もするが、『Motown』をやれるのだから、何か一発ガツンとしたものを期待したい。
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Anthology/Bryan Adams
Anthology/Bryan Adams
CDの方はリマスタリングされたベスト盤。いつもだったらそんなCDは買わない僕だけど、なんと"おまけ"でリスボンでやったRoom ServiceツアーのライブDVDが付いてくる。これは買うしかないでしょう、ということでついに買いました。
前にも書いたが、去年の春、日本武道館で観たブライアン・アダムスのライブは本当に良かった。今までの人生で観たライブの中で一番良かったと言っていいかもしれない。あの感動が再び、今ここに。
あくまでも"おまけ"なので、画質は狙ったのかどうか知らないけど何だか粗雑だし、カット割りも落ち着かなくて、イライラさせられるところもある。それでも、もはや僕の中では伝説となったあのライブが、記録として残っているだけで十分。<Room Service>のオープニングだけでワクワクしてくるし、<Back To You>や<Cloud #9>なんか言うことないです。
それにしてもリスボンの観客はすごい。武道館で味わった、あの一体感を思い出す。
CDは全然聴いてないのでノーコメントで。音質が良くなったというのは嬉しいかな。
ちなみに日本盤にはDVDが付いてないのでご注意を。さらに、パッケージとしてこの"おまけ"と全く同じ内容だというDVDが、パッケージとして"おまけ"付きCDよりも高い値段で売られています。人の好みはそれぞれだけど、間違いなく輸入盤をオススメ。
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ARTISAN
ARTISAN/山下達郎
1991年の作品。山下達郎の中では比較的"新しい"部類に入る。何たって、この後オリジナルアルバムは2枚しか出していないのだから…。ARTISAN(アルチザン)はたしか職人という意味で、その名の通り、彼が丹念に作り上げたということが十二分に感じられるアルバムです。
1曲目の<アトムの子>はアルバムに入れるには少し浮いている気がするけど、その後の<さよなら夏の日>から<Splendor>までの6曲の流れは、山下達郎の作品の中でも比類なき美しさだと言えると思う。
青春時代を永遠へと昇華させるような<さよなら夏の日>は本当に好きな曲。自分にとって大切な情景が浮かび、いつ聴いても夏が終わってくれる。でもここで夏が終わっても、次の<ターナーの汽罐車>で救ってくれて。音がすごくいい。
問題と言うべきかどうかはわからないけど、<Splendor>をのぞけばほとんどがコンピュータープログラミングによる打ち込み。彼の打ち込みは品があって嫌いではないのだけど、でも、それまでの素晴らしいミュージシャン達を起用した作品の素晴らしさを知っているだけに、生にこだわって欲しかったなと思う。悪くはないんだけどね、やっぱり山下達郎の曲には青山純と伊藤広規のグルーヴが欲しいなと。
それでも、曲・アルバムの完成度は非常に高いし、90年代以降の彼の作品では間違いなく最高傑作。山下達郎のミュージシャンとしての技量が注ぎ込まれた1枚。
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Bish
Bish/Stephen Bishop
ステファン・ビショップのセカンドアルバム、1978年の作品。僕はファーストの『Careless』の方がいいと思うのだけど、どういうわけか世の中ではステファン・ビショップ=Bish(邦題:水色の手帖)となっている。彼のアルバムの中で最もロマンチックな1枚とのこと。
たしかに、ロマンチックだと言われれば、そうだねと肯定できる。メロウな楽曲がたっぷりつまってます。でもちょっと曲作りが弱いかなという印象。サビがやたら印象的なのに、メロディ部分が弱い。やりすぎたか、もしくはあと一歩だったのか。
バックはやたら豪華で、デビッド・フォスター、マイケル・マクドナルド、レイ・パーカー、チャカ・カーン、ナタリー・コール、アート・ガーファンクル、トム・スコットなどなど。この時代はコンピュータによるインチキが許されなかったから、必然的に要求される質が高くなるのだろう。だから素晴らしいミュージシャン達が育っていったのかな。
曲作りが弱いと書いたけど、アルバム通して、澄み切っていない美しさみたいなのが感じられ、それはそれですごく魅力的。<A Fool At Heart>なんて、美しすぎて言葉を失う。そんなに難しいことやってるわけじゃないのに、ここまで魅せられるというのは、彼ならではなのだろう。
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Happy People/U Saved Me
Happy People/U Saved Me / R.Kelly
窓の外の真っ白に染められた世界を見ていたら聴きたくなったアルバム。たまにはR&Bだって聴くのです。
<I Believe I Can Fly>などのヒット曲で知られるR.Kelly。スキャンダルまみれの人生を送っているものの、だからといって彼の音楽に対する評価を変えてはいけないと思う。
今の時代、どういう人がその曲を作ったのか・その背景にあるのは何なのかとか、そういうサイドストーリーみたいなのも重視されるけれど、本来音楽はそういうものとは独立しているものだし、理想を言えば音楽は音楽そのもので評価されるべきだと思う。
例えば僕らがクラシックというジャンルで呼ぶ音楽を残した偉大な音楽家たちだって、(現在の道徳観で見れば)実はとんでもない生活を送っていたりする。でも、そんなのは一部の人のみが知る話で、彼らの音楽に対する評価には微塵も影響を与えていない。願わくは、音楽というのはそういう存在であり続けて欲しい。
とか言いながらも、それでも人は、特にリアルタイムの音楽を純粋に音楽のみで評価することなんてできないのも確か。その辺が非常に難しいのだけど、ある程度の年月が経ったとき、良いものは残り続けるし、そうでないものは消えるのだろう。短いスパンで見ると変な方向にいってしまっているように感じるときもあるが、結局は最後、残るものは残るべきして残るというのを歴史が証明し続けている。
僕は基本的に無神論者だけれど、「神」という言葉抜きにこのアルバムを語ることはできない。2枚目の『U Saved Me』は、もはや神との対話、あるいはそれを試みているかのような行為。
唯一絶対のものとして神という存在がいれば、救いを乞うことができる。他の誰にも認められなくたって、神に許してもらうことができるのならばそれで救われるのだから。許してもらえなくとも、祈り続けることで、自分の存在意義を少なくともその間は確立できる。
そういうのを羨ましく感じるときもあるけどね。でも僕は、やはり自分で何とかしなければいけないのかなとも思う。自分の中で、自分以外に、そういう絶対的な存在を作り上げたくないっていうのがあるのかな。
全然アルバムの内容とは関係ない話になってしまいました。特に人に聴いてみてもらいたい1枚でもないし、まあ今年初めての積雪記念ということで。
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Back To Oakland
Back To Oakland/Tower Of Power
1974年の作品、Tower Of Power(TOP)通算4枚目のアルバムとのこと。ジャンル的にはファンク、になるのかなあ・・・。たまにはこんな音楽を大音量で流してスカッとしたりしてます。
音楽的には、Average White Bandなんかと比べて正当派という印象。スティーブ・"ドック"・クプカを始めとする強力すぎるホーン隊に、デビッド・ガリバルディのドラムとフランシス・ロッコのベースがガンガン突っ走っていく。ガリバルディ、大好きなんです。綺麗なしっとりした曲もあるけど、やっぱり<SQUIB CAKES>かな。体を動かさずにはいられない。
もう難しいこと考えないで、ボリューム上げて、そのまま連れていってもらっていって。
こういう音楽はやはり生だろうと思う。来月ブルーノートにくるのだけど、おそらく最後となるスチューデントナイトで観たいなと思案中。だんだん予約も埋まってきたみたいなのでダメかなあ。学割予約開始の1週間前が遠い…。どうせオールスタンディングだろうから(多分)、ダメだったら一般で立ち見とかでも。ぜひ観てみたい。
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INCARNATIO
INCARNATIO/角松敏生
トンコリ、和太鼓、三線といった日本の伝統楽器がふんだんに使われたアルバム。ファンの間では物議を醸した(らしい)けれど、僕は、解凍後の角松の最高傑作だと思っている。こんな音楽をやれるアーティスト、日本には一体何人いるのだろうか?
いきなり別世界へと誘うインストの<INASA>から始まり、そのまま7/8という変拍子が基本の<IZUMO>へと繋がる。この曲のリズムパターンは本当に複雑で、多分曲の中でも変化しているのだと思うのだけど、全然わからない(6/8もあるようなないような・・・)。沼澤尚がカチッと叩ききってます。圧巻。
たしかなことは言えないが、和太鼓などの僕ら日本人が慣れ親しんだ音には、何かそれだけで惹きつけられるものがある気がする。宮古で祭り太鼓を見たとき、そのあまりの力強さに感動しっぱなしだった。でも、そんな音、普通ポップスにはのらないだろうなと思う。時間が経つにつれそのすごさがわかってきた。あまり外から評価はされなかったものの、そんなところがいかにも角松・・・と言っては本人に失礼だけれど。
あとそういう伝統楽器をフィーチャーした曲ばかりではなくて、途中に今までの角松の流れを受けたような曲も数曲。これらの存在が、よりいっそうこのアルバムを引き締めている。アルバムが1つの世界、やっぱりこれが基本。これほど完成された世界もそうそうないだろう。
結局、どんなことをやろうとも、角松は角松。音楽というのは1つの共通言語なんだなということを感じさせられた1枚。
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Chicago 17
Chicago17/Chicago
大ヒットした<素直になれなくて(Hard To Say I'm Sorry)>が収録されてる前作『16』ではなくて、あえてこちら。それほど深い意味はないのだけど、アルバムそのものとしての評価はこっちの方が高いはず。
前作からボーカルのビル・チャンプリンが加わっており、そして今作もデビッド・フォスターがプロデュース。もう笑っちゃうほど80年代ベタベタの音楽。
当時こういう音楽が流行っていたというのはなんとなくわかるけど、今聴くとちょっと時代遅れに感じるかな。つまったようなリズムパターン、大げさなシンセ、やけに強調されたハーモニー、ストレートすぎる歌詞。もうリリースされてから20年以上経ってるのだから、そんなの当たり前かもしれないけど、ただ同年代あるいはもっと前にリリースされていたって、未だに古くささを感じさせない音楽は山ほどある。
でも個人的には、こういう一瞬だけ成立していたような音楽も、特にバラードはかなり好きなんです。詞とかメロディだけじゃなくて、曲そのものに小さな命が宿ってる気がする。昔はこんな音楽で人は恋に落ち、愛を語ったのかな、なんてね。
アップテンポの曲は、本当にいかにもって感じなので、やっぱりバラードに注目してしまう。<Hard Habit To Break>、<Remember The Feeling>、<You're The Inspiration>、<Once In A Lifetime>(これをバラードというのは微妙か)、どれも時代を彩った名曲。とは言え<Prima Donna>みたいなのが、一番Chicagoっぽい気もする。
色褪せてしまった音楽だけど、色褪せる前のことに、あるいはその過程に思いを巡らせてみるのも、たまには悪くないんじゃないかなと思う。
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The Secret Of Movin' On
The Secret Of Movin' On/David Pack
新年1枚目は、音楽ライター金澤さんが昨年のベストアルバムだと取りあげていた(ので買ってみました)この作品。彼は元アンブロージアのボーカルで、音楽的には当時とあまりにもかけ離れてしまっているのだけど、僕としては断然こっちの方が好み。こんなにもボーカルで聞かせる人だったとはね。
セルフカバーの<BIGGEST PART OF ME>や<YOU'RE THE ONLY WOMAN>なんかもいいけど、それ以外のオリジナル曲が今の時代にあっていてすごく良いです。特にジャーニーのボーカル、スティーブ・ペリーと歌った<A BRAND NEW START>はジャーニーの"熱さ"をデビッド・パックがさらりとかわしているようで絶妙。他にも元イーグルスのティモシー・B・シュミットや、デビッド・ベノワと共演。
ドラムはヴィニー・カリウタ(1曲スティーブ・フェローン)。初っぱなから跳ねまくり。やろうと思えば全部打ち込みでも何とかなっただろうに、真面目な音楽やってるなという印象で気持ちいい。今のポップスシーンはコンピューターに牛耳られてしまっていて、それも仕方ないことなのかもしれないけど、「人間にしか出せない音だってあるんだよ」みたいな姿勢が感じられる。ここから何かが始まって欲しいな。
たしかに、(リマスタリングや再発なんかではなく)2005年にリリースされた作品としてはベストかもしれない。今の時代の、今の音楽で勝負してきた。そういうのがいいなあと思う。せっかく21世紀を生きているわけだから、70年代、80年代の良質な音楽を求めるだけではなくて、リアルタイムでもいい音楽に出会っていきたい。そんな要求に応えてくれた1枚。
単純に、2005年にこの作品が出たという事実が嬉しい。
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Reason For Thousand Lovers
Reason For Thousand Lovers/角松敏生
角松敏生、冬のアルバム。打ち込み中心で最初はあまり好きじゃなかったのだけど、今聴き直してみるとこれがなかなかすごい。参加ミュージシャンも豪華です。
前に取りあげたカーク・ウェイラムも参加しているこのアルバム。他にはバジー・フェイトン、ジェイ・グレイドン、リチャード・ティー先生、ホーンはジェリー・ヘイやゲイリー・グラント(この2人はセットなのだろうか…)。そしてスティーブ・ガッドまでも。日本を代表するドラマーのポンタさんと、世界を代表するスティーブ・ガッド、この2人が叩いてる曲が1枚のアルバムに収まっているのなんてこれぐらいじゃないだろうか。
曲の方はどれもピコピコとにぎやかで、豪華なミュージシャン達の力を活かしきれているかどうか、これには疑問を感じずにはいられないのだけど(僕は打ち込みがあまり好きではないのです)、例えばグレイドンのギターソロなんかは、ああやっぱりという感じのプレイで、角松はそんな定番の演奏を彼らに求めたのかもしれない。この次のオリジナルアルバムが、角松の"バンドミュージック"最高峰である『All Is Vanity』であることを考えれば、そんな流れも理解できる。
このアルバムは年内限定、新年には聴けない。なぜかというと最後に<New Year's Eve>が収録されているから。ここ数年はずっとこの曲に救われ続けてきた気がする。今年も色々なことが通り過ぎていったね。ようやく終わりだね。
人は誰も一度は大切な愛を失う
そして 優しさに目覚める
ようやくこの言葉の意味がわかったよ。失ったのは、自分の中にある愛。
ありがとう この想いを今 君の胸に
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Kirk Whalum
一度聴いたら、そのメロディが耳を離れなくなる。この人ほど、"唄ってる"サックス奏者はいないと思う。角松のバックでも吹いていたりして、名前だけは知っていたのだけど、一気にファンになってしまった。ケニー・Gともトム・スコットとも、デビッド・サンボーンとも違う。こんなにもメロディアスで、そして心を温かくするサックスを、僕は今まで聴いたことがない。
Into My Soul/Kirk Whalum
Colors/Kirk Whalum
あまりにも気持ちいいので、余計な言葉はつけません。全ての"唄うサックス"を聴きたい人に。
Christopher Cross
Christohpher Cross
クリスマスらしいアルバムを紹介しようと思ったのだけど、そんなものありませんでした。ということで大名盤、クリストファー・クロスのデビュー作。いきなりグラミー賞4部門とってしまうというとんでもないアルバム。日本盤だと『南から来た男』なんてタイトルがつけられてる…。
おそらくはこれもAOR路線なのだけど、ウエストコーストの風があるわけでもなければ、研ぎ澄まされたニューヨークのセッションでもない。都会の喧噪の中で、ふと大きな空を偲ぶような雰囲気とでもいうのかな。都会と自然、個人と全体、まとめて1つに扱えないものをまとめてしまう。すべては、まるで少年をそのまま大人にしたような、奇跡の歌声の仕業。こんなハイトーンボイス、奇跡としかいいようがない。
ミュージシャンはまだそれほど派手さはないのだけど、バックグラウンドボーカルにはマイケル・マクドナルド、ヴァレリー・カーター、ジョン・デビッド・サウザー、ドン・ヘンリーなんかが参加。その他、ジェイ・グレイドンやラリー・カールトンがギターソロで華を添えている。
1曲目の<Say You'll Be Mine>は挨拶代わりの一発で、まさに自己紹介のような曲。<I Really Don't Know Anymore>は初めて聴いたときぶっ飛んだ。こんなメロディが成立するの、彼だけだろう。あとは<Never Be The Same>、<Ride Like The Wind>、<Sailing>、<Minstrel Gigolo>など今なお人気のナンバーが目白押し。この完成度の高さには驚くばかり。
間違いなく彼の最高傑作です。
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Melodies
Melodies/山下達郎
この時期、山下達郎の代名詞として使われるあの曲が流れまくるわけですが、未だに牧瀬里穂のCMが話題に挙がる一方で、その曲が収録されたこのアルバムは残念ながら全然知られていない(と思う)。あの曲だけだろうと思って聴かないと損するよ、名曲だらけなんだから。
とりあえずこの季節に聴くならば、最初の2曲はなかったことに。ここで夏をバサッと切り捨て、<夜翔(Night Fly)>から。佐藤博のキーボードと、美しいストリングスが光る綺麗な曲です。ブライアン・ウィルソンがグレン・キャンベルに提供した<GUESS I'M DUMB>、達郎さんのシンガーとしての才能がいかんなく発揮されている<ひととき>へと続く。レコードだとここまででA面。
B面に移って(CDだと関係ないけど)青山純と伊藤広規のリズム隊フィーチャーの<メリー・ゴー・ラウンド>。吉田美奈子作詞の<BLUE MiDNiGHT>では松木恒秀のギターがいい味を出してたりね。土岐英史のサックスもいい。そしてちょっとハッピーな<あしおと>。何かのエンディングテーマっぽい曲で、「じゃあね、また明日もね」みたいな雰囲気がある。最後は何かを予感させる<黙想>でしっとりと、ラストに<クリスマス・イブ>。・・・うーん、繋がってない気がするんだよね、なんか。
問題は<クリスマス・イブ>が有名になりすぎてしまったところにあるのだろう。でも僕の知識が間違っていなかったら、まずはこのアルバムが出て、その後にシングルカットという形だったはず。このアルバムで初めて聴いた人は、きっとぶっ飛んだんだろうなと思う。羨ましい。音楽的にもパッフェルベルという人が作曲したカノンをア・カペラでやった間奏が入っていたりして、とんでもないのだけどね。
このシングルは再発され続け、今年でなんと20年連続でトップ100にチャートインしたらしい。月日が流れ、色々なことが変わり続けたけど、それでもこの曲は変わらずクリスマスを彩ってきたのだろうな。まあ20年間ずっと、「きっと君は来ない 一人きりのクリスマスイブ」なわけですが。
もう無理だろうけど、<クリスマスイブ>も"収録されている10曲の中の1曲"にしたいなあ。
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Pretzel Logic
Pretzel Logic/Steely Dan
スティーリー・ダン3作目、1974年の作品。元々彼らは1つのバンドだったのだけど、この作品からスタジオミュージシャンをふんだんに起用するようになった。そしてここから、伝説が始まった。
参加ミュージシャンは、マイケル・オマーティアン、ジム・ゴードン、ジェフ・ポーカロ、ディーン・パークス、チャック・レイニー、ティム・シュミット、アーニー・ワッツなどなど。まあ、とんでもないメンバー。
このアルバムも彼らの他の作品と同様、最初はあまり良さがわからなかったのだけど、一度気付くとあとはもうどっぷりと。<Rikki Don't Lose That Number>のサビや、<Parker's Band>のサックスのかけ合いが、かっこよすぎる。それぞれ各ミュージシャンのプレイをフィーチャーし、それでいてトータルバランスを崩さず、緻密な音楽をやり遂げる。まさしくこれがスティーリー・ダンの音楽。
全体的にボーカルに重きを置いており、ブルースのテイストがあるかな。まだ若さを感じる。デューク・エリントンの<East St.Louis Toodle-Oo>をやってるところが、ただ者ではないところを見せつけているのだけどね。
いや、しかしね、1974年にこんな音楽をやられてしまうと、笑うしかないだろう。このアルバムを含むこの後の5枚、僕は勝手にスティーリー・ダン中期と呼んでいるのだけど、この中期はもはや伝説としかいいようがない。
そんな伝説の幕開けを飾ることになった1枚。
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Leon Ware
夜の恋人たち/Leon Ware
ふざけた邦題だけど(オリジナルは『Leon Ware』)、これまた世界初CD化とのこと。このタイトルから容易に連想できる通りロマンチックな1枚。
ようこそ、大人の夜の世界へ。
全体的にソウルフルというかブラック色が強い。ボーカルに力があるから、ホーンと張り合える。これは限られた人のみが持つ1つの才能であり、そこが聴き所の1つ。あと特筆すべきはビル・チャンプリンのコーラス。曲とぴったりで、お見事としか言いようがない。
リズム隊は、ジェフ・ポーカロ+ネーザン・イースト、もしくはジェームス・ゴードン+チャック・レイニー。あとはデビッド・ペイチ、ディーン・パークス、レニー・カストロなんかも参加。82年の作品とのことだが、改めて上記のミュージシャン達の偉大さを感じる。どこでも名前を見かけるもんな・・・。もちろん、そういう作品を好んで聴いているというのもあるけれど。
このアルバムは、とにかく"大人向け"。きっと10代のときに聴いていても、良さがわからなかっただろうなと思う。「いかにも」みたいな感じがあるのは否めないのだけど、その「いかにも」を楽しめる、心地よく思えるかどうかで、また聞こえ方も変わってくるはず。
夜の、都会の、大人の、アルバム。
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SONGS 30th Anniversary Edition
SONGS/SUGAR BABE
伝説のバンド、シュガーベイブが唯一残したアルバム。発売から30周年ということで、大瀧詠一がリマスタリングして再び世に出てきた。『A LONG VACATION』といい、『EACH TIME』といい、『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』といい、この人はリマスタリングしかすることないのかよ…。
当然ながら曲自体は同じなので、それほど大きな感動はない。前回発売(再発?)されたのが1994年、まあそれだけ時間が経てば機材も進歩する。それなりに音も良くなるでしょうよと。そもそもシュガーベイブは、もはや音質うんぬんじゃないからね。メロディが、音が、そこにあるだけで十分。
ボーナストラックは2曲増加。ほとんどがデモと称するスタジオアウトテイク(?)、あるいはライブ録音なのだけど、今まで聴いたことのなかった<想い>という曲が聴けるのが嬉しい。でもその代わり大貫妙子の艶めかしい声が魅力的な<愛は幻(Live)>と、かっこよかった<今日はなんだか(Live)>が抜けてしまった。難しいものです。
デモに関しては、今回のバージョンの方が好きかな。前バージョンはライブと変わらないような感じだったけど、今回のはレコーディングスタジオでやってる雰囲気がある。ただし<パレード>は前の方が好き。これも好きずきということで。
しかしいつまでも色褪せないね。シュガーベイブは。
個人的に、日本のポップス・ロックの原点は、はっぴいえんどではなくて、シュガーベイブにあると思ってる。30年という時間は、まだ約24年しか生きてない僕にとって想像を絶する長さ。果たして今年発売された日本のポップスアルバムで、30年後も聴かれ続けているものはあるのだろうか・・・。でも、このシュガーベイブのアルバムは、2035年になっても変わらずに愛され続けているだろう。きっと。
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Another Night
Another Night/Wilson Bros.
世界初CD化とのこと。1979年の作品。前にも書いたけど、この辺の音楽(AOR系)を評価しているのって世界中で日本人ぐらい。こんな素晴らしい音楽に出会えたのだから、僕はそのことを嬉しく、そして誇りに思う。
全体的にギターがフィーチャーされてるかな。正確なクレジットがないので確かなことは言えないのだけど、そのほとんどがスティーブ・ルカサーのはず。うまいというよりは味がある。派手なソロ、地味なプレイ、そしてうねりまくりのフレーズ。彼の参加が、このアルバムを特別なものにしているのだろう。
AORのボーカルって、あくまでも僕の好みの話だけど、あまり上手すぎてはいけない。あまりにも上手いボーカルはバックを消してしまう。でも当然下手でいいというわけでもなくて、理想形がスティーリー・ダンのドナルド・フェイゲン。歌唱力はアベレージでもいいから、何かユニークなものが欲しい。このウィルソン・ブラザーズはその条件に当てはまっていると思う。ハーモニーがすごく気持ち良いです。タイプとしてはペイジスに近いところがあるけど、より力がある。ずば抜けてる曲はないけど、捨て曲も1つもないアルバム。AORの名作。
音楽的に、アレンジ・スタイル的に、やっぱり80年前後の音楽だなと感じる。その辺が、かっこいい音楽のピークだったのだろう。もうこんな音楽は二度と帰ってこないのだろうなとわかる。残念ながらね。
CDで出会えたことをありがたく思い、大切に聴いていきたい1枚。
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Keep This Love Alive
Keep This Love Alive/Tom Scott
先月再発になったトム・スコット1991年の作品。変なジャケットだけど、素晴らしすぎる音楽がつまってます。
ボーカルにビル・チャンプリン、ブレンダ・ラッセル、デビッド・パック、ウィル・リー、ダイアン・シューアという素晴らしいアーティスト達を迎えて5曲。タイトル曲の<Keep This Love Alive>がいいなあ。デビッド・パックの歌声が甘すぎ。もちろんトム・スコットも彼らに負けじと唄いまくってる。
このスタイルは昨年出たケニー・Gの『At Last...The Duets Album』と似ているけど、あっちはカバー曲だったのに対し、こっちは全部トム・スコットが絡んだオリジナル。だからサックスの入りがすごく自然。何かの代わりとしてのサックスと、最初から用意されているサックスとの違い。
音楽の完成度としては間違いなくこっちの方が上だろうな。全体的にディーン・パークスのギターがすごすぎる。特に<Givin' Our Best>。そのタイミングにはこれしかないっていうプレイ。もう「すごい」としか言いようがない。そんなすごい演奏と、トム・スコットのサックスが絶妙に絡んでいく。唄ってるねえ。泣いてるねえ。
寒くて寂しい冬も、これで乗り越えられそう。フュージョン好きにもAOR好きにもオススメの1枚です。
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room
room/上田まり
上田まりのデビューアルバム。今までセカンド、サード(ラスト)と聴いてきて、ようやくファースト。なぜ今まで手を出さなかったのだろうと思う。最後の最後にして、ようやく等身大の彼女に出会うことができた。
このアルバムを聴くと、いかにその後の作品で彼女がスポイルされてしまったかが手に取るようにわかる。凝ったリズムパターンも、ぼやけさせるエフェクトも必要ない。この歌声さえあれば、他には何もいらない。サウンドは素朴であればあるほど彼女の魅力が引きたつし、そしてたまらなく愛おしい。それはきっと、純真な、無垢な愛を心のどこかで求めているのと同じで。
好きな人に「好きだ」と伝えたいという気持ち、会いたい人に会いたいという気持ち。みんなそれがかなわなくて、もどかしくて苦しくて。そんな辛い想いをするのがわかっているのに、それでも人は誰かを好きになることをやめられなくて。
今の時代、そんなの流行らないかもしれないね。事実、彼女は音楽界から消えてしまった。でも僕の心の中では今も生き続けている。
君の歌った世界を、僕はいつまでも大切にしたいと思う。
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As We Speak
As We Speak/David Sanborn
もちろんこんなの人によって違うのだろうけど、僕にとってデビッド・サンボーンは世界最高のサックスプレーヤー。1982年の作品。
とは言え、このアルバムが最高の出来なのかと言われれば、そうでもなく、少し中途半端なところが否めない。
リズム隊はオマー・ハキムとマーカス・ミラー、ギターにマイケル・センベロ、さらにバジー・フェイトンやジョージ・デュークが参加してたりもする。これだけで垂涎ものだけれど、そういうバンドの良さがでることはなく、ただただサンボーンが"歌い"続けている。しかも、それで特別彼のプレーがフィーチャーされているわけでもなくて、なんかはっきりしない。もっと前に出てくればいいのになあと感じる。
だから逆に、ボーカルが入る<Back Again>はすごくいい。裏でボーカルとのかけ合いをするサンボーン、もはやこれは"デュエット"。これこそが彼の真価なのだと思う。
あくまでも僕の印象だが、彼のプレーはとことんメロディアスで、さらに他の人のバックで吹くときなんかは、ワンフレーズで曲を飲み込んでしまう強さをもっている。早い話、このアルバムでは全体的にそういったサンボーンの良さが出ていない曲が多い。フュージョンに徹することができていないのも一つの原因なのだろう。豪華なバックが消化不良というか、ちょっと虚しい。曲作りが問題なのかな。
それでも、デビッド・サンボーンのようなセッションミュージシャンを、ソロアルバムなんかで評価することはできないからね。最初に書いたとおり、僕の中では世界最高のサックスプレーヤー。不動の地位を保っている。
当然、来週行ってきます。
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Words And Music
Words And Music/Randy Goodrum
最近のヘビー・ローテーション。
ランディ・グッドラムは僕の知る限りこれまでに5枚のアルバムを出していて、これがその5枚目、最後の作品。1994年リリースということで比較的新しいかな。とにかく甘い。甘過ぎてとろけてしまいそう。
彼は様々なアーティストに楽曲を提供してきており、このアルバムではそれらのセルフカバーを収録。ジャーニーのスティーブ・ペリーが歌った<Foolish Heart>、マイケル・ジョンソンの<Bluer Than Blue>、TOTOの<I'll Be Over You>などなど。最後のTOTOの曲はオリジナルを高校生時代に聴いていたので、すごく懐かしい気持ちになった。これは誰がやっても、こんな感じなんだなと思ったり。曲そのものが絶対的な世界を持っているのだろう。
他にも<You Needed Me>や<Who's Holdin Donna Now>はもうこれでもかっていうぐらい甘いし、クリントン元大統領との友情を歌った<Reunion>もいい。一作目に収録されている<Savin' It Up>、<Time To Say I'm Sorry>のリテイクは、好みの問題だろうけど、打ち込みになってよりメロウになってる。
ミュージシャンはあまり目立たないのだけど、<20-20>ではジェイ・グレイドンの長いギターソロが聴ける。その他ではマイケル・ランドーの控えめなプレイが曲にいい影響を与えているかな。いずれにしろ全体的にミュージシャンよりも、曲の持つ力が圧倒している。
ランディ・グッドラムは、デビュー作こそ精巧に作り込んだものの(エリオット・シャイナーの存在が大きいのだろう)、それ以降は良いソングライターへと転身したような印象を受ける。音楽的には"one of those singers"に成り下がってしまった気がしないでもないが、人に愛される曲という点においては、こっちの方が上なのだろう。僕は両方とも好きだけどね。
廃盤になってしまったと思うけど、どこかで見かけたら手に取ってみて下さい。大切な過去の想い出に、そっと触れてくる1枚です。
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dragonfly summer
dragonfly summer/Michael Franks
アルバムタイトルからして今の季節に合いそうではないのだけど、なんとなく。かつて僕の天敵(?)であったAOR四天王の一人、マイケル・フランクス1993年の作品。
彼ほど個性の強いアーティストはいない。上手いのか下手なのかわからない、多分歌としてギリギリ成立しているような独特のボーカル、そしていついかなる時も眠りの世界へと誘う世界。聴いたらまず一発でマイケル・フランクスだとわかる。おそらくどっぷりとはまるか、もしくは拒絶するかのどちらか。そんなわけで、僕は今まで後者だった。
評価が一変したのは今年の夏。品川駅の港南口をぶらついていた時に、偶然彼の音楽が流れてきて、なんかこんなのもいいなと感じた。忙しなく動き回る人を尻目に、そんなこと全く関係ないよとでも言うかのような世界。思わずその場に立ち止まり、曲が終わるまで耳を澄ませていた。きっと僕一人だけ違う世界にいたと思う。たまらなく気持ちよかった。
それ以来、彼は"違う時の流れ"につれていってくれる存在となった。それはあらゆる状況がピタリとはまらないと、現実とのズレが生じて不快に感じるだけなのだけど、うまくいくと言葉では言い表せない格別の世界へと僕を誘う。港南口で偶然耳にしたとき、おそらくその状況が整っていたのだろう。
音楽ってただそこに絶対的なものとして存在しているわけではなくて、周りの環境、自分の精神状況などによって聞こえ方が全然違ってきてしまう。本来そういうのは、どちらかというと音楽の方が主導的にやってきたような気もするのだけど(つまり音楽を聴くと元気が出るとか、そういうこと)、このアルバムはその真逆で、自分から働きかけないと全然応えてくれない。僕が今まで何も感じられなかったのは、そこに原因があったのだと思う。何もしなければ本当につまらない、とまで言ってしまっていいのかどうかわからないが、多分なんだかよくわからない子守歌にしかならない。
僕の感性が一般人のそれとどこまで近いのか僕には知るよしもないけれど、おそらくこれは人に勧められるアルバムではない。でももし、そういう労をいとわず、自らそういう世界を求めたいと思う人がいたのなら、おそらくとびっきりの一枚になるはず。
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Spellbound
Spellbound/Joe Sample
なんだか豪華になってしまったジョー・サンプル。89年の作品。ドラムはオマー・ハキム、ギターにマイケル・ランドー、ベースはマーカス・ミラー、さらにマイケル・フランクス、アル・ジャロウ、TAKE6をボーカルとして迎えてる。
TAKE6のようなコーラスグループはまだしも、マイケル・フランクスやアル・ジャロウは完全に自分の世界を持っている人達。あれだけボーカルに特徴があると、バックがどうであろうと、全てを飲み込んでしまうのである。でもそこはさすがジョー・サンプル、彼らの良さがうまく引き立てられている。特にマイケル・フランクスなんて、僕は彼のオリジナルの方にはそこまで惹かれないのだけど、<Looking Back To Me>はすごくいい。
ジョー・サンプルは、音楽という実態のないもので、何かを具現化してしまうのではないか。そしてこの人は、どんなところにも順応できるのだろう。ピアノをソロで惹かせても、バンドの一員としてでも、ジョー・サンプルはジョー・サンプル。グランドピアノの音色がたまらなく気持ちいい。
勘の良い人ならわかると思うけど、来週、行ってきます。
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Winelight
Winelight/Grover Washington Jr.
フュージョン界の大御所サックスプレーヤー、故グローバー・ワシントンJrの代表的なアルバム。このジャケットからしてお洒落な音楽っぽいが、その期待を存分に上回る内容。いわゆるフュージョンっぽい感じはあまりないと思う。
本人はこのアルバムをあまり気に入ってないというのをどこかで目にしたことがあるのだけど、僕はすごく好きな1枚。
バックはスティーブ・ガッド(ds)にリチャード・ティー(key)、エリック・ゲイル(g)と、一瞬STUFFか?と思わせるメンバーだが、ベースはマーカス・ミラー。残念ながらゴードン・エドワーズではないのです。って別に残念でもないのだけど。ラルフ・マクドナルドがパーカッション&共同プロデュースを担当。
この作品の中でのグローバーは、フュージョンプレーヤーとしてではなくて、ジャズプレーヤーとしてサックスを吹いているような気がする。それをフュージョン界のミュージシャン達が支えているような感じ。これは僕のイメージでしかないのだけど、フュージョンってここまで自由ではないと思う。かと言って、じゃあジャズってどこまで自由なのかよと言われれば何も言えないのだけど。なんとなく。
ビル・ウィザースをボーカルに迎えた<Just the Two of Us>は有名ですね。色々なところで歌われている。全6曲、どれもジャケットのワイングラスのように、キラリと光っているところがある。キラキラしてまばゆいというのではなくて、ピンスポットがキラリ。
そんなピンスポットの煌きのような演奏が心に残ります。
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Fool's Paradise
Fool's Paradise/Randy Goodrum
いいです、これ。味のあるボーカルと、綺麗なコーラス、バックの確かな演奏。僕の好きな音楽ど真ん中。『Dane Donohoue』に少し"陽"を持ってきた感じかな。
いつか書こうと思っていたのだけど、僕の中ではスティーリー・ダンの音楽が唯一無二の存在として、頂点に君臨している。今まで何百枚というCDを聴いてきたが、彼らを越える音楽にまだ出会ったことがない。ただし頂点が必ずしも全てというわけではなくて、それにとらわれることなく、もっともっと色々な音楽を聴いていきたいと思ってる。でも一つの方向性として、指標として、スティーリー・ダンが僕にとって絶対的な存在であるということを伝えておきたい。
そんなスティーリー・ダンのエンジニアを務めていたエリオット・シャイナーが手がけたのが、このランディ・グッドラムのデビューアルバム。ドラムはジェフ・ポーカロ、ベースはニール・ジェイスンというリズム隊、それにスティーブ・カーンがギターで参加してたりする。メロディだけじゃなくて歌詞でも聴かせているところがいい。
この完成度はボビー・コールドウェルやクリストファー・クロスのデビューアルバムに匹敵するし、あるいはそれ以上かもしれない。早い話、非の打ち所がない。もし良い曲の条件というものがこの世にあったら、全てにおいて及第点をとれるんじゃないかと思う。まあ音楽ってそんな風に分析的に考えるのではなくて、その人の感性に合うかどうかだろうけどね。
とにかく、何か一つ飛び抜けたものがあるというわけではなくて、全てが高得点みたいな感じ。すごく綺麗にまとまってる。だからやっぱりアルバム1枚で聴きたい。そしてそういうアルバムほど、長く愛されることが多いのだと僕は思う。
家に帰ればこのアルバムが待っているんだと嬉しくなる(別に外でポータブルプレーヤーで聴いてもいいのだけど)。そんな1枚。今の季節にぴったり合います。
Welcome to the Fool's Paradise!
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BAND WAGON
BAND WAGON/鈴木茂
これは日本の大名盤。今聴くならば、はっぴいえんどやティンパン・アレイよりも、鈴木茂を聴くべきだろうと僕は思う。今から30年以上前、日本にもこんなすごい音楽をやってた人がいたとは驚くばかり。鈴木茂のソロ1作目。
実はこのアルバムを手に取るまでは、てっきり林立夫や細野晴臣といった当時を代表するバンドメンバーでバックを固めてくるのだろうなと思っていたのだけど、ところがどっこいドン・グルージンやリッチー・ヘイワードの名前があるではないですか。いきなりのLAレコーディング。きっと彼が日本にロックを持ってきてくれたのだろう。
歌は正直ヘタウマ、リマスタリングされてるとのことだが録音状態もそんなに良くない。でも、いつまで経っても変わらない良さというのがここにはある。松本隆の詞もその1つ。<微熱少年>なんて完全に彼の十八番なんだろうな。
こういう音楽を聴くと、日本は今まで一体何をやってきたのだろうと思ってしまう。かっこいいな、しかし。日本のロック史上最高傑作と呼ぶに相応しい1枚。
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Voices In The Rain
Voices In The Rain/Joe Sample
クルセイダースのピアノを弾いてたジョー・サンプルのソロアルバム。僕が初めて彼のピアノ(キーボード)を聴いたのは、おそらくスティーリー・ダンの『AJA』でだったと思う。それからもバックミュージシャンとして色々なところで名前を見かけていたが、この数年彼のソロ作品も好んで聴くようになってきた。
キーボード奏者だと、僕の中では故リチャード・ティー先生が絶対的な位置を占めているのだけど、次点でお気に入りなのがこのジョー・サンプル。ストレートでそつのない演奏という印象だが、きちんと曲の中での役割をわかっているというか、ひそかに曲を支えているように感じる。
このアルバムも例に漏れず、そういう演奏が随所で聴ける。ただし、これはこれで何か伝わるものがあるような気がしてくるのがいい。聴く度に何かちらつくものがある不思議な作品。おそらく何かがそこにはあるのだろう。
全7曲どれもいいけど、やはりこのアルバムも1曲切り出してどうこうというより、全体を通して聴きたい。最後の<Sonata In Solitude>が終わった後、しばしの余韻に浸り、もう一度・・・と再び頭から聴きたくなってしまうのは僕だけではないはず。きっと。
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僕の中の少年
僕の中の少年/山下達郎
数ある山下達郎のオリジナルアルバムの中で、一枚突出している作品。これと『Pocket Music』が、彼の最高傑作だと僕は評価したい。彼の世界観がつまりにつまっている。実はこのアルバムが彼の作品の中で唯一、タイトル名が日本語。このアルバムだけは日本語にしなければいけなかったのだろう。
時代がそういう流れだったのか、コンピュータによるプログラミングが使われ始めてきているが、要所はきちんとミュージシャンを起用し、うまい具合に使い分けを見せている。そしてサウンドが変わってきた分、今まで以上に歌に力を入れたのではないか。そんな風に感じる。何て言うか、詞がこれまでにはなかった命を持っている。
山下達郎は少年時代を歌うのを得意としていて、それは僕のそれと重なるところはあまりないのだけど、なぜか懐かしい気持ちにさせる。もしかしたら誰しもが心の中に持っているものなのかもしれない。実際に経験したことのある人なんてほとんどいないのだけど、皆が心の中に描いている。そんなもの。
果てしなく厳かな<蒼氓>。生というものに対する答え、この世の全て、世界の果て。このテーマをメロディにのせたのは実に見事だと思う。1つの完成形。もしこれを越える曲があるとするなら、The Beach Boysの<God Only Knows>ぐらいだろう。永遠の名曲。
そしてこのアルバムのすごいところは、この曲で終わらないところ。最後タイトル曲の<僕の中の少年>で締める。もし<蒼氓>で終わってしまっていたら、おそらくこのアルバムはこの1曲だけで終わってしまう。でもそうではなくて、彼はきちんとアルバムとして仕上げてきた。
いつまでも色褪せないものが、ここにある。
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The gentle sex
The gentle sex/角松敏生
角松敏生が綴る11編のラブソング、なんていうのがコピーだったような気がする。過去女性シンガーに提供した10曲のセルフカバー+オリジナル1曲という構成。これらの楽曲で女心が歌われているのかどうか僕には知るよしもないけれど、アルバムとしてのまとまりは素晴らしいと思う。
音楽のスタイルがちょっと古いかなという感じは否めない。ポンタさんのドラムが光る<Bless Myself>、ストリングスフィーチャーの<花瓶>をのぞいて、これが狙ってなのか、それとも当時の流行だったのかはわからないが、全体的になんか音が軽い。でも、とにかく角松のコーラスワークがいい。彼の真骨頂はここにある。
小田和正のバックグラウンドボーカルを務められるのは佐藤竹善か角松敏生ぐらいという話をどこかで聞いたことがあるのだけど(本当かどうかは知らない)、たしかに角松のコーラスはすごいと思う。僕が彼に惹かれた理由の一つでもある。一瞬で世界を作り上げ、あらゆるものを飲み込んでしまう。
そしてそれが最も顕著に出ているのが、名曲<You're My Only Shinin' Star>。かつては歌詞が恥ずかしいということでセルフカバーでは英語で歌っていたのだけど、ようやく日本語で歌える年齢になったらしい。
で、こんなこと言ってはなんだが、いずれの曲もオリジナルの歌手より絶対うまい。プロデューサーとしてはあるまじき行為のような気もする…(コーラスで参加した時は完全に曲を食ってるし)。
ともあれ高校生の時からもう何度繰り返して聴いたかわからないアルバム。曲順がいいのか、全体的な流れというか雰囲気が素晴らしい。最後に「男」に戻るというのも何とも。
ちなみにこのアルバムをひっさげたツアーには千秋楽も含めて3回行った。<MERCURY LAMP>の感動は忘れられない。このコンサートの帰りに、そういえば18の誕生日を迎えたりしたんだっけな。
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One Eighty
One Eighty/Ambrosia
プログレバンドだったアンブロージアが一転、AOR路線に。アルバム全体を通してAORというか、AORってこういう音楽のことを言うんだよなと感じる1枚。それが良いか悪いか、好きか嫌いかは別として。
僕がこだわる"AOR(Adult Oriented Rock)"とは何ぞやという話なのだけど、この辺のジャンルに詳しい音楽ライターの金澤寿和さん曰く「今の時代でAORと呼べるのはノラ・ジョーンズとジャック・ジョンソンぐらい」とのこと。僕もすごく同感。なんとなくつかみにくいかもしれないが、言葉の定義じゃなくて、音楽による定義でもなくて、全体的なバランス・世界なのではないかと僕は思う。ノラ・ジョーンズなんて、AORとしか言いようがない。まあジャンルなんて誰がどう決めたっていいと思うのだけど。
アルバムの話。どうもアップテンポの曲はロック色が強くなりすぎで、しかもこう言っては何だけどバンドメンバーの質がそこまで高くないのであまり良いところはない。スティーブ・ルカサーやジェフ・ポーカロ、デビッド・ハンゲイトといったスーパープレイヤー達のいたTOTOみたいにはなれなかったんだろうな。でも、ちょっとミディアムテンポになるといい具合にまとまり出す。スティーリー・ダンをちらつかせるボーカル具合が何とも(音楽そのものではない)。
<Biggest Par Of Me>は名曲。デビッド・パックの綺麗なボーカルがいい。彼はバンドじゃなくてソロでやるべき・・・と思ったらやってますね。そしてサックスのアーニー・ワッツが聴かせてくれます。
Ambrosiaはこの1曲だけ切り出され、コンピレーションアルバムで使われてそうな気がするのだけど(予想通りありました)、やっぱりそれはダメなんだよなと思う。アルバム1枚で世界を作るべきだし、そういう音楽を僕は愛してきたし、そしてこれからも。
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ballad collection
ballad collection/Boyz II Men
たまにはこんなのも。おそらく日本ではマライア・キャリーとのデュエットで有名になったボーイズIIメン。ベストアルバム嫌いを公言している僕だけど、Babyface提供の2曲<End Of The Road>と<I'll Make Love To You>をオリジナルで聴きたいという理由で購入した。
こう言っては何だけれど、典型的なアメリカヒット型グループ・音楽かなとも思う。別にそれが良いとか悪いとか言ってるのではなくて、これならアメリカで受け入れられそうだなというのを何となく感じる。事実、マライア・キャリーとのデュエット曲<One Sweet Day>は全米16週チャート1位、その他にも上述の2曲はそれぞれ13週、14週全米でナンバーワンだったとか(帯より)。
歌、ずば抜けてうまいです。コーラスのハーモニーがとんでもなく綺麗です。こういうコーラスグループはうまくやらないと単調になりがちなのだけど、プロデューサー陣が優秀なのか、1曲1曲が命を持ってる。でも、やはりベストアルバムということもあって、1つ1つが強すぎて、頭から全部聴くと疲れてしまう。ものごとには順序・強弱・押し引きというものがあって、それは1枚のアルバムにも言えることなのだろう。
1曲だけ取りあげるとしたら、あえてBabyfaceプロデュース曲ではなく、<So Amazing>。これは美しすぎる。僕の中であらゆることが終わり続けていたとき、自然とこの歌が頭の中を流れていた。ただただ苦しみから解放されることを願っていたのかもしれない。
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Welcome To My Life
Welcome To My Life/村上"ポンタ"秀一
70年代からもう30年以上頂点を突っ走ってきた、日本を、いや世界を代表するドラマー、村上"ポンタ"秀一のデビュー25周年記念アルバム。日本のミュージックシーンは彼なしには語れない。本当に。
彼の凄さは改めて語るまでもないのだろうけど、まあ日本のあらゆる音楽に絡んできた。それこそ五輪真弓から尾崎豊、ドリカムまで。自身のバンド"Ponta Box"を始めジャズ方面も豊富だし、フュージョン系も渡辺香津美の"KYLYN"に参加したりして、何でも器用にこなす。「ビートルズが音楽をダメにした」なんていう問題発言もしちゃう一方でフジテレビの音楽番組で叩いたりもしていて、凡人にはよくわからないところもあるが、とにかく凄すぎるドラマーなのである。
30年以上、日本音楽界のリズムをキープしてきた。それが村上"ポンタ"秀一。
この25周年記念アルバムは、まあ企画アルバムなのでお祭り的な作品なのだけど、それでも実に素晴らしい。いきなりジャコ・パストリアスのメロディーで幕を開けたと思ったら、NOKKOの<I Want You Back>、近藤房之助の<Travelling>、山下達郎の<I've Got You Under My Skin>と続く。その後もアッコちゃんの<青い山脈>(なぜ・・・?)、井上陽水のビートルズ、ター坊のジェーン・バーキンと、たまらない内容。
歌ものでは山本潤子の<It Might As Well Stay Monday From Now On>が一番好きかな。ハイファイ・セット好きなんです、実は。他にもEPO、沢田研二、忌野清志郎、吉田美奈子、泉谷しげる(!)、桑田佳祐と、そうそうたるラインアップ。
圧巻は最後の<Welcome To My Rhythm>。これぞドラマーの祭典。手数の多い菅沼孝三、"男気"村石雅行、さらには森高千里まで参加。個人的にポストポンタさんになりつつあると思ってる沼澤尚は、口太鼓のみの参加だけど・・・。<嵐を呼ぶ男>で締めたのは彼なりのシャレなのだろう。
とにかく村上"ポンタ"秀一の愛した音楽、そして彼を愛したミュージシャン達が集結して作られた1枚。
ホンモノの凄さ、とくとご堪能あれ。(帯より)
ちなみに30周年記念アルバムも出たのだけど、これはひどかった…。
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Black Rose
Black Rose/John David Souther
埋もれさせてしまうには惜しすぎるアーティストの一人、ジョン・デビッド・サウザー。1976年の作品。このアルバムにはバラエティに富んだ曲が収録されているのだけど、それでも最初から最後まで通して聴きたい。なんとなくだが、月夜の世界に連れていってくれる。銀色の月明かりの下に。
彼は色々なアーティストのバックコーラスをつとめていることもあって、声は綺麗な部類に入るかな。少しハスキーだけど、高音はすごく綺麗です。
とにかく特筆すべきは独特の世界。積極的にストリングスを使っているので、やや厳かな雰囲気がある。70年代中盤というと、僕の中ではホール&オーツやイーグルスといったイメージが強いのだけど、彼らの音楽と比較するとこのアルバムは当時際立っていたのではないかと思う。
1曲目の<Banging My Head Against The Moon>から最後の<Black Rose>まで、とにかく通して聴くとその凄さがわかります。
一つ問題があるとしたらこの裏ジャケ。これはどうかと思う・・・。
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Boz Scaggs Greatest Hits Live
Boz Scaggs Greatest Hits Live
サンフランシスコで行われたライブを収録したアルバム。タイトル通りヒット曲が中心の構成になっているのだけど、おそらく1公演まるまるアルバムにしたのだと思う。最初から最後まで一貫性があっていいし、ちょっと手が加わっているような気もするが、それもいい方向にいってる。
やはり年には勝てないのか、オリジナルよりもキーが低く、ちょっと厳しいのかなと感じさせるところもいくつか。それでも素晴らしいバックの演奏により、彼の味が引き立てられている。声が出なくなってきたとしても、ボズ・スキャッグスには何たって今まで積み重ねてきたものがある。ライブというのはこういうものだというお手本みたいな感じの1枚。
初っぱなの<Lowdown>からいきなり炸裂、なんなんだあのドラムは。続く<Slow Dancer>ではしっとりと歌い上げ、ボビー・コールドウェル提供の<Heart of Mine>も綺麗に。<Harbor Lights>や<Jojo>で聴けるソロも素晴らしい。<Georgia>はファルセットがギリギリな感じだけれど、ライブならではの盛り上がりを見せている。
そしてやはり最後の<We're All Alone>。ボズ・スキャッグスは決してこの1曲のみの人ではないけれど、しかしこの曲抜きにしては語れないのも事実。ピアノのやさしい音色が泣かせます。最高のバラード。
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Minute By Minute
Minute By Minute/The Doobie Brothers
ドゥービー・ブラザースと言えば、誰もが耳にしたことのある<Long Train Runnin'>が有名だと思うけど、アルバムの代表作としてはこの1枚。ブルーアイドソウルシンガーのマイケル・マクドナルドの加入により、ガラリと曲調が変わったのは、あらゆる意味でこのグループに大きな影響を与えた。
このアルバムは何と言っても出だしの3曲。<Here To Love You>、<What A Fool Believes>、<Minute By Minute>の展開が素晴らしすぎる。これを聴くだけでもこのアルバムを買う価値はあると思う。ノリノリです。この3曲の後はパトリック・シモンズがリードボーカルをとる曲もあったりして、マイケル・マクドナルド一人バンドじゃないよということを見せようとするのだけど、どうしても彼の圧倒的な存在感が際だってしまう。幸か不幸か。
そんな感じで中盤はちょっとたるみ気味だが、最後キャロル・ベイヤー・セイガーとの共作、<How Do The Fools Survive?>できっちりと締めてくる。ただし"マイケル・マクドナルドバンド"として。
マイケル・マクドナルドの加入が、ドゥービー・ブラザースにとって良かったことなのかそうでないのかは僕にはわからない。ただ1つ間違いないのは、このアルバムでグラミー賞を4部門で受賞してその名を世界に知らしめ、そして今もなお<What A Fool Believes>を始めとする収録曲が愛され続けているということ。どうだろうね。
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CARELESS
CARELESS/Stephen Bishop
ステファン・ビショップのデビューアルバム。しかしとても1作目とは思えない完成度。本当に素晴らしいアルバムだと思う。甘くささやくような歌声がやさしすぎ。ロマンチックという言葉がぴったり。
バックがやたら豪華で、アート・ガーファンクル、チャカ・カーン、ジョン・ゲーリン、ジェイ・グレイドン、リー・リトナー、ラリー・カールトン、そしてエリック・クラプトンも参加。クラプトンが誰かの後ろで、スタジオミュージシャンとしてギターを弾くだなんて僕はこのアルバムしかしらない。
でも、もはやそんなことはどうでも良くて、僕はこの美しすぎる楽曲を聴いてため息をつくばかり。色々なアーティストにカバーされた<On and On>を始め、サビの展開が秀逸な<Never Letting Go>、チャカ・カーンとデュエットの<Little Italy>、ピアノのメロディーが美しい<One More Night>、クラプトンのソロが光る<Save It For A Rainy Day>・・・全部いいです。1曲目から最後まで完璧。なんかちょっと哀愁を感じて寂しいけれどね。
1人で静かにじっくりと聴きたい、大切にしていきたい1枚。
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THE PAST & THEN
THE PAST & THEN/角松敏生
これまで愛した曲×これからも愛する曲=ずっと愛せる曲
前作の『Fankacoustics』及びツアーでやった"Elastic side"が気に入ったらしく、新曲とリアレンジした過去の曲で構成されるアルバムは全編アコースティック。
正直に言えばちょっと物足りないのだけど、彼はリアルタイムで生きるアーティストとして、新たなスタイルを探し続けているのだろう。きっといつか、何か変わらないものが見つかるまで。
前々作『Summer 4 Rhythm』ではバンドスタイルの原点回帰みたいなことをやり、そして今回アコースティック。何となく企画色が強いのが否めないのだが、それでもきちんとしたアルバムに仕上げてくるところがさすがだと思う。リアレンジの曲も、なんかマニアックで面白い。聞き慣れた曲がこんなにも印象が変わってしまうのかと感じたのもあるし、やっぱり変わらないんだなと感じたものもあった。青木智人のベースに、梶原順のギターという組み合わせがたまらなくいい。
新曲では角松レギュラーバンドの他に森俊之を起用し、キーボード奏者3人なんていう前代未聞のことを。楽しいことやってますね、角松さん。ただ<リカー!!>や<氷の妖精>は、詞がメロディにのってないのが気になる。もしかしたら作曲方法が変わったのかもしれない。それともアコースティックの特色なのだろうか。でも<RAIN MAN>や<I'm Lovin' You>なんかはすごく好き。
そして歌詞が新たな方向性に向かっていることは明らかで、好き嫌いはわかれるのかもしれないが、僕は受け入れていきたい。最近の自分の心境と共通するところがある…。角松が年をとれば僕だって年をとる。もう7年以上の付き合いだ。僕が彼の境地に達するのはまだ早すぎると思うのだけど。
僕にできることは、決して飾らず、等身大の自分で彼の音楽と対面し、そして愛していくことなのだろう。でもアコースティックはほどほどに、たまにはバリバリのAORをやって欲しい。日本でAORをやれるアーティストは本当に数えるほどしかいないのだから。
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coronet
coronet/上田まり
上田まりの最初にして最後のフルアルバム。ようやく買うことができた。これまでに2枚アルバムを出しているものの、収録曲数を考えれば、どれもミニアルバムといった方が正確だろう。そして最後というのは、これをもって音楽活動を休止したから。
このアルバム、いくつか惹かれる曲はあるが、あとはバラバラ。彼女の魅力は何と言ってもぶっきらぼうな、しかし伸びのある歌声。何か訴えるものがあって、僕の心の奥底まで届く。でもサウンドのアレンジでそれを殺してしまっている部分が目立つ。変にいじくり回さなければ良かったのに…。前作『empty page』の方がはるかに上。
なんかね、悔しいのだけど、レコード会社に潰されてしまったような印象が否めない。まだ音楽のスタイルも確立されていないというのに、「上」が出過ぎたのだろう。きちんとしたプロデューサーがついて、育ててもらえば、もしかしたら彼女はまだ歌い続けていたかもしれない。今もこの歌声を聴けたのかもしれない。もう二度と聴けないのかと考えると、すごく寂しい。
何もない日の雨とあなたに会う日の雨
どちらが憂鬱でどちらがましですか
(あなたに会う日の雨)
こんな詞、彼女にしか書けないだろう。ちょっと出会うのが遅すぎたね。
本当のことを言うと、僕は彼女の歌声を愛していたのだと思う。
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Another Page
Another Page/Christopher Cross
僕は声が綺麗な男性ボーカルを好んで聴く。どこまでもやさしくて甘い、素朴な歌声、クリストファー・クロスはその代表格だろう。そんな彼のセカンドアルバム。マイケル・オマーティアンがプロデュースということで、AOR路線ではあるものの、この音楽は彼にしかできないだろうな。
音楽というのは、おそらく誰にとっても、何らかの思い出・記憶と結びついているのだと思う。だからいつだってその曲を耳にすれば、当時の記憶がよみがえってくるはずだ。
クリストファー・クロスの曲は僕の胸をしめつける。切ない気持ちになる。まあ、そのような気持ちの時に聴いてきた。そういうわけであまり頻繁に聴くことはできないのだけれど、秋という季節がそれを許してくれるだろう。心の中の何かをつかめなくて。何かを伝えたいのだけど伝えることはできなくて。そのことが凄くもどかしくて。
<What Am I Supposed to Believe>で聴けるアーニー・ワッツのサックスソロがたまらない。短いフレーズなのに、何でこんなに気持ちを裸にできるのだろう。目を閉じて、大切な誰かのことを思って。気付いたらやさしさに溢れていた。そんな1枚。
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SONORITE
SONORITE/山下達郎
7年ぶりのオリジナルアルバム。これだけ時間が経ってしまうと、その分期待が高まってしまうのは当然なわけで・・・。じゃあこのアルバムがその期待に応えてくれたかというと、正直、僕はノーと言わざるを得ない。残念ながら。
もう山下達郎は「アルバム」を作るつもりはないのだろうか。この新アルバム、オリジナルアルバムというよりはシングル集みたいな色が強く、ほとんど『Rarities』続編みたいな感じになっている(そういうコンセプトなのかもしれないが)。これはこれで成立するのかもしれないけど、僕はそういうアルバムがあまり好きじゃない。
アルバム1枚が1つの世界を作り出す、それは芸術と言っていいと思う。それに対して、寄せ集めみたいなアルバムは、音楽であることに代わりはないものの、娯楽レベルの域を出ない。
楽曲は悪くないのだけどね。<LOVE GOES ON>の対極にあるような<太陽のえくぼ>はついつい口ずさんでしまう爽やかなナンバー。僕の大好きな<星に願いを>も収録されている。
1つ1つの曲のレベルが高いだけに、本当に残念。なぜまとめきれなかったのか。もう『Pocket Music』、『BIG WAVE』、『僕の中の少年』みたいなアルバムは聞けないのだろうか。お願いだから、あと1枚でいいから、本当の「アルバム」を出して欲しい。
曲作りの話。今回このアルバムでは、ハードディスクレコーディングであることを意識した曲作りになっているという。
初めて聴いたとき、たしかにちょっと違和感を感じた。イヤフォンで聞くと、音の寄せ集めで曲が構成されているような印象を受ける。つまりそれぞれのパートが独立していて、例えばボーカルはメロディの上に"のっている"ように聞こえる。ただし、ステレオのスピーカーで聞く限りでは、それはほとんどわからない。おそらくだけど、この辺はきちんと音場を考えられているのではないかと思う。
しかしレコーディング技術の変化(僕は進化ではないと思う)により、楽曲まで変えなければならないとは。時代の流れというよりは、(多分)SONYさんに原因があるのだろうな…。
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FOR YOU
FOR YOU/山下達郎
夏だ、海だ、タツローだ!
世間じゃ<クリスマス・イヴ>のイメージが強すぎるのだけど、実は山下達郎は夏の人。「あの夏、街で海で山で、この音が流れない日はなかった!」とのこと。前作でブレイクした後に、よくここまで安定した作品を出せたよなと思う。
何が理由なのかはよくわからないが、このアルバムあたりから「山下達郎らしさ」みたいな共通した印象をどのアルバムでも受けるようになる。ここまでくると、去年出たアルバムだと言われても誰も疑わないだろう。多分。
個人的にこのアルバムには結構思い入れがあって、高校生の時は<LOVELAND, ISLAND>と<SPARKLE>ばっかり聴いてた。これらの曲が僕を海へと誘ったのかもしれない…。あと、もうほとんど自分で詞を書くようになったものの、<FUTARI>や<LOVE TALKIN'>は吉田美奈子作詞。年を重ねるごとにこの詞の良さがわかってきた。なんだかとろけてしまいそうだけど。
そして説明不要の<YOUR EYES>。彼の曲で歌詞を全部覚えたのはこの曲が初めてだと思う。覚えたというか何度も聴きすぎて覚えてしまった。日本語とか英語とか、音楽にはそんなこと関係ないんだなと思った。
ボーナストラックの<甘く危険な香り>と<EVERY NIGHT>もいいです。1つ1つの曲がいいだけに、それをまとめ上げているアルバムそのものが秀作として評価していいと思う。
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RIDE ON TIME
RIDE ON TIME/山下達郎
山下達郎の(多分)出世作にして代表作。1980年発売。これが売れたから、今の山下達郎がいると言っても過言ではないのだろう。逆にこれがなかったら・・・売れるアルバムが世に出て良かった。良かった。
まず特筆すべきはミュージシャン。このアルバムから青山純と伊藤広規というリズム隊が固定される。その後他のパートは色々とミュージシャンを起用しているのだけど、この2人だけはほとんど変えてない。凄い。
タイトル曲の<RIDE ON TIME>は某ドラマの主題歌で流れまくっていたので、僕らの世代でも知らない人はいないぐらい有名になってしまった。でもそこまで持ち上げられるべき曲でもないと思うのだけど、どうだろう。シングルヒットしたというのも正直よくわからない。
それよりも、吉田美奈子の詞が光る<いつか>、<DAY DREAM>、<RAINY DAY>なんかの方が個人的には好き。やさしさに溢れてる。こういう詞は彼女にしか書けないだろうな。あとは前にも取りあげたけど、ハインラインの小説を元にした<夏への扉>。
そして山下達郎がシュガーベイブへの思いを綴った<MY SUGAR BABE>。僕はシュガーベイブが大好きなのだけど(山下達郎よりも好きかも)、如何せんアルバムを1枚しか残してない。大貫妙子もいたこの伝説のバンド、音楽の方向性の違いから分裂したのかと思いきや、どうやらそうでもなさそう。調べたらわかるのだろうけど、多分どろどろしてるので知らないままで構わないと思ってる。「目を閉じればそこにMy Sugar Babe」と、胸に秘めていた方がいいのかもしれない。
もし山下達郎をきちんと聴いたことがない人にアルバムを1枚勧めるとしたら、やっぱりこれになってしまうかな。誰もが認める名アルバム。
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MOONGLOW
MOONGLOW/山下達郎
1979年の作品、5作目。地味なアルバム。でもいい。前作よりもずっとまとまりがでており、最初から最後まで安心して聴ける。そして音楽そのものに加えて、歌詞でも聴かせる曲作りになってきた気がする。
ミュージシャンは安定してきたものの、バラードではポンタ+岡沢、その他は上原裕+田中章弘と使い分けてる。が、<RAINY WALK>では高橋ユキヒロ+細野弘臣というコンビだったりと面白い。
ちょっと前に木村拓哉がエステのCMで口ずさんでた<愛を描いて-LET'S KISS THE SUN->もこのアルバムに収録。ちょっとこれだけ外れてるかなと思うが、いつだってこの曲を聴いて夏が始まっていた。
<TOUCH ME LIGHTLY>の初っぱなの出だしにビビります。美しすぎる。
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GO AHEAD!
GO AHEAD!/山下達郎
4作目。佳曲がつまっているのに、忘れられがちの1枚。というのも、どうもまとまりに欠いているような気がしてならない。ミュージシャンも安定してないし、曲調もバラバラ。1つの転換期だったのだろうかと思わせる作品。
とは言え、最初に述べたとおり佳曲がつまりにつまってる。正直に言えば、僕は最初<MONDAY BLUE>が聴きたくてこのアルバムを買った。佐藤博のピアノが絶品のバラード。その他にも<LET'S DANCE BABY>や、これまた名バラードの<潮騒>、映画主題歌にもなった<2000トンの雨>なんかが収められている。
でもやっぱりまとまりがない…。今はCDでピッピッと次の曲にとばせる時代だけど、当時はレコードだから、皆A面・B面と最初から最後まで聴いたはず。より強調されてしまっていたに違いない。皮肉と言えば皮肉だよなと思う。
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IT'S A POPPIN' TIME
IT'S A POPPIN' TIME/山下達郎
3作目はライブアルバム。当時六本木ピット・インと上のソニースタジオは繋がっていて、そのままライブレコーディングができたとのこと。その割には、1曲目はスタジオレコーディングの曲と、意味不明なのだけど…。
ミュージシャンはポンタさんと岡沢章のリズム隊、ギターが松木恒秀にキーボードが坂本龍一、さらにコーラスの1人に吉田美奈子という今ではあり得ない豪華すぎるメンバー。坂本龍一もいい味を出しているだけに、その後セッションミュージシャンから手を引いてしまったのはもったいない限り。誰かの後ろでやるというのが嫌だったのだろうか。
きっとあえて"歌モノ"は避けたのだろう。1978年のことなんて何もわからないが、歌謡曲ショーみたいなのは敬遠される時代だったのかもしれない。自身のアルバムから持ってきた曲は少なく、書き下ろしの新曲やカバー曲が多い。あえてメジャーに出ることを嫌っているような印象を受ける。1曲が15分以上とか、あり得ないでしょ。
山下達郎のベストライブアルバム(JOYは良いところ取りなのでずるいので)。グルーヴ感に加えて、ドライブ感も存分に感じられる。
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SPACY
SPACY/山下達郎
1977年発売のセカンドアルバム。ここで早くも今に通じるクォリティを確立する。去年発売したアルバムと言ってもわからない、というのは言い過ぎかもしれないけど、とにかくここで既に飽和点に達していると思う。サウンド的なアプローチはそれなりに変遷があるけど、ポップスとしてはここが多分リミットに近い。
海外レコーディングだった前作サーカスタウンとは打って変わり、このアルバムでは日本人ミュージシャンを起用。ドラムに村上"ポンタ"秀一、ベース細野晴臣、ギター松木恒秀、キーボード佐藤博の4人が中心。あとは坂本龍一や吉田美奈子も参加してたりと、そうそうたるメンバー。
やっぱり1曲目の<LOVE SPACE>が最高かな。この16ビートは片手だという話をどこかで聴いたことがあるのだけど、本当かどうかは知りません。本当だったら後のライブバージョンなんかではテンポが上がっているので凄いの一言…。
ポンタさんはドラマーとして今でも日本の頂点を突っ走っているけど、この頃から凄かったということにただただ驚くばかり。<DANCER>とか、どうしたらこんなにドラムで歌えるのかと。歌うっていうか、前に出てきすぎというか。曲を食ってしまってる。
しつこいようだけど音楽的なレベルが2作目にしては高すぎる。もうここで完成されたと言ってもいいだろう。だから、その後彼に対しては「自己模倣」といった批判がされることもあるのだけど、それも仕方ないだろうと思う。2回目の試験で98点を取ってしまったら、次に100点をとっても他の人にその差はわからないし、そしてその98点を続けることの凄さもわからない。
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CIRCUS TOWN
CIRCUS TOWN/山下達郎
シュガーベイブ解散、ナイアガラトライアングルを経て、ついにソロアルバム。1976年の作品。彼の原点がつまっていて、今でもなお愛されている曲だらけ。なんでデビュー作でここまでできるの?というのが、初めて僕が耳にしたときの感想。
このクオリティの高さは賞賛に値すると思う。たしかにその後の彼の作品と比べて、演奏は少しちぐはぐなところがあるし(NYとLA半々でレコーディングをやったとか)、アレンジもなんとなく"青さ"が目立つ。30年近く前の音楽なのだから仕方のないことだけど、そもそもそうやって今の音楽と比べられるところが凄い。そしてポップスとしては、おそらく今よりも上だと思う。なんていうか、この音楽には今は失われてしまった自由がある。
1曲目の<CIRCUS TOWN>からそうだけど、全体的に曲が凄くシンプル。歌詞の「文字数」が少なくて、言葉であまり多くのことを伝えようとしていない。幅を持たせたかったのか、あるいは、この頃はまだくどくどと歌うのが流行っていなかったのか。
一番好きな曲は最後の<夏の陽>。彼のバラード最高傑作だと思う。単純な固定パターンの上に、ちょっとヘタウマの、でも味のあるコーラス。山下達郎のファルセットが最高。炎天下の夏に、からっとした風が吹く。
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BACK HOME
BACK HOME/Eric Clapton
4年ぶりの新作。まだそんなに聴いてないのでファーストインプレッションを簡単に。とりあえず、このアルバムはヘッドフォンではなく、スピーカーで(ちょっと大きめのボリュームで)聴いた方がいいと思う。いつも思うのだけど、この音の広がりはさすが。エンジニアがいい仕事をしているのだろうな。
全体的な曲調としては、前作『Reptile』で見せたブルースに近いスタイルをさらに固めてきた感じ。ちょっとポップ色が強いかな。でもまとまりのある、いいアルバムに仕上げてきたと思う。日本の某アイドルグループなんかに歌われてしまった<Say What You Will>も、全く違和感なく収まってる。これが本物の音楽。
クラプトンはもう完全に地に足をつけ、自分の好きな音楽だけをやっているという感じがする。多分こういうのが楽しいのだろう。僕としてはもっともっと彼の音楽を聴きたいのだけど、もしかしたらそう長くはないのかもしれない。ちょっと「終わり」が見え隠れしている。1曲1曲を大事に、大切にしていかなければいけない。
そして1ページ目にあるクラプトンの言葉を読み、ますます彼のことを好きになってしまった。古き良きを大事にし、先代へのリスペクトを持ち、あくまでも自分の好きな音楽を愛し続ける姿勢は、人として尊敬する。
それにしてもスティーブ・ガッドのドラムが気持ち良すぎ。バスドラ、スネア、この1つ1つの音の豊潤さは、他の誰にも出せないだろう。ネイザン・イーストとガッドのリズム隊はパーフェクトとしか言いようがない。
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the wings of time
the wings of time/沼澤尚
Our love doesn't end here. It lives forever on the wings of time.
1992年8月5日、不世出のドラマがーがこの世を去った。Jeffrey Thomas Porcaro. 享年38歳、あまりにも早すぎる死。上記の言葉は、彼の墓に刻まれている文字だという。
ジェフ・ポーカロは僕が一番好きなドラマー。スティーブ・ガッドよりも、バーナード・パーディーよりも好き。彼にしか出せないグルーヴというのは、まだきっと僕には理解できていないと思うのだけど、ポーカロのドラムは僕を安心させてくる。それだけは自信を持って言える。
生涯で一体いくつのセッションを行い、そのうちのいくつが世に残っているのだろうか。数百?数千?どれだけの時間がかかっても、どれだけのお金がかかっても、僕はその一曲一曲を、大切に聴いていこうと思う。
このアルバムは、そのポーカロを敬愛する沼澤尚のソロ作。故大村憲司に捧げられているが、間違いなくポーカロのことも意識されている。僕が知る限り、この人ほど楽しそうにドラムを叩く人はいない。ポーカロは一体どんな表情で叩いていたのかな。そして何を思い、何を考えて。
ポーカロが僕らに残してくれたものはあまりにも大きい。僕らは決してその"愛"を忘れてはならない。時の翼と共に、それは時空をも超えていつまでも。ずっと、いつまでも。永遠に。
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PIANIZMIX
PIANIZMIX/塩谷哲
あの伝説のサルサバンド、オルケスタ・デ・ラ・ルスのメンバーだった塩谷哲のソロアルバム。6枚目かな。この人はベートーベンの"再構築"に挑むなど、どこか実験的な音楽を好むところがある。とは言えアプローチとしてはクラシックよりではなくフュージョン系。正当なフュージョンピアニストという印象。
塩谷哲は、芸大音楽部で作曲を専攻していた(確か中退)こともあって、曲作りにこだわりを持っているのだと思う。その独特の感性で作られた曲は、先ほども述べたとおり実験的な意味合いの強いものが多いのだけど、何というか、常に先端(最先端ではない)であり続けようという意思が伝わってくる。ときにそれは、僕の理解を越えたものであるのだけれど。
その一方でクラシック(慣れ親しんだスタイル)な曲の演奏を聴くと、どこか頭一つ突出していることが手に取るようにわかり、そのとき初めてこの人の才能を知ることができる。言葉にはしづらいが、あらゆる点において1つ先を行っているように感じる。感動と言うよりは驚き。
アルバム自体は、テーマが「PIANO GENOMを組み替える」とのことで、森俊之の参加・ミックスによりファンク色がかなり強くなってる。たしかにぶっ飛んでる音楽なんだけど、ちょっとやりすぎのような気も。
優等生がそのまま音楽やっても面白くないから、ちょっと異色を混ぜてみました。ちょっと混ざり過ぎちゃった気もするけど、一応きちっとしたところもあるよ。みたいな感じかな。
まあそういうのも全部含めてフュージョン(融合)なわけで。日本にもこういうアーティストがいるというのは凄く喜ばしいことだと思う。
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ロンリー・フリーウェイ
MAROONED/LARRY LEE
きたきたきたー!この夏の大ヒットアルバム(自分の中で)!!山下達郎のアルバムでおなじみ鈴木英人さんのこのジャケットもたまらない。ウエストコーストの風が一気に心の中を駆け抜けていく。やっぱり夏はこうでないと。
1982年の作品だけど、先日デジタルリマスタリングされ紙ジャケで再発。完全限定生産らしい。
素敵な夏は始まった瞬間から終わる運命にあって、きっと僕らはその焦燥感みたいなのを常に感じ続けている。この一瞬の永遠を願いながらも、心のどこかでは終わりを知っている。冗談みたいに鮮やかな青空に、そんなあせる気持ちを溶かしていって。
聞こえてくるサウンドはとにかく爽やか。シンプルなリズムに透明感溢れる歌声。夏が終われば誰も覚えてないかもしれないけど、夏が近づくと体が求めてしまう。別にどっちでもいいけど、君が耳を傾けてくれるかもしれないから一生懸命歌ってみるよ、みたいな感じかな。
バラードではデビッド・サンボーンのとびっきりのソロが聴ける。彼のアルトサックスは本当に味がある。それはまるで打ち寄せる波のようであり、恋人同士のもどかしいやりとりのようであり、過ぎ去っていった夏の日々のようでもあり。
そして何と言っても、甘く軽やかな<DON'T TALK>。このメロディだけでハッピーになる。「もう喋らないで 言葉だけじゃ気持ちは十分に伝わらないからさ」。その通り。
抱えているものを全て放り出して、海岸線をドライブしたくなる1枚。夏が終わることを今から嘆いたってしょうがないんだからさ、海でも見に行こう。
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AGHARTA
AGHARTA
夏になると聴きたくなるバンド。それがアガルタ!有名な<WAになって踊ろう>が長野オリンピックで演奏されたのは記憶に新しい。単純なメロディとリズムのノリだけで、僕らを"地底"の楽園へと連れていってくれる。
一応補足しておくと、角松敏生の企画バンド(?)です。
音楽的には非常に高度なことをやってるのではないかと思う。今聴いても全然色あせてない。発売されてからもう9年半経ってるなんて嘘みたいである。ちょっと大きなボリュームで流して、いざアガルタワールドに。難しいことは何もいらないよ!
いきなり「愛してるんだ 君だけなんだ 他の人じゃダメだよ」なんていうストレートすぎる歌詞が出てくる<BODHI SAMBA>で幕を明け、続いてサビは「ラララ・・」しか言わない<ボーケン天国>。と思ったらインストの<AGHARTAへの道>。ちょっと一休みの<朝返り>、<マダム>。はっぴいえんどのカバーかと思ったら、本当にあの歌だった<花いちもんめ>。そしてまたインストの<ケツァルコアトルの夜>。夜の深みへと連れて行ってくれる。最初に聴いたときは、このアルバムは何なんだと思った。
そして僕の大好きな<総武TRAIN>。たしか中央線に乗っているときに、総武線がゆっくり走っているのを見て書いた曲だとか。とにかく歌詞がいい。凄くいい。JRさんには是非とも使って頂きたい。
ちょっとお遊びの<ザ・バンドマン>、再びアガルタワールド復活<NIGHT STRANGER>。このグルーヴはすさまじい。続いてイヴァン・リンスの曲のカバー<飛行機雲>。「あの日も今も 同じ空見上げてた」という歌詞がいい。そしてなぜアガルタでやったのかはわからないけど、Rajieのカバー<エアポート>。絶品のバラード。ちょっと思い入れのある曲なのだけど、その話はまたいつか。そして最後<ボーケン天国 EXTENDED MIX>。ズンズンきます。
Revenge Of AGHARTA/AGHARTA
ちなみに<WAになって踊ろう>が収録されているのはこっち。セールス的によろしくなかったので、再評価してもらおうという意味でリベンジという名前をつけたんだっけな。それでちょっとポップス路線が強くなってしまって、それほど好きじゃない。しかもやっぱり売れなかった…。
アガルタのライブは1回しか行けなかったけど、本当に楽しかった。ちょうどバイト先のごたごたに巻き込まれていたときで、何もかもを忘れたいと思って聴きにいった。もう6年近く前の話だけど、凄く印象に残ってる。途中から何もかもが小さくなっていくのを感じ、めちゃくちゃ気持ちよかった。
残念なことにアガルタは地底に帰ってしまったが(地底人らしい)、前の角松20周年記念ライブでは駆けつけてくれた。いつか全編AGHARTAでライブをやってくれないかな。
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Bill LaBounty
Bill LaBounty
引き続きビル・ラバウンティ。1982年の作品で、彼は1991年にもアルバムを発表しているのだけど、事実上これが最後と言ってもいいだろう。時代も見事AOR全盛期、極上の完成度に仕上げられている。
あの有名なラス・タイトルマンがプロデュース。その影響もあってか、とにかく参加メンバーが豪華。ジェフ・ポーカロにスティーブ・ガッド、チャック・レイニー、ウィリー・ウィークス、ディーン・パークス、スティーブ・ルカサー、デビッド・サンボーン。コーラスが凄くてジェイムス・テイラー、ステファン・ビショップ、パティ・オースティン、ジェニファー・ウォーンズ。
でもやっぱり、彼らが前面に出てきてボーカルが食われてしまうなんてことはなくて、きちんと自分の世界を持ち続けてる。どんな曲でも、ビル・ラバウンティはビル・ラバウンティ。素晴らしい。
1曲目の<Livin' It Up>、これはAORを代表する名曲。曲自体は爽やかな感じなのだけど、最後のデビッド・サンボーンのソロがハンパじゃなく凄い。このアルトサックスの出だしは絶品すぎる。完全に世界を包み込むし、いつまでも耳に残る。僕が知っている中で最高のソロかもしれない。
バラードの<Slow Fade>でもやっぱりデビッド・サンボーンが良すぎ。本当にさりげない演奏なんだけど、なんでこんなに味があるのだろうな。やっぱりサンボーンはソロよりも誰かのバックで吹いた方が圧倒的に好き。
あとは<Look Who's Lonely Now>の、ポーカロ、チャック・レイニーのリズム隊に、スティーブ・ルカサーがリズムギター、ソロにディーン・パークスなんていう、もうたまらない演奏が聴けたり。言うことなし。
あらゆる点において彼の最高傑作。これが出ちゃったから、もう続きはないのだろう。
ちなみに上のジャケットは日本オリジナルで、こっちがオリジナル(リバーシブルになってる)。これだったら手に取らないだろうな・・・。よくやった日本。ジャケットだってアルバムの一部だよね。
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This Night Won't Last Forever
This Night Won't Last Forever/Bill LaBounty
いきなりだけど、僕は完成されたボーカルがあまり好きじゃない。例えば、日本のポップスで山下達郎よりも角松敏生に惹かれたのは、その辺に原因があると思う。決して上手くないと言ってるわけではないが、どこかに未完成の部分がある方が僕はしっくりくる。このビル・ラバウンティもその一人。
1978年の作品。決して歌唱力抜群というわけではないけど、何とも味のあるボーカルが聴ける。そこに等身大のサイズを感じられるのは、やさしい歌詞のせいだろうか。ジェフ・ポーカロ、マイク・ベアード、リー・リトナー、レイ・パーカーJr.、ディーン・パークスなんていう素晴らしいメンバーに囲まれているものの、全体的に、何て言うか"無理"をしてなくていい。きっと一人で魅せることができるアーティストなのだと思う。どんなスタイルを持ってきても、ビル・ラバウンティはビル・ラバウンティみたいな。これが完成されているアーティストだとどれも同じに聞こえてきてしまうのだが、未完成な部分がある分、未知の部分もあるのである。
タイトル曲<This Night Won't Last Forever>は有名だと思う。このサビはどっかで聴いたことがあるはず。前を向いている歌なのに、どことなく寂しいのが何とも。<Room 205>なんて絶品のバラード。<In 25 Words Or Less>は今のジャック・ジョンソンを感じさせる。こんなこともできる。サックスとのかけあいをする<Who's Gonna Hold You>もいい。<Crazy>のディーン・パークスのギターもいいなあ。なんとも艶やか。全10曲、一つ一つ全てがきちんとした世界を持っている。
そして、どうしても耳に残ってしまう<I Hope You'll Be Very Unhappy Without Me>。これは世の中の全ての男性のための曲。多分。
直訳するとなんともネガティブ。歌詞も相当なもので「僕なしの君は思いっきり不幸になればいいのに 君の明日が全部ブルーになってしまえばいいのに」なんてことを歌ってる。ただ、男ならこれは結構理解できるのではないだろうか。
根拠のない自信と、投げやりの失望からはこんな想いさえ生まれる。別に本当に相手の不幸を願っているわけではなくて、僕には君を幸せにする自信があったんだよ、僕以外の誰が君のことを幸せにできるんだい?なんていう気持ちの裏返しとして。いや、結局君が離れていったことを受け入れられないだけなんだけど、みたいな。ちゃんと「こんなこと言ってバカみたいだけどさ」なんてフォローしてるところも、ぴったりだと思う。名曲。
僕自身はあまりこういうことを考えないけどね。
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FRIENDS IN LOVE
Friends In Love/Dionne Warwick
良すぎ。非の打ち所がない。いくら賞賛の言葉を用意しても足りないと思う。気に入らなかったら僕が責任持つからぜひ聴いてみて欲しい、と音楽を愛する全ての人に勧めたい一枚。AOR界じゃ有名なアルバムらしいが、多分普通の人はまず知らないだろうから。
ディオンヌ・ワーウィックはバート・バカラックの曲で有名だけど、これはジェイ・グレイドンがプロデュース。当然の事ながらバカラックはポップス全開、こっちはやっぱりAORと言えるのだろうな。抜群の歌唱力の裏で、とんでもない演奏が聴けたりする。
珠玉のラブソングが10曲。どれもこれもいい。1曲1曲がキラキラと輝いているし、とにかく聴いてて気持ちいい。
そしてクレジットがとんでもなく豪華!久々に鳥肌が立った。
ドラムはスティーブ・ガッド、マイク・ベアード、ジェフ・ポーカロ。ベースはエイブラハム・ラボリエル、マイク・ポーカロ。キーボードでデビッド・フォスターが参加してたり、ラリー・カールトンやディーン・パークスをアコギに使ったり(何て事を…)。あとはスティーブ・ルカサー、マイケル・オマーティアン、マイケル・ボディッカー。スティーヴィー・ワンダーが提供した曲も1曲あって、何と本人がピアノで参加。いやはや・・・。
あと特筆すべきはコーラス。やっぱりビル・チャンプリンがいるのだけど、ペイジズの二人も参加していて(主にリチャード・ペイジ)、特に<FOR YOU>が凄くいい。絶妙すぎる起用である。
ちなみに、これがCD化されたのは世界中で日本のみらしい。素晴らしすぎる。解説の中田利樹さん曰く「永遠のマスターピース」。真の意味での歌姫だろうな、彼女は。これからの季節にぴったりです。
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A LONG VACATION
A LONG VACATION/大瀧詠一
これはもう大名盤ですね。ちょうど僕の生まれた年(1981年)に出たアルバムで、20周年記念としてリマスタリングされたものを買った。オリジナルの方を聴いたことがないので知らなかったのだけど、どうやらこのリマスタは賛否両論あるらしい。音が良くなることで返って損なわれるものがあるとは。難しいものだね。
発売されたのは、ちょうど僕が19歳のときになるのかな。このCDを車に積んでよく海岸線を走りに行った。でも決まって悲しい気持ちになっていた。それもそのはず、作詞を手がけている松本隆の妹さんがこのアルバムの詞を書く前に亡くなったということで、秘かにその想いが込められているのだという(後に彼の著書『成層圏紳士』で知った)。
世の中にはどうすることもできない悲しみというのがあって、思わずその事実から目を背けたくなってしまうものだが、明日に向かって生きていく以上そこから逃げるわけにはいかない。立ち向かわなければならない。松本隆は数ヶ月詞を書けなくなったらしいけど、その悲しみを乗り越えて作ったのがこのアルバム。そして世間に認められて大ヒット、今や誰もが口を揃えて名盤と評すのは僕が言うまでもない。
表面だけ聴けばハッピーだけど、その裏には悲しみがつまってる。当時なぜ僕にその悲しみが伝わってきていたのかはわからないが、そんな二面性を持つ1枚。そんな難しいことは考えなくても、一家に一枚の歴史的名盤です。日本人なら持っておくように(それはちょっと言い過ぎかな)。
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Pages
Pages/Pages
これもAORの名盤。まばゆく光るものはないかもしれないけど、きちっと磨き上げられた音楽とでもいうか。アルバム最初から最後まで圧倒的な完成度。その完成度の高さは衝撃的。
ペイジズはスティーブ・ジョージとリチャード・ペイジの二人組ユニット。ジェイ・グレイドンがプロデュースということで、この時点で既にどんな音楽がやられているのか予想つきそうだけれど、印象としてはちょっと地味かな。LA発とのことだが、ウェストコーストのサウンドはない。実際のところはわからないけど、スタジオにこもってひたすら完成度を上げることに力を注いだような作品。
面白いのが、最初ドラムはヴィニー・カリウタが叩いてたんだけど、好き勝手に叩きすぎるのでクビにしたというエピソード。かわいそうに…。今じゃとんでもない話である。収録曲を聴いても悪くないと思うんだけどね。ただ、こういう場面だとやっぱりジェフ・ポーカロの凄さがわかる。いい仕事してるなあ。
収録曲ではやはり何と言っても<O.C.O.E>(Official Cut Of the Eightiesの略)。これはもう凄い。かっこよすぎ。<TELL ME>なんかも単純ながら切なくていい。<COME ON HOME>のトム・スコットのサックスも絶品だなあ。なんでこんなに映えるのだろう。
中期のスティーリー・ダン(Pretzel LogicとかKaty Liedとかあたり)が好きなら絶対気に入ると思う。好きじゃなくてもAORというより音楽好きなら間違いなく気に入ると思う。多分。
余談。このアルバムをはじめとして、AORのアルバムは日本が権利を買ってCD化・再発してるものが結構多い。その証拠にAmazon.comで調べてみたら、このアルバムは日本版が紹介されてた(35$もする!日本だと1800円なのに)。[IMPORT]なんていう表記があって感動。日本からの"輸入盤"なのである。
日本人ってこういうマニアック(?)な音楽に対して非常に熱心なところがあって、事実AORのマーケットは日本人が支えているような部分もあった(今もある)。いい音楽をいいと評価する力があり、しかもそれを支援し続ける。本当に素晴らしいことだと思う。ということで買わないと損ですよ。なんてね。
でね。もうすぐ大量にリマスタリング再発があるんですよ。もちろん既に持っているCDもたくさんあるし、これがあるので発売されてるのに(ほとんどが20年以上前の作品なので当然だけど)買うのを我慢してる作品もある。単なる紙ジャケで再発ぐらいなら買わないのだけど、リマスタリングと聞くとつい手が伸びてしまう。やめてほしいなあ、こういうの。エアプレイとかもう1枚買っちゃうんだろうな…。
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FINIS
FINIS/Finis Henderson
ちょっとマニアックかもしれないけど、つまってる音楽は「夏」ど真ん中ストレート!めちゃくちゃいい。AORが好きな人も、そうでない人も、夏を感じたいのならこれを聴け!と思わず興奮してしまう1枚。
プロデューサーはEarth Wind&FireのAl McKayということで、それを十二分に感じさせるリズムが展開されてる。1曲目<SKIP TO MY LOU>からいきなり海岸線が広がるし、<BLAME IT ON THE NIGHT>は完全に夏の夜の夢。しかも、それだけに収まらないところが素晴らしくて、スティービー・ワンダーに提供されたバラード<CRUSH ON YOU>は何ともメロウ。<LOVERS>なんかもたまらなくいい。
もちろんバックもとんでもなくて、ジェフ・ポーカロ、カルロス・ベガ、スティーブ・ルカサー、マイケル・ランドゥ、ネーザン・イースト、ジェリー・ヘイ、ゲイリー・グラント、さらにバックコーラスではリチャード・ペイジにやっぱりいたよビル・チャンプリン。
どこまでもさわやかな歌声とファルセット、美しいメロディ。控えめだけどさりげなく凄い演奏。AORのほとんど全てがつまっていると言っても過言ではない。ただそれがちょっと夏に特化しているだけ。あまりにもベタすぎるジャケットだけど、本当に夏にぴったり。このイメージ。ただし、ジャケットの裏はもう少し何とかならなかったのかよと思う。うさんくさすぎる…。
日本語ではどういう言葉が当てはめられているのかわからないけど、Breezeと言うのかな、そんな風が駆け抜けていく。
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そうかな
そうかな/小田和正
アルバムタイトル『そうかな』は"相対性の彼方"の略。めちゃくちゃかっこいい。僕が知っている日本語のアルバムタイトルで間違いなく一番。
どうでもいいけど、語尾は下げるのだろうか?
多分小田和正としては"アルバム"を作るつもりは全然なくて、曲を書いていったらいつの間にかアルバム1枚出せるほどたまってしまったので、じゃあまとめて出そう、みたいな感じでこのアルバムが作られたのではないかと思う。だからまとまりという点においては今ひとつの気がするけれど、でもこの人の場合はあまり多くのことを伝えようとしているわけでもないので、それでも問題ない。
11曲中10曲がタイアップ曲。テレビでいつしか耳にしたことのあるやさしい楽曲がつまっている。<まっ白>や<たしかなこと>、<明日>もいいけど、何より<風のようにうたが流れていた>がいい。あの番組が終わってからもう半年近くが経つんだね。
イヤフォンで聴くのではなくて、ゆっくりとした気持ちで、ステレオのスピーカーから聴きたい1枚。
前に小田和正の曲には決定的に何かが足りないと書いたことがあるけど、その印象はやはりこのアルバムを聴いても変わらない。じゃあなぜ、それでも僕が彼の音楽を聴き続けるのかというと、きっと彼の音楽に対する真面目な姿勢に惹かれているのだと思う。真摯な態度、そして彼の愛した音楽に対するリスペクト。
実はというか何というか、小田和正は僕と同じ大学院を出ている。ということでバリバリ理系の人なのである。だから同じ理系人間として、と言ったら少しおこがましいかもしれないけれど、共感できる部分が少なからずあると感じているのではないかと思う。わかる気がするんだよね、なぜその決定的な何かを埋めることができないのかを。
相対性の彼方。相対性理論。僕は前世も神の存在も信じていないけど、アインシュタインが提唱したこの(特殊・一般)相対性理論を心の支えというか、考えの基盤にしているところがある。
双子のパラドックスや、光速に近づくにつれてエネルギーが増加し・・・なんてことにあまり興味はないが、相対性理論による異なる系の考え方なんかには非常に惹かれている。例えば、静止している人も、等速直線運動をしている系にいて周りが動いている人も、それぞれ自分が静止していると主張していい。詳しく書くとかなりの量になってしまうし、僕もそれほど理解しているわけではないので省略するけど、最終的には、多くの人が共通のものだと認識している空間・時間さえも、絶対的なものではないということに繋がる。だから、この世に"絶対"というものはない。
やっぱり僕は"客観"という言葉は信じていなくて、全てのことは僕と君との間のこと、相対的なことに過ぎない。それは相対性理論が証明してくれている。小田和正は、音楽、人生、そして愛も、同じだということを言いたいのかな。相対性の彼方。本当にいいタイトルだと思う。
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Silk Degrees
Silk Degrees/Boz Scaggs
あまりにも有名なこのジャケット。渋い。ベンチにかかる女性の手は一体何を・・・?ボズ・スキャッグスの出世作であり、AORの最高傑作の1枚だろう。グラミー賞を取ったりもしているので、名実共に歴史的名盤。
声は少しクセがあって好き嫌いが別れると思うけど、サウンドは完璧。バックミュージシャンはデビッド・ペイチ、デビッド・ハンゲイト、そしてジェフ・ポーカロと、TOTOのメンバーが揃ってる。というか、これがきっかけでTOTOが結成されたはず。カリフォルニアサウンドに乗って、軽く世界を包み込む。
1曲目の<What Can I Say>でいきなりワクワクさせてくれる。ファンクでありロックでありポップ。<Georgia>は、サビのファルセットがとんでもない。よくこんなんで成り立つよなというぐらい、ギリギリのファルセットを聴かせてくれる。<Lowdown>はぶっ飛ぶ。リズム隊がめちゃくちゃ凄い。<It's Over>は恥ずかしながら歌詞で泣いてしまった。受け入れなきゃいけない終わりというものは、たしかにあるんだよね。
共通してジェフ・ポーカロのドラムがとにかくいい。この時代を彩ったのは間違いなく彼だろう。
そして個人的に世界3大バラードのうちの1曲だと思っている<We're All Alone>。歌詞がいい。サウンドがいい。特にピアノが何とも言えない味を出している。全てが完璧で涙を誘う。
もし僕が死んだら、葬儀のバックにはこれを流して欲しい。そういう類の曲ではないのかもしれないけど、「人は皆一人なんだ、明日からはまた新しい自分になるんだよ。大丈夫だよ」みたいな感じの温かい曲。歌詞の解釈からは"二人っきり"とも取れるけど、僕はそう解釈している。
Close the window, calm the light
And it will be all right
No need to bother now
Let it out, let it all begin
All's forgotten now
We're all alone
All alone
ちなみに輸入盤の方が価格は安いけど、リマスターされたものが昨年発売され、どうやら圧倒的に音質が良くなっているらしいので、国内盤をオススメ。それだけ日本で支持されてるってことなんだろうな。1976年の作品なので、今から約30年前。それが未だに愛され、リマスタリングまでされているとはただただ驚くばかりである。
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ピアノマン
GREATEST HITS vol.1&2/Billy Joel
未だに正体不明のピアノマン。僕はこの"ピアノマン"という言葉を耳にする度に、"It's nine o'clock on a Saturday〜"と、ビリー・ジョエルの<Piano Man>を思い出してしまう。今回の騒動のおかげで、彼のアルバムの売り上げが伸びたとかどうとか。ちょっと前にベストアルバムが発売されたが、あれとタイミングば合えばもっと面白いことになっていたのではないかと思う。
しかしながら、この<Piano Man>は本当に良い曲だと思う。バーにいる客達を描いている曲で、どれもありふれたというか、わざとらしさすら感じる光景なんだけど、それが逆に何となく懐かしい気分にさせてくれる。1日の終わりにぴったりのワルツ。
ビリー・ジョエルはニューヨークを歌う曲が多いものの、どことなくアメリカの田舎臭さを感じさせる。少なくとも、今こうして聴く限りという話ではあるが、煌めくアメリカンポップスの中心にはいないというか、煌びやかな印象を受けない。フィル・ラモーンと組んで洗練された気もするけど、それでもビリーはビリーみたいな。それだけオリジナリティのあるアーティストだということだと思う。素晴らしい。
<Piano Man>や<Honesty>があまりに有名だけど、他にもどこかでメロディを耳にしたことのある曲だらけ。いい仕事をしているね。何度も聴きたいとは思わないが、例えばボリュームを落としてちょっとしたレストランでかかっていたりしたら思わず聞き惚れてしまうような曲をたくさん残している。
全然関係ないけど、研究室にジャズサークルでピアノを弾いている後輩がいて、僕は密かに彼のこともピアノマンと呼んでいる。僕の周りで唯一音楽の話ができる人。リー・リトナーも知ってた。ジャズピアニスト(?)なのに、なぜかスタン・ゲッツをこよなく愛している。ちなみに彼は坊主頭にひげ顔、さらに雪駄というとんでもない格好なんだけど。はっきりいって、外見はかなり怖い。でも格好いい。
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Dreamwalkin'
Dreamwalkin'/Eric Tagg
リー・リトナーが発掘してきた(多分)ボーカリスト、エリック・タッグのソロ・アルバム。これからの季節にぴったりの1枚。甘い声と、きっちりと仕事をしているバックミュージシャン達の演奏が何とも心地よい。
面白いことに、リトナープロデュースであるものの、彼のアルバムで歌っているときとはまた違った印象を受ける。まあリトナーのアルバムではデビッド・フォスターやハービー・メイソンなんかもプロデュースに参加しているから、音作りという点で違いがあるのかもしれないけど。とにかく、こっちは"エリック・タッグのソロ作品"。リトナーのアルバムに参加している場合は、あくまでもボーカリスト。こんな違いが楽しめるのも、AORの醍醐味の1つじゃないだろうか。
しかし、たまらなく素晴らしい。いいね。歌詞もいいし、アルバムの曲順もいい。アレックス・アクーニャのドラムが凄い。ベースも見事(デビッド・ハンゲイト、ネイザン・イーストなどが参加)。1曲目の<NO ONE THERE>でいきなりやられるし、次の<MARIANNE>なんか一歩間違えれば安っぽい歌謡曲に成り下がってしまう気がするけど、見事極上の"ポップス"に仕上げた。問題といえばイヴァン・リンスの曲、<MAOS DE AFETO>の歌詞がポルトガル語で何言ってるかわからないところだけど、メロディがいいので良しとしよう。
夏の、サンセットの後から夜が辺りを包むまでの時間帯に聞くとぴったりかもしれない。綺麗にまとまってる。陰の功労者はデビッド・フォスターの気がするんだけど、どうだろうな。
佐藤竹善のCORNERSTONESシリーズで何曲かカバーされているので、あっちで知った人にはオリジナルのこっちも聴いてみてもらいたい。オリジナルの方が全然いいから。竹善先生のリスペクトは偉いと思うけどね。これがホンモノである。ホンモノであることがどれだけ素晴らしいことか。
そういえば今月リー・リトナーが来日するとか。エリック・タッグも連れてくるのだろうか?それとも杏里が出てきたりして。Blue Note行きたいなあ…。
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BROTHER TO BROTHER
Brother to Brother/Gino Vannelli
夏が近づいてきたせいかAOR系のCDを聴くことが多くなってきた。この作品をAORと呼んでいいのかどうかはわからないが、最近よく聴く1枚。ニューヨーク・セッションでもなければ、ウェストコーストでもなく、どことなく南米っぽい。あくまでもイメージだけど。
ジノ・ヴァネリの作品としてはおそらく最高傑作。文句なしの完成度。ちょっとクセはあるけど、歌はうまいし詞もいい。そしてアルバム全体を覆い尽くしている焦燥感がたまらない。バックの演奏は"何だかわからないけど凄い"、みたいな感じ。
夏の始まり、夏、夏の終わり、とりあえず夏が絡んでいればいつでも似合う。<I just wanna stop>は必聴の名バラード。一度聴いたら忘れられない。アーイジャスワナストップ!(日本語で書くと格好悪い)
世界を変えなきゃいけないと思っても
君とのことを思い出して悲しみに包まれるだけ
思い出だけが残り時は過ぎ去ってゆく
何とか忘れようとはしているんだけどさ
僕の心がそれを許さないみたい
I just wanna stop
And tell you what I feel about you babe
I just wanna stop
The world ain’t right without you babe
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Automatic for the People
Automatic for the People/R.E.M.
難解な作品だと思う。ポリティカルな部分が見え隠れするR.E.M.はもともと難しいという印象なんだけど、これは群を抜いてる。評価が二分するアルバムだろう。こんなの最低だと評する人もいるだろうし、そして確実に、彼らの最高傑作だとする人もいるはずだ。
楽曲は特に10曲目から12曲目が素晴らしい。逆に、それまでの9曲はここまでに至る布石のような感じもする。
ジム・キャリー主演の、同タイトル名の映画の主題歌<MAN ON THE MOON>。単純なメロディが深く心に残る。映画自体はジム・キャリーのワンマンショーみたいな感じだったけど。"put a man on the moon"は熟語で何か意味があった気がするが、単純に「信じられるかい?人類が月に行ったんだぜ」(If you believe me, they put a man on the moon)みたいな解釈でいいと思う。
<NIGHT SWIMMING>はとにかく美しい曲。ピアノの一定のメロディパターンに、実に見事に歌とストリングスがのっていて、もう究極的に美しい。ちなみに、ナイトダイビングをした時、頭の中でこの曲がずっと流れ続けていた。ビーチから帰ってきても流れ続けていた。
そして最後の<FIND THE RIVER>は、涙が乾ききった後のような曲。もう何も残ってないんだけど、それでも立たなきゃいけないんだよ、みたいな。
暗い。でもロック。重い。でもロック。美しい。でもロック。
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RIT
RIT/Lee Ritenour
芸能ニュースにほとんど興味のない僕だけど、杏里がリトナーとの婚約を発表したというのには驚いた。世の中、何が起こるかわかりませんね。
僕が持ってるリトナーのCDはこの1枚だけだが、スタジオミュージシャンとして色々なアーティストとセッションしているので、彼のギターは何度となく耳にしている。"キャプテン・フィンガーズ"。仕事人という感じかな。
このアルバムは最初の4曲(8曲目もかな、一応)がボーカル曲で、それ以外がインスト。プロデューサーにデビッド・フォスターなどを迎えているので、その色がかなり出てる。この辺のサウンドがたまらなく好きだな。ビル・チャンプリンのボーカルが何ともメロウ。じゃあシカゴを聴けよという話なんだけど。
ボーカル曲以外は、残念ながらあまり惹かれるところがない。インストもフュージョンとして悪くないとは思うんだけど、どうしても色あせた印象を受けてしまう。なんていうか、聴く場所・タイミングが思いつかない。STUFFレベルまでいっちゃうとまた別だが、ただ単純に有名なミュージシャン集めてセッションしてみました、っていうのは今の時代では生きていけない気がする。あるいは僕自身がそう感じているだけなのかもしれないけど。そういうのってなんか悲しいけどね。
というわけで、最後まで聴いちゃうと何となく寂しい気分になる1枚。
しかし杏里とねえ…。杏里といえば昔、年上の女性がリクエストに応え、しっとりとした声で『砂浜』を歌い上げてくれた。あれは素敵だったな。
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FOREVER MORE
Forever More/James Ingram
よく耳にする名バラード<Just Once>はプロデューサーであるクインシー・ジョーンズのクレジットしかないんだけど、実は歌っていたのはこのジェームス・イングラム。さすがクインシーが惚れ込むだけあって、歌唱力はハンパじゃない。マイケル・マクドナルドと一緒にやってる曲もあるんだけど、はっきり言ってマイケルすらもかすむ。圧巻。
とにかく伸びのある歌声が特徴。歌がうまいというのは、こういうことを言うのである。ベストアルバムなので統一感に欠けてるような気がするんだけど、残念ながらオリジナルアルバムのほとんどは現在入手不可。ちゃんとしたオリジナルも聴いてみたい。
あとこれは僕がそう思いこんでるだけなのかもしれないけど、<I Believe In Those Love Songs>で、Delfonicsの"La La Means I Love You"のフレーズが使われていて思わずにんまりしてしまった。そういうリスペクトは大事だと思う。
しかしクインシー・ジョーンズは凄い。"愛のコリーダ"なんて未だにCMで使われてるしね。間違いなく世界一のプロデューサーだろうな。"ウィー・アー・ザ・ワールド"も"スリラー"も、全部この人。元々ジャズの人なのでそっち方面は豊富だし、映画音楽なんかもやりまくってるから普段何気なく耳にしてるあの音楽が、これも?それも?なんてことに。
クインシー・ジョーンズを追いかけてみると、1つの時代が見えてきて楽しいかもしれない。
全然関係ないけど、このアルバムタイトル"Forever More"っていう言葉がたまらなく好き。永遠よりもさらに、みたいな感じで。
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sometimes somewhere
Sometime Somewhere/小田和正
ふとたまに、小田和正のやさしい歌声が聴きたくなる。綺麗で無責任で、僕のことも世の中のことも何一つわかっていないような歌声を。
92年の作品。中学1年か2年のときに買った。他の同級生達がミスチルやマイラバを聴いている中、僕は小田和正なんかを聴いていたわけで、音楽的に偏屈になる素質はその頃からあったのかもしれないと今になって思う。
そして10年近く経って初めて、このアルバムは映画のサントラ的存在であったことが判明。小田和正が映画監督をやったことがあるのは知ってたけど、これがその作品に関係していたとは全然知らなかった…。たしかに他の作品と比べて何となくこぢんまりしている感じがあるし、ストーリー性のある展開も少し気にかかっていた。曲のタイトルに"冬子のテーマ"や"正木のテーマ"などがついていて、一体なんのことなのかよくわからなかったんだけど、そうか映画か…。
小田和正の音楽は、僕に言わせれば何かが決定的に足りない。その何かがあればずっと良くなると思うのに、それがないのでたまにしか聴かない。ベースはこの頃からネイザン・イーストだし、ギターも佐橋佳幸、コーラスは佐藤竹善を起用。ちゃんとこだわりはあるのに、ものすごい歌唱力なのに、どうも曲が今ひとつなんだよな。まあ単純に好きになりきれないというだけなんだけど。
とは言うものの。中学生のときなんかそれほどお金もなく、あまりCDを買うこともできなかったので、今よりもずっと繰り返し何度も何度も、そして丁寧に聴いていた気がする。<恋する二人>のサビがめちゃくちゃ良かったことや、<風と君を待つだけ>の歌詞に勇気づけられたことをよく覚えている。
小粒揃いの小曲集みたいなアルバムかな。
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Gaucho
Gaucho/Steely Dan
もしあなたが究極の完成された音楽を聴きたいと思うなら、後期のスティーリー・ダンを聴けばいい。好みは分かれるだろうが、少なくとも広い意味でのポップスにおいて、彼らより上の音楽をやったものはいない。
もしあなたが一流ミュージシャン達の最高のプレイを聴きたいと思うなら、この『Gaucho』を聴けばいい。これほどまでにボーカルがかすむ音楽を、僕は聴いたことがない。
とにかく圧倒的な完成度。1980年にこれをやられちゃ、もう誰もついていけない。彼らの中では、ここで追い求めていた音楽が終わった。音楽界という広いフィールドにおいても、このアルバムでひとつの完成形に達したと思う。まさしくポップスの終焉。よくこのアルバムが出た後、他のミュージシャン達は平気な顔をして音楽を続けようと思ったよな、と本気で思えるほどの傑作。
テクニカルな話をすると、録音がめちゃくちゃいい。多分僕の持ってるCDの中で最高だと思う。お金をかければかけるだけいい音で聴ける1枚。自分の10万程度のアンプ、CDプレーヤーではちょっと厳しいかなと感じることが多々ある。いつか最高の環境でこのアルバムを再生してみたい。
楽曲については、ドナルド・フェイゲンのコンピュータミュージックへの抵抗がこれでもかっていうほど聴ける。最初なんとなく打ち込みの代用としてミュージシャンを起用している感じもしたんだけど、繰り返し聴いているうちにそれは表層的なことであったことに気づいた。やっぱり人間じゃなければ出せないグルーヴっていうのがあって、彼はそれを求めているのがわかる。
<Babylon Sisters>では、チャック・レイニーとバーナード・パーディーという最高のリズム隊。ドラムの話ばかりで申し訳ないが、スティーブ・ガッドやジェフ・ポーカロ、リック・マロッタも本当にいい味を出している。デビッド・サンボーンやトム・スコット、マイケル・ブレッカーなどのホーンも適材適所という感じで、見事フェイゲンの要求に応えている。全てが究極的。<Third World Man>は前作『AJA』に収録される予定だったとかで雰囲気が少し違うが、それでもラリー・カールトンの味のあるソロが聴けるところがいかにもスティーリー・ダン。
そして行き着くところに行き着いちゃったので、彼らはこれで音楽活動をやめる(他にも色々な事情があるのだが)。
本当に完璧な音楽だし、僕の知る限りこれより完成度の高い音楽をやったアルバムはない。でもそれが必ずしもよいのかと言われれば、実はそんなこともない。
このアルバムを聴くと、もうこの上はないということがはっきりとわかる。どんなものでも、ピークに達したらあとは落ちるだけ。そのことを受け入れられたとき初めて、このアルバムの本当の凄さを理解できるし、それと同時にあとは輝きを失った世界が待っているだけになる。一応スティーリー・ダンは2000年に復活してグラミー賞をとったりもしているのだが、これらの作品に比べるとはっきりいって目も当てられない内容である。
まあ、一度ぐらいは頂点を見ておいた方がいいかもしれない。僕は生きている間にこのアルバムに出会えたことを心から感謝している。
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Reptile
Reptile/Eric Clapton
彼の音楽人生に大きな影響を与えたという叔父のAdrian(及び彼の妻Sylvia)に捧げられたアルバム。ブルースと言い切ってしまうにはちょっと無理がある気もするんだけど、でもそれと同時に、こういうのがブルースなのかもな、という感じもする。
このアルバムは、クラプトンだからこそできたという感がひしひしと伝わってくる。どことなくアコースティックで、包容感を感じさせるところが気持ちいい。成熟というか円熟というか、ここまでの渋さは彼だからこそ出せたのだろう。よくやった、と思わず拍手を贈りたくなってしまう。
全14曲中7曲がスティービー・ワンダーやレイ・チャールズを始めとするカバー曲だけど、<Believe In Life>や<Superman Inside>など彼のオリジナル曲も素晴らしい。そういえばこのアルバムが現時点でオリジナルアルバム最新作(とは言え2001年)。彼はこの先一体どういう方向に向かおうとしているのだろうか…。
実はこのアルバム、全曲ドラムがスティーブ・ガッドという理由だけで買った。HMVで試聴した時、ああこれはスティーブ・ガッドだと確信してそのまま購入。彼はマーチングをドラムに持ち込んだ人なので、一発でわかるのである。
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TOTO IV
TOTO IV/TOTO
タイトル通りTOTOの4作目、グラミー賞を総ナメ(6部門受賞)にした彼らの代表作。こういうアルバムがきちんと評価されるところが、アメリカの良さである。元々かなりレベルの高いミュージシャン集団だったグループが、それぞれの良さを惜しみなく発揮させ、さらにそれを圧倒的な完成度に仕上げた。最高傑作と呼ぶにふさわしい。
僕が一番最初にAORと呼ぶべき音楽をきちんと聴いたのがこのTOTOだったと思う。当時17,18だった僕は"ミュージシャン買い"みたいなことをしてて、ジェフ・ポーカロが参加しているバンドということでTOTOに興味を持った。世界トップレベルのドラマーと言ったらポーカロだよな、じゃあTOTOを聴かないわけにはいかないでしょう、みたいな感じで。
ただ、このアルバムに限らず、TOTOでのポーカロは何となくおとなしい。あくまでもセッションメンバーの一員というか、"TOTOのドラマー"に徹しているような印象を受ける。もともと彼のドラムには、例えばスティーブ・ガッドやヴィニー・カリウタみたいに一発で本人とわかる特徴がないんだけど、とにかくポーカロだけを取り出すことができなくて、全体としてのTOTOサウンドに貢献しているだけなのである。
じゃあTOTOのドラムはポーカロ以外でも務まるのかと言われれば、多分そうではない。ポーカロは92年に亡くなり代わりのドラマーが入ったんだけど、本当に同じグループなのかとあぜんとした。それ以外にもメンバーが変わりまくっているという事情もあるんだけど、決定的な違いは間違いなくポーカロの存在だった。ポーカロのいないTOTOはもはやTOTOではなかった。デビッド・ペイチ、スティーブ・ルカサー、デビッド・ハンゲイト、スティーブ・ポーカロ、ボビー・キンボル、ジェフ・ポーカロ、この6人が揃って初めてTOTOなのである。
そしてオリジナルメンバー最後のアルバムがこの作品。これがきっかけで流れが誤った方向にいってしまったのかどうかはわからないけど、とりあえず<africa>は誰が何と言おうと歴史に残る名曲だし、キャッチーな<Rosana>や<Afraid Of Love>なんかもいい。TOTOのアルバムは他に3枚持っているんだけど、やっぱり一番多く聴くのはこれかな。名盤という言葉が実によく似合う。
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FACT OF LIFE
FACT OF LIFE/佐藤竹善
Sing Like Talkingのボーカル、佐藤竹善の初ソロアルバム。かつて山下達郎や小田和正のバックコーラスを務めていたこともあり、歌唱力は抜群。SLTの方はあまり好きじゃなかったんだけど、彼自身には興味を持っていた。
なぜSLTは好きじゃないかというと、こんなこと言いたくないけど、佐藤竹善以外のメンバーがいらない。はっきり言って、彼がソロの時に起用するミュージシャン達とは格が違う。もちろんルーツがSLTにある以上、彼らを否定することはできないのだけれど。でも佐藤竹善もAORな人だから、何とも皮肉な状態になっていると思う。
とは言え、SLTでも<Seasons of Change>や<Spirit of Love>なんかはいい曲だなと思うけどね(僕が中学生の時の曲かな。古い…)。
このアルバム自体は、CAT GRAYの一人舞台。プロデュースを手がけている人なんだけど、レコーディングもミックスもマスタリングもこの人一人でやってる。驚くのはそれだけではなく、なんと全曲に何らかの形で参加。ギター、ベース、キーボード、オルガン、ハープ、バンジョー、パーカッション、ドラム、バックグラウンドボーカルと非常に多才。最初、この人は実在する人間か?と思った…。
そんなわけで"CAT GRAY色"がかなり強いんだけど、ポップスとはこういうものを言うんだと当時高校生だった僕に教えてくれた。普段オリコンチャートの音楽しか聴かないような友達に聴かせたら、「もう1回」と言っていつまでも<EARTHBOUND>を繰り返し再生してた(Conner Reevesのカバーだが)。人の音楽の趣味にとやかく言うつもりはないけど、少しでも僕の好きな音楽がわかってくれるとやっぱり嬉しい。
歌詞はちょっと悲劇的・絶望的で、でもその中で希望を見いだそうとしていて。そしてどことなく表現が純文学的。それを軽く歌にのせちゃうところがこの人の凄いところなのだろう。
清廉な光と信じていたのは 偽の花びらと気づいた
重すぎた鎧に囚われずに 歩きたい
駆け寄る君を抱え上げて
同じ目の高さに見て 抱きしめたら
新しい笑顔をこしらえて
始めるよ 幻でも
満ち足りない力だけど 十三夜の月のように
(十三夜の月)
今時「こしらえて」なんて言葉を使う人はいないだろう。ましてやそれを歌にもってくるとは。
ちなみに<WIND OF CHANGE>で、沼澤尚のグルーヴに度肝を抜かれて僕は一気に彼のファンになった。
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AIRPLAY
AIRPLAY/AIRPLAY
ウェストコースト系AORの代表作。歴史的名盤の1枚だろうな。デビッド・フォスターとジェイ・グレイドンのユニットで、前者は世界を制覇した名プロデューサー(キーボード奏者)、後者はドナルド・フェイゲンに認められたギタリスト。彼らを知らずして音楽を語る事なかれ。
このうさんくさい"This is 80's!"みたいなジャケットからは想像もつかない音楽がつまっているのである。
ボーカルのトミー・ファンダーバーグ、こんなのあり得ないっていうぐらい綺麗な高音を聴かせてくれる。グレイドンも何曲か歌ってて、これも結構うまいんだけど、トミーのインパクトには負ける。あとビル・チャンプリンが参加している曲もいくつか。
しかし豪華である。ドラムはジェフ・ポーカロがほとんどだし、ギターはグレイドン以外にスティーブ・ルカサー、レイ・パーカーJr。ベースがデビッド・ハンゲイト。キーボードがデビッド・フォスターなのは言うまでもない。
いいねー、バリバリ80年代の黄金期!デビッド・フォスターがサウンドにかなりこだわっているので、驚くほど完成度が高い。ボーカルとシンセとギターの幸せな融合とでも言うべきか。
かなり有名な一枚だから、誰もが一度は収録されている曲のどれかを耳にしたことがあるんじゃないかと思う。これから夏にかけてのマストアイテム。ただし、一枚まるまる聴くと疲れる。高速を140キロぐらいでぶっ飛ばしているようなテンションなので、最後までもたない。コンピレーションアルバムでアクセントとして使うといいだろうと思うし、どの曲も1曲だけ切り出して使えるものをもっているんだけど、まあ僕はコンピアルバム好きじゃないので何とも。
余談だが、いくつかの曲に邦題がついていて、それが結構笑わせる。まずこのアルバム、ユニット名=アルバム名になっているんだけど、邦題では『ロマンティック』・・・。どういうセンスだ。あと"SHE WAITS FOR ME"という曲が"彼女はウェイト・フォー・ミー"。何だよ、その中途半端さは。まあこのジャケットだし、それぐらいでいい気もするけど…。絶対ジャケットと邦題で損しているな。
騙されたと思って聴いてみて下さい、と思わず人に勧めたくなってしまう一枚。
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ブーレーズ×ツィメルマン
Maurice Ravel-The Piano Concertos
Krystian Zimerman, Piano
The Cleveland Orchestra
London Symphony Orchestra
Conducted by Pierre Boulez
1.ピアノ協奏曲ト長調
2.高雅にして感傷的なワルツ
3.左手のためのピアノ協奏曲ニ長調
ツィメルマン強化月間。ちなみにツィメルマンと僕は書いてるけど、世間的にはツィマーマンとされる方が多い。ただ後者は英語読みで気にくわないので、ここではツィメルマンとしてます。
ラヴェルで、指揮がブーレーズ。これだけで他には何もいらない。ツィメルマンの精巧な音が、ピタリとはまっている気がする。クリスタルをのぞきこむような演奏。なんて偉そうに言っても、ラヴェルのピアノ協奏曲で持ってるのはこの1枚だけなんだけど。圧巻なのは"左手のためのピアノ協奏曲"。これは凄い。
ちなみに。クラシックだとたまに国内版と輸入盤で価格の逆転が起こるんだけど(国内版の方が安い)、これもその1枚。なんにせよ、価格が落ちてくれるのは嬉しい限りである。
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ドビュッシーで眠りに
DEBUSSY:PIANO WORKS
Walter GIESEKING
ベルガマスク組曲
版画
よろこびの島
映像第1集&第2集
子供の領分
レントより遅く
「音楽は、色彩と律動づけられた時の流れによって構成されるのだ」(Claude DEBUSSY)
春のうつろな夜はドビュッシーが似合う。・・・のかどうか知らないけど、最近寝る前に良く聴いている1枚。さすが印象主義と言われるだけあって、目を閉じると、何となくだけれど、色々な情景が浮かんでくる。
あまり録音状態が良くないのが残念だが、ギーゼキングの年代を考えればしょうがない。多少ぼやけた感じはあるものの、それでも繊細さ、温かみが感じられるし、ベルガマスク組曲はどことなく純粋に官能的。なんかベッドに寝転がりながら、どうにもならないようなことをむにゃむにゃ考えながら聴くなんて申し訳ない限りのような気がしてくる(さらにそのまま眠りにつくこともしばしば…)。
ギーゼキングのドビュッシーは何枚か出ていて、なぜこのCDを買ったのか今ひとつ思い出せないんだけど、アラベスクも聴きたい人はこちらの方がいいと思います。
LEAVING HOME
LEAVING HOME/J&B
J&B tributes to Kenji Omura
Guitar:梶原順、浅野祥之
Bass:松原秀樹
Drums:沼澤尚
"Musician's musician"として多くのミュージシャン達に敬愛されてきた故大村憲司。そんな彼の未発表曲、"LEAVING HOME"と"TOKYO ROSE"を含む全5曲のミニアルバム。昨日なんとなくギターの調べが聴きたくなって、引っ張り出してみた。5曲目はいらない気がするけど、他の4曲はどれも素晴らしい。"LEAVING HOME"の最後ギターソロを息子の大村真司が弾いてるなんて、何とも涙を誘う。
特筆すべきは、これだけ超一流のミュージシャン達が集まりながら、フュージョンにありがちなそれぞれのパートの個性を光らせるという演奏はほとんど見られず、4人揃って一つのグルーヴというか空間を作り出しているところ。"Proud of You"をエンドレスで流し、梶原順のギターはなんでこんなに気持ちいいんだろう、と思いながらそのまま眠りについた。
大村憲司氏についてはこちらから。もうあれから6年半が経つんだね。
ラフマニノフ×ツィメルマン
RACHMANINOV
PIANO CONCERTOS NOS.1&2
KRYSTIAN ZIMERMAN
BOSTON SYMPHONY ORCHESTRA
SEIJI OZAWA
話題としては小沢征爾指揮&ツィメルマンということの方が大きいのだろうが、僕としてはツィメルマンがラフマニノフを弾いてくれていることが凄く嬉しい。彼はもう僕の中で絶対的なポジションを築いてて、きっとこんな演奏になるはず!と勝手に予想したら、その予想通りの演奏を聴かせてくれると思いこんでいる。正確無比で、かつ温かみのある奥深い音色。これはホロヴィッツにもアシュケナージにも出せないのである。
ラフマニノフは2番・3番が有名らしいけど(よく知らない)、1番も凄くいいです。でもやっぱり2番の方がいいです。それよりも僕は絶対的に3番が好きです。ということで、僕の大好きな3番も出してくれないかな…。
In Between Dreams
In Between Dreams/Jack Johnson
<Sitting, Waiting, Wishing>がメディアにかなり取りあげられているので、日本での知名度も上がってきたかな。僕は"Thicker Than Water"で彼の存在を知った(DVD欲しい)。これらのタイトルからも分かるとおり、全てのサーファー達に捧げられた音楽。目を閉じればそこはハワイ!ビッグウェーブ!・・・とは感じられないかもしれないが、南の島には行ける。
アコギ、ベース、パーカッションというシンプルな構成にゆるいボーカル。完全に今の時代に逆行するような、原始的な音楽がひどく心地良くて、疲れているときに聴くとめちゃくちゃ気持ちいい。実際のところはどうなのか知らないけど、波を待っている間にちょっとレコーディングしてみました、みたいな雰囲気がある。
焦らず、のんびりと、まったりと、ゆっくりと。そんなに急いだって仕方ないよ。いくら待っても波が来ないときは来ないし、来るときは来る。大切なのは良い波が来たときに、それに乗れるよう待っていることさ。
LA・LA・LA LOVE THANG
LA・LA・LA LOVE THANG/久保田利伸
どんな企業でも必ず求められるのが、コミュニケーション能力だという。僕はかなりこのコミュニケーション能力に問題があると自負しているので、こりゃ就職活動厳しいよなあ・・・などとお風呂の中で考えてたら、「I and I 止まらない 胸を合わせてコミュニケーション」なんて歌が頭に浮かんできた。久保田利伸の"BODY-CATION"。PVが棒人間だった気がする。
久保田利伸については、あまり語ることはない。というのも、中学生以降ほとんど聴いてないのである。このアルバムもそんなに聴かなかった。テレビ出演した時の彼の歌を聴いて、なんかCDと違うよなと思ってしまったのが原因。
90年代中盤、まだこの頃は歌番組で歌手がちゃんと歌ってたので、当時中学生だった僕はCDと実際とのギャップに驚かされた。何様だよと言われるかもしれないけど、ピッチあってないじゃん、みたいな感じで僕はかなり多くの歌手を信じられなくなった。
ライブにはライブの良さがある、という点においては別に否定するつもりはないけど、その一方で山下達郎みたいに完璧なクォリティを出す人物もいるわけで、やっぱり「本物」で勝負して欲しい。CDをそのまま再現できてこそアーティストでしょ、みたいな思いがある。いつだったか、角松もそんなことを言ってた気がする。
で、まだそれが明るみに出てるうちは良かった。視聴者はテレビで歌っている歌手を見てうまい・下手を判断していたし、歌手側だってそれを承知で出ていた。多分。しかしそれ以降歌手は歌うのをやめ、日本のポップスは終わった。音楽なんてもうビジネスの道具でしかない。テレビで流れる曲に合わせてCDを再生してみたら、ピタリと重なるんじゃないだろうか。全部が全部というわけではないだろうけど。だから良い曲もそうでない曲も、ほとんど同じ平均レベルに並んでしまって、3年も経てば誰も覚えてない。
話が脱線しまくったけど、久保田利伸はそんな感じであまりよくわからない。とは言え、"Missing"なんかは好きです。名バラード。
ときめくだけの恋は 何度もあるけれど
こんなに切ないのは きっと初めてなのさ
染まりゆく空に包まれ 永久に語らう夢を見た
個人的にかなり思い入れのある曲。中学生・高校生の時はあまりしっくりとこなかったが、今ならよくわかる。僕だけの君ならすぐに駆けだして会いに行くし、許されることならば抱きしめていたい。
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GEMINI
GEMINI/Brian McKnight
昨年末から今年にかけてモータウンやブルーアイドソウルなんかに少し手を出してたが、ついにR&Bまできてしまった。昔はR&Bなんて・・・と結構馬鹿にしてたんだけど、実際ちゃんと聴いてみるとなかなかいい。やっぱり食わず嫌いは良くないね。
まあでもこう言ってはなんだけど、BGM音楽かなとも思う。何かが足りないのか、何かが余計なのか。いずれにしろ「綺麗な音楽」の域を出ない。それで必要十分なのかもしれないけど。お洒落な音楽というのも悪くないでしょ。
MTV Unplugged NYC 1997
MTV Unplugged NYC 1997/BABYFACE
これほど偶然買って良かったと思えるアルバムはない。高1の冬に買ってから7年、依然全く色あせることなく輝き続けている。初めて聴いたとき、あまりの完成度の高さにしばらく興奮が冷めなかった。僕の全然知らなかった世界を、完全な形で見せてくれた。そして時が経てば経つほど、聴く回数が増えてきている。もし自分のコレクションから5枚選べと言われれば、間違いなくその中の1枚はこれだろうと思う。
最近はちょっと何をやっているのかわからないけど、当時名プロデューサーとして世界を制覇していたBABYFACE。歌唱力も抜群で、彼の前ではエリック・クラプトンもギター演奏のみ(何て贅沢な…)。"Change The World"はクラプトンに提供したオリジナルに比べてかなりテンポが早めだが、終盤のアレンジが秀逸。あまりの気持ちよさにクラプトンが演奏をやめなかったとかどうとか。
全体を通してきちんとした基盤みたいなものが出来上がっていて、あとはもう才能に任せて煮るなり焼くなり、好きなように料理を・・・といった感じで、音楽を心から楽しんでいるんだなと感じさせる。まるで僕に歌いかけているかのように、一緒にやろうよと参加を促しているかのように。
前にぼやけた東京の夜景を見ながらご飯を食べていたとき、これにも収録されている"End Of The Road"が流れてきた(オリジナル版だが)。始まりがあれば終わりがある。それは当たり前のことだけど、なんとなく永遠を願ってみた。永遠でなくても、しばらくは終わりの見えない道を。道の終わりにたどり着いたとしても、それで必ずしも終わりというわけではないよね。
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Perfect Island Nights
Perfect Island Nights/Bobby Caldwell
2月1日発売のボビー・コールドウェルの新作が届いた。こう書くと誰かが送ってくれたみたいだけど、Amazon.co.jpで注文したということです。彼はこの数年ジャズっぽくなってしまったが、今回の新作はこのタイトルからしてまたAORへ戻ってくれたのではないかと思い期待していた。
たしかに悪くはない。今までの作品に比べたらずっとAORっぽい。とは言え・・・やはり彼の場合は、デビュー作で頂点を極めてしまったところに問題がある気がする。もうあれを越える名盤は出てこないのだろうな。
そんなことをぶつぶつと言っても仕方ないので、もう少し内容を。声はちゃんと出てるし、相変わらず甘いファルセットは健在。なぜ今のタイミングでリリースされたのかが疑問だが、これは夏の終わりあたりに聴くと気持ちいい気がする。全然悪くない。印象としては『Heart Of Mine』の現代解釈版という感じかな。
唯一の疑問点は最後に"Sukiyaki"(上を向いて歩こう)が収録されていること。あきらかにおまけっぽいのだが、これは輸入盤なので日本用の特別仕様というわけではない。大胆な推測をしてしまうと、彼のことを世界で一番評価していたのは日本人だから、それに対する感謝の気持ちの意味が込められているのではないかと。
彼はこの作品でAORに対するケジメをつけにきたのかもしれない。
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Aja
Aja(彩)/Steely Dan
AORを語るときに絶対はずせないのがこの1枚。女優の山口小夜子さんを起用したこのジャケットはなんだかうさんくさいけど、はっきり言って音楽史上最高傑作だと思う。
先日ビーチボーイズの『ペット・サウンズ』は伝説的名盤と書いたが、これは他の人達、音楽界に多大な影響を与えたというのが理由の1つにある。でもスティーリー・ダンの場合、おそらく音楽界への影響なんて皆無に等しい。唯一無二としてあまりにも高いところに行ってしまったのである。誰も近寄れない、いわば神の領域へ。
特にこのアルバムでは顕著なんだけど、後期のスティーリー・ダンの曲というのはどれも幾何学的であり、リニアな展開を見せる。すなわち、色々な要素があって、それらを合成すると結果はこうなると決まっていて、そこに寸分の狂いもなく行き着く。逆に考えればかなり緻密に計算しつくされた音楽。何だかとんでもない定理の証明を目の前で見せられているような感じである。
収録されている曲はどれも素晴らしいが、やはりアルバム名と同じ"Aja"を取りあげないわけにはいかない。
ドナルド・フェイゲンのボーカルは入ってるけど、もはやこれはインスト。歌は早々に消え、単純な固定パターンの繰り返しが2分ぐらい続いた後、ウェイン・ショーターの何かに狂ったようなテナーサックスに合わせて、スティーブ・ガッドのドラムソロが1分間延々と続く。そして最後、再び1分以上のドラムソロで曲がフェードアウト。これは彼のベストプレイとも言われていて、しかも聞いた話だと一発テイク。もはや笑うしかない。世界最高ドラマーの史上最高のプレイ。このドラムソロを聴かないまま人生を終えるのは寂しすぎると思う。
あとはキャッチーな名曲"Deacon Blues"、ジェイ・グレードンのギターソロが光る"PEG"、チャック・レイニーとバーナード・パーディのリズム隊が秀逸の"Home At Last"、などなど。アルバム全ての曲が飛び抜けている。それでもバランスの崩れを感じさせないのは、あまりにもレベルが高いところで統一されているからなのだろう。
スティーリー・ダンは、心で感じるのではなく、頭で理解する音楽だと思う。だからメロディやテクニックはともかくとして、なぜだかわからないけど涙が出てくる、なんてことは絶対にない。ただしあまりにも完璧なプレイは、深く僕らの印象に残り、全身を震わせる。
個人的にスティーリー・ダンではこれよりも好きな作品があるけど、とにかく完璧すぎる1枚。
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Pet Sounds
Pet Sounds/The Beach Boys
今朝起きた時、誰かに「ブライアン・ウィルソンはもういないわよ」と言われたような記憶があった。夢でも見てたのかもしれない。ブライアン・ウィルソンはもういない?たしかにそうかもしれない。
あまりに伝説、伝説と言われ、もはやその言葉だけが一人歩きしてしまっているだけのような感もあるこの『ペット・サウンズ』。しかし、誰が何と言おうと、時代がどれだけ消耗させようと、これは伝説的名盤なのである。
このアルバムを聴いてるとだんだん悲しい気持ちになってくる。メロディが、歌詞が、美しすぎて涙が溢れてくる。あらゆるものごとや時間を超越した美しさ。全ての形容詞は何かと比較して、相対的な意味で使われるのかもしれないけど、これはもう絶対的に美しい。
二十歳の夏、僕は時間さえあればこのアルバムをカーステレオに突っ込んで海を見に行ってた。何かを求めて海を見に行き、そこには何もないということを思い知らされて帰った。そんなことを何度も何度も繰り返していた。胸一杯の失望と絶望、そして「いいことなんて全て終わってしまった」。当時僕はそれをまるで何かの合い言葉のように心の中で繰り返し、本当に全て終わったのだと確信していた。それは今もあまり変わらない。
ポップスとしてはおそらく世界で一番美しい曲、"God Only Knows"。限りなく神聖で、限りなく美しい。聴いてるとそのまま天国へ行ってしまいそうな気さえする。
If you should ever leave me
Though life would still go on believe me
The world could show nothing to me
So what good would living do me
God only knows what I'd be without you
このアルバムがリリースされたのは1966年5月。およそ40年前のことだ。40年・・・想像もつかないや。でも40年経っても、依然これを越えるアルバムは世に出てきてない。何やってるんだよ、と思う。
本当にいいことなんてもう終わってしまったんだろうな。それだけが全てではないけど、ブライアン・ウィルソンはもういないんだね。
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Story So Far
Story So Far:The Very Best Of/Rod Stewart
いいねー、ロッド・スチュワート。一発でイギリス人だとわかるこの顔立ち。こう言っては失礼だけど、メロディも歌詞も全くひねりなし!全てはこの歌声で魅了!きっと彼の歌声だけで恋に落ちた女性は世界中に数え切れないほどいたんだろうなと思う。
僕はベストアルバムというものがあまり好きじゃない。何枚か持ってはいるけど、経験から言って、そういうアルバムは後であまり聴かなくなる。歴代のアルバムからヒット曲を適当にもってきて1枚にまとめたって、そう完成度の高いものができるわけじゃないのは考えてみれば当然か(もちろん例外はある)。
ただロッド・スチュワートに関しては、今さら昔のアルバムを買いあさろうとは思えないため、まあ僕としてはこれぐらいで十分な気がするのである。これまたファンの反感をかいそうだけど、やっぱり彼は70年代・80年代の人。彼はこの頃のトレンドであり、良い意味でのファッションだったはず。もちろん気に入ったら昔だろうが何だろうが買えばいいんだけど、正直そこまで思わせる何かが僕には感じられなかった。
それでもこのアルバムは宝石をちりばめたような曲で溢れている。全てがキラキラと光ってる。その輝きは、多分聴く人にとって違うのだろうし、ぼやけていると思う人もいるだろう。僕にとっては「当時は輝いていたんだ」という確認のような感じかな。たまに聴くとキラキラしてるんだけど、その輝きは僕の胸に永遠に残らない。まあ昔の輝きを見つめるのも悪くはない。
"Ruby Tuesday"なんて火曜日が来るたびについつい口ずさんじゃうけど、よく考えたらこれはローリング・ストーンズの曲だな…。
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The New York Rock And Soul Revue
The New York Rock And Soul Revue - Live at the Beacon
"And now, it's my pleasure to present Donald Fagen!! "
冒頭のDJ、もうこれだけでたまらない。ドナルド・フェイゲン、ボズ・スキャッグス、マイケル・マクドナルド、フィービー・スノウ・・・こんなメンバーが集まるなんて夢のまた夢である。そして、それが普通に集まる街(なのかどうかは知らないけど)、それがニューヨーク!
やはりこのCDで特筆すべきはドナルド・フェイゲン。STEELY DANとして最後のアルバム『Gaucho』を出してからおよそ10年、自身のソロ曲も、なつかしのSTEELY DANの曲も惜しみなく披露している。彼は超一流ミュージシャンを起用して音作りにこだわることで有名だけど、このライブでは残念ながらそこまでのミュージシャンは集まらない。だが、それでもドナルド・フェイゲンサウンドみたいなのが出てるところが面白い。
彼に比べると、ボズ・スキャッグスやマイケル・マクドナルドはちょっと存在感が薄い。フィービー・スノウは余計な気さえする…。まあ僕にとってこのアルバムはフェイゲン。言葉は悪いけど、あとはおまけだ。というか、それだけフェイゲンが好きなのである。
関係ないけど、僕にとってニューヨークというのは結構身近な存在だった。というのもアメリカのニュージャージー州に住んでた2年間、しょっちゅうマンハッタンに連れて行ってもらってた。平均したら2ヶ月に1回ぐらいは行ってた気がする。
当時は小学生だったので表面的なところしか見られなかったけど、今行ったらとても面白そうな気がする。あくまでもイメージなんだけど。
で、実は今年の夏あたりに行ってくる予定です。改修が終わったMoMAも見たいしね。設計を担当した谷口吉生氏のお手並み拝見!(なんて偉そうなことを言える立場ではないんだけど)
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motown two
motown two/Michael McDonald
引き続きマイケル・マクドナルド。前作motownよりも、こっちの2作目の方が取っつきやすい気がする。あとほとんど大差はないと思うんだけど、音の作りがこっちの方が僕の好み。積極的に生ドラムを使ってるのが嬉しい。ヴィニー・カリウタが"What's Goin' On"を叩くなんて、誰が想像しただろう。
しかしどの曲もつらつらと愛を語っているわけで、愛の表現なんていうのはいくらでもあるんだなあと感じる。ずっと聴いてると、段々世界は本当に愛で動いているんじゃないかと思えてくる。
「愛」って何だろう?とかそういう話はおいておくとして、世界が動いているメカニズムには愛が必要な気がしてくるのである。これがないと動かない。逆に愛さえあれば何も問題なしだ。んなわけあるかよ、という気もするが、偉大な先人達は皆愛について説き、愛について歌ってきた。時には己の欲求を表す言葉として、時には平和の代名詞として、あるいはメタファーとして形而上として。
愛を中心に世界ができて、その世界が集まってもっと大きな世界ができて。
I was made to love her
Built my world around her
たしかにそんな気がしないでもない。
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blue eyed soul singer
motown/Michael McDonald
まずこのジャケット!この優しそうな瞳!これだけでどんな歌声なんだろうとワクワクしてしまう。で、彼は僕の期待に存分に応えてくれる。マイケル・マクドナルドというと、僕としてはSteely Danのバックボーカルという印象が強かったんだけど、メインでも抜群にうまかった。
このアルバムではスティーヴィー・ワンダー、マーヴィン・ゲイ、ダイアナ・ロス、テンプテーションズ等の名曲をカバー。マイケル・マクドナルドのルーツ自体が実はモータウンにあるとのことで、単なる企画物のカバー集というわけではない。
マイケル・マクドナルドの場合、1つの楽曲で重要視しているのは、そこに含まれているメッセージではなく、全体としての音楽のように思える。だから嫌味にならない。多分あまりに軽すぎるとそれがファッションとして扱われるようになり、単なる消費音楽になっちゃうんだけど、そうならないギリギリの線をうまくついている。
マーヴィン・ゲイの歌を聴いて、Love&Peaceを訴える人が生まれるかもしれない。マイケル・マクドナルドの歌ではそうはならないだろう。でも、それで歌としてどちらが上とかそういう話ではなく、今僕が興味あるのは、どちらが自分の好みかということのみである。で、僕はマイケルの方が好き。それだけの話である。
それにしてもメッセージ性が強い。ありったけの想いが伝わってくる。
I'm gonna make you love me.
Oh yes I will, yes I will.
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Mecca For Moderns
Mecca For Moderns/The Manhattan Transfar
今までは基本的に他の人にも聴いて欲しいと思うCDを紹介してきたんだけど、今回に限って思い出話。作品自体としてはあまり好きになれないものの、特別な思い入れがあるので取りあげたい。
僕は幼稚園から中学1年の途中まで、およそ8年強、エレクトーン及びピアノを習っていた。ずっとヤマハのエレクトーン教室に通ってて、アメリカに行ってた2年間はピアノ。中学に入って部活に入り、練習が忙しかったので辞めちゃったんだけど、今考えればもったいないことをしたなと思う。たまにドラムも触らせてもらえて、ただ8ビートを叩くぐらいなんだけど、それでもたまらなく楽しかった。
で、このアルバムに収録されている"BOY FROM NEW YORK CITY"という曲を、小6の時の発表会で演奏したのである。かれこれ11年ぐらい前のことかな。僕が所属していたのはアンサンブルコースというコースで、1人が両手・両足を駆使して曲を演奏するのではなく、複数人がそれぞれ異なるパートを担当して1つの曲を演奏するという形だった。まあ皆で楽しくやろうよ、みたいな感じ。エレクトーンが6人、そして先生はドラムを担当した。
僕はメロディパート(歌のパート)を担当してたんだけど、最初の音の入りがやけに難しくて、苦戦していたことを覚えてる。最後のアドリブに近い部分、ここをミスなく終えられるかがずっと不安で、発表会当日先生とのアイコンタクトで最後の音を出したときは何とも言えない気分だった。
ただ正直言って、このアルバムそのものの評価はあまりできない。ジェイ・グレイドンがプロデューサーで、参加ミュージシャンはデビッド・フォスター、スティーブ・ルカサー、ディーン・パークスやスティーブ・ガッドと言ったAOR大御所が名を連ねてる。たしかにバックの音楽自体は凄いんだけど、コーラスグループにそれが合うかどうかはまた別の話。多分彼らはそんな後ろでごちゃごちゃやらずに、ア・カペラに近いような方が似合うのだと思う。
まあ僕にとってはいい思い出です、ということで。
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BRAND NEW DAY
BRAND NEW DAY/STING
"Englishman In New York"はめちゃくちゃ格好いいし、知名度としてはポリスの"Every Breath You Take"が一番だろうが、アルバムのまとまりとしてはこの『Brand New Day』がとてもいい。買った当時は(高3の時だったと思う)、ヴィニー・カリウタがドラムで参加しているからなんていうめちゃくちゃな理由だったんだけど。
1曲だけ切り出して聴いたらなんだこれは?と思うようなものもあるけど、全体を通して聴くとちゃんと意味をなしている。アルバム1枚が1つの作品になっているという典型例。
まずSTINGは一度世界を壊す。悲しみも喜びも、怒りも涙も全て収束する。そこには穏やかな風が流れているだけだ。明日はやってこないし、何も始まらない。居心地は悪くないけどしかし何か物足りない。徐々に自分のいるべき世界でないことに気づく。
そして再構築。再び混沌とした世界へと足を踏み出す。僕たちは明日を迎えなきゃいけない。時計の針が音を立てて進み始める。お見事。
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At Last... The Duets Album
At Last... The Duets Album/Kenny G
ソプラノサックス奏者ケニー・Gが、様々なアーティストと“デュエット”。選曲も参加アーティストも素晴らしい。昨年発売されたCDの中で一番のお気に入り。もし僕に権利があるのならば、2004年のグラミー賞をあげたい。
1曲目のブライアン・アダムスのカバーから、いきなり泣きのサックスが炸裂。リアン・ライムスの美しい歌声と見事呼応しており、周りの世界をやさしく包み込む。そしてヨランダ・アダムスとの"I believe I can fly"。ケニー・Gもサックスで歌いまくってる。聴く度に胸の奥深くが震える。これで泣けなきゃ嘘だろうと思う。
その他デビッド・サンボーンとのサックス競演を始め、チャカ・カーン、アース・ウィンド&ファイア、ダリル・ホールなど、本当にどれも素晴らしい。“泣き具合”が一番良く出ているのが、バート・バカラックとの"Alfie"。音楽シーンを変えたのはバカラックなんだよなと改めて思う。ラストのバーブラ・ストライサンド、もう何も言葉はいらない。
きっとデュエット参加者達は、皆ケニー・Gと恋に落ちたのではないか。そんな風に感じる。白いろうそくがずらっと並んでいて、彼ら・彼女らがその1つ1つに火をつけていくかのようだ。何とも艶っぽい音色が、聴いてる僕までをも恋に落とす。
寒い冬にそっと灯りをともす素敵な一枚。
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角松敏生どん底三部作
Introduction
僕と角松敏生との出会いは、16歳の夏。当時バイト中に聴いていた、FMから流れてきた伸びのある歌声に僕は一気に魅せられた。最初の印象はやたら賑やかなバック、伝わってくる強いメッセージ。そして、その時ちょうど行われていたツアー(“He is back for the future”)を偶然見にいくことができたことが、その後の運命を決定づけた。
以来、僕は音楽のほとんどを角松を中心に学んできた。彼の言おうとしていること、音楽を、必死に理解しようとし、時には全面的に無条件で受け入れ、時には真っ正面から対立した。そのことが現在どのような結果に繋がっているのか、それがポジティブなものなのか、ネガティブなものなのかはわからないけれど、音楽を心から愛することができるようになったというのは、彼によるところが大きいと思っている。
今の角松は、あくまでも自分がリアルタイムで生きることにこだわっている。それは彼の作品を聴けば一目瞭然だ。そしてそのような姿勢は、たまに己の過去の作品を否定しているようにも感じる。だがしかし、いいものというのは、何年経ってもいい。そのことを胸に、彼の最高傑作の3枚を紹介していこうと思う。角松はこの3枚を作り上げ、音楽活動を凍結させた。全てを捨てた。言い換えれば、この3枚に角松の全てがつまっている。

ALL IS VANITY
作品自体のレベルとしては、おそらく角松史上最高傑作と言っても過言ではないだろう。まるで洞窟の奥深くで、ひっそりと長い時を経て形成された鍾乳洞のような曲が揃っている。そこに偶然というものは存在せず、あくまでも角松の求める必然によって出来上がった。
そしてこの中のいくつかの曲は、僕らの心を深くえぐる。負と正面から向き合った、辛辣なメッセージ。しかしそれをまるで称えるかのようなバックミュージシャン達の演奏により、いきなり真実にたどり着くことはない。全てが複雑に絡み合った嘘によって塗り固められている。完全なフェイク(偽物)は、ときに本物をこえる。
そしてその先に存在する、たった一つの真実。
清楚かでありつづけることは
愚かしいことと知ったならば
君は汚された街にも咲ける花になればいい
そして何も望まずにいられたら
きっと愛しあえる
そして生まれ変わる
-from "ALL IS VANITY"

あるがままに
前作“ALL IS VANITY”の流れを引き継いでいるが、しかし前作のような混沌とした雰囲気はない。ある種の開眼とも受け取れるピュアな雰囲気が、ウィスキーに溶け込むロックアイスのような透明さが、全体を支配している。
このアルバムは、ある特定の女性一人のためだけに作られた作品であるという。しかしそれがあまりにも強く僕らの心に響くのは、角松のあまりにも一途な想いによるものだろう。「あるがままに」で良しとしているわけではなく、「あるがままに」でしか君に接することができない。そんな悲しみ、苦悩を深々と綴っているだけの作品だが、なぜかひどく心地よい。
個人的に一番好きなアルバム。今でも心の琴線に触れ続けている。
遠く消え行く過去は
今という未来を創った
君と僕そのもの
あるがままの“瞬間(いま)”を
あるがままの過去(きのう)とともに
ずっと愛し続けて行こう
-from "あるがままに"

君をこえる日
これは“あるがままに”をよりダイレクトにした作品。かつてないほどの想いが、どうすることもできないという空しさと共に堂々と込められている。
ただし、問題点というか、それがこのアルバムの良さなのかもしれないが、角松は“君”を越えきれていない。まだ忘れられていない。一方的な愛、そしてどこにもいかない想い。完全なる絶望。その果てに待ち受けるものは何なのか。角松はそれを知ることが怖くて歌うことをやめた。いや、知っているからこそ、目を背けないわけにはいかなかったのだろう。
この心の痛みがいつか癒えて
望みも予感も消えて
僕が君を忘れる日がきたなら
きっと君をこえていける
I'll be over you
-from "君をこえる日"
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ショパン:4つのバラード

CHOPIN:4BALLADEN/BARCAROLLE/FANTASIE
KRYSTIAN ZIMERMAN
今さら解説不要のツィメルマンのショパン、4つのバラード・舟歌・幻想曲。HMVで偶然安売りされているのを発見した(CD2枚で1枚1690円のセール対象になってた)ので思わず購入。
演奏の方はさすがと言うべきか、1番の最初の旋律から圧倒された。本当はエフゲニー・キーシンとの比較を書こうと思っていたんだけど、そんなのは太陽の輝きの前で小さな星の煌めきを持ち出す行為のような気がしたのでやめました。
まるで精巧なガラス細工を作り上げているかのような、寸分のふるえも許さぬ完璧な演奏。そして正確無比な音は、ショパンの想いをまざまざと浮き彫りにする。やってることは単純明快、しかしあまりにも凄すぎて一気に全く手の届かない世界へと飛び立ってしまう。
僕たちはその完全な世界を、ただただ呆然と眺めるしかないのか。
ひとりぼっち

empty page/上田まり
くもった日曜の昼下がりに
別に歌がうまいわけでもないし、メロディーがいいわけでもない。編曲で何とか仕上げたという感じが否めない。でもしかし、切り出した歌詞のフレーズが耳に残る。彼女は一人でいる強さを、一人でいることの苦しさを洗いざらい歌い出す。そしてその歌声は、そっとやさしく僕の心の痛みに触れる。
ときどき、二度と君に会えないんじゃないかと思うときがある。この世から消えてしまうのではないか、遠い世界に行ってしまうんじゃないかと不安になる。もしくは元々君の世界に僕はいなくて、僕が背伸びをした瞬間、少しだけ君の姿を見ることができていただけなのかもしれないと。
例えば色つきの夢のように
あの日が遠くなるとしても
古い本のすえた匂いに思い出す
始まらない恋だったこと
Explorer/槇原敬之
個人的には、槇原の復帰第一作。例の事件から復帰後、これまで色々と作品を発表し続けてきたけど、どうも自分にはしっくりとこなかった。どの作品もマッキーであることには変わらないんだけど、どうも聴いてて疲れてしまう作品が多かった。もちろん、それが悪いといっているわけではないし、“太陽”や“桃”など素晴らしい曲もある。でも、なんというか、「Cicada」から続いた流れを浄化する過程のような曲が続いてきた。そして今作は、そこから「再生」できた作品だと思う。僕が中学生のとき初めてマッキーに触れた「PHARMACY」、そして「UNDERWARE」、「Such A Lovely Place」、その続きがこの「EXPLORER」。まさに僕が求めてたマッキーである。
相変わらず歌はめちゃくちゃうまいし、そのセンスには驚かされる。さすが教授が認めたことだけはある。あと、今回はシングル曲が結構収められてるけど、曲順もいい。1つ1つが、それぞれ与えられた*曲目という役割をしっかりと果たしている。“世界に一つだけの花”は、SMAPに提供したことが非常に悔やまれる。たしか初めからそのつもりで書かれた曲なので、何とも言えないけど、もし仮にこのアルバムの10曲目で耳にしてたら、僕はとてつもない感動と興奮を味わっていたことだろう。
ジャケットの帯で隠れている部分に書いてある01〜12までの数字、11がイコールのように見える。1曲目から10曲目=12曲目と解釈してもいいのかもしれない。多分、その12曲目の“僕が一番欲しかったもの”が、マッキーが今一番言いたいことだと思う。
Explorer(限定盤)/槇原敬之
関係ないけど、HMVのページに言ったらたまたま見つけた文章
タワーレコード/HMVジャパン 「著作権法の一部を改正する法律案」の成立に関する共同声明
とりあえず一安心かな?
梅雨のお供に
voices under the water/in the halll (角松敏生)
昨日関東地方もついに入梅してしまい、とにもかくにも蒸し暑い。不快指数とはよく言ったもので、ジメジメして本当に気持ち悪い。こんなときは、音楽に助けてもらうしかない。
このアルバムはTIME TUNNELツアーのライブ録音と、海がテーマのインストとの融合がコンセプトとか。正直言って融合はしてないし、別々に出せばいいんじゃないかと思うけど、これが結構聴いていて気持ちいい。基本的に僕は打ち込みの音が好きではないんだけど、これだけは別。目を閉じると、そのまま自分が海の底まで沈んでいった気分になる。映画グラン・ブルーの世界だ。
ちなみに僕は元ダイバーだから、本当に海の底まで沈んでいったことがあるけど、そのときは頭の中に音楽なんて流れなかった。自分が呼吸している音しか聞こえない。気持ちよかったけどね。